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解り合うための

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▽トレ録2 AE
▽カイヤくんとのポケモンバトル!
▽最後に手持ちポケモン情報あります

▽お借りしました!
カイヤくん
ユキヤくん

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 真面目で、深く考え込みすぎて、いつも一人でどうにかしようとして。そうやってまた、傷を増やしたのか?

 半年ぶりに出会った青い髪の彼、カイヤはかっちりとしたスーツに身を包んでおり、眼帯で片目を隠していた。セツナはそれが密かに気になっていたのだが、理由を聞こうとは思わなかった。自分のように、話したくないことだってあるだろう。彼の過去に何があったかなんて知らないし、ポケモン達とどんな確執があるのかも分からない。そして知ったところで、どうにかできるわけでもない。
ただ、それでも、『彼のことを知りたい』と願った。

 カイヤにバトル申し込んだのは、セツナなりの誠意であり望みだ。過去の清算、そして現在、解り合うために。しかし、彼のことは未だに掴めないのだ。ポケモンのことを不用意に傷つけたくないのかもしれない。断ってくる可能性だって十分考えられる。でも、ポケモン達に、自分に真剣に向き合う彼ならきっと大丈夫だろう――そんな微かな希望を、感じていた。

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「加減は知らへん。よろしゅう?」

 ネクタイを少し緩めたカイヤは、挑戦的な笑みでこちらを向き直した。緑の瞳と、視線がかち合う。
 ――そんな表情、できたんだな。

「良い表情するじゃねえか、カイヤ」

 不器用な彼が見せてくれた新しい一面に、セツナは笑みを深くした。もっともっと彼を知りたい。ポケモントレーナーとしての、真剣勝負のカイヤを。

 セツナは自身のモンスターボールをひとつ手に取り、上方へと放り投げた。ボールから飛び出したのは、紅く大きな翼を持つポケモン、ウォーグル。 通常の個体よりも大きく、その大きさはカイヤの繰り出したグソクムシャとほぼ同じだ。ウォーグルーーナギは、月光に包まれながら、威風堂々とバトルフィールドに降り立った。


「そんじゃ、審判はユキヤ。してくれるだろ?」
「ああ、引き受けた!」

 カイヤと共に連れ出していた友人、ユキヤに声をかけると、彼は喜んでと言わんばかりの笑顔を見せた。彼の人情深さと真っ直ぐさには、何度も助けられている。今回もきっと引き受けてくれると思ったのだ。

 セツナとカイヤが、お互いのポケモン越しに相手を見据える。紛うことなき、ポケモントレーナー同士の対立。
 ――この時をずっと待ってた。いや、本当はもう来ないと思って諦めていた。

 半年前まで、セツナはマフィアのボスとして犯罪行為をしてきた。自分達に仇なす者、邪魔者は徹底的に潰す。そこにはもう、トレーナーとしてのプライドや面影はなかった。
 そんなセツナを変えたのが、半年前の出来事だった。あの出来事のおかげで、セツナは何にも縛られない『自分』を取り戻した。しかし、取り返しのつかないことをしてしまった事実に変わりはない。酷い大人になってしまった自分でも、心のどこかでずっと憧れていたのだ。ユキヤとクレーネのバトルを観て、それは憧れから望みに変わった。望みを叶えるため、半年で自分のポケモンを揃え、育てあげたのだ。
 これからここで行われるのは、ただ純粋に、お互いに楽しむためのバトル。7年前のセツナが行っていたもの、現在のセツナが望んでいたものだ。
 自分のやりたいことをして、今、この瞬間を楽しむために。

「それでは――、バトル開始!」

 ユキヤのかけたその合図と同時に動きを見せたのは、カイヤのポケモン。グソクムシャの遡多郎だった。猛スピードでナギとの距離を詰めると、鋭い爪で切りつけてきた。セツナにとっては初めて見る技だったが、その様子を見ていたユキヤがハッとしたように声を上げた。

「“であいがしら”か!」

 動きに反応は出来たものの防ぎきれなかったようで、攻撃を受けたナギの身体がよろめく。しかし、なんとか体勢を持ち直し、翼を大きく羽ばたかせ上空へと舞い上がった。空中なら、遡多郎の攻撃は当たらない。セツナが空に向かって次の指示を出す。

「やり返せ、“ブレイブバード”!」

 呼応するかのように、猛禽の鳴き声が夜に響き渡った。上空から滑空で降りてきたナギは、低空飛行で遡多郎に突っ込んでいく。遡多郎は頑丈な装甲でそれを迎え撃つが、捨て身のナギの勢いは受け止めきれなかったようだ。地を削り、カイヤの後方へと突き飛ばされた。

 ――瞬間、ナギの姿はセツナのモンスターボールへと戻っていった。代わりに、別のモンスターボールからポケモンが飛び出す。フィールドに現れたのは、紅い猫のようなポケモン、ニャヒートだった。
 突然の出来事に、セツナは困惑していた。ニャヒートも急に表に引きずり出されて驚いたのか、辺りをキョロキョロしている。

「な、何だ? なんで急にナギが引っ込んでレンが出たんだ? そんなのアリかよ!」
「アリや」
「アリだな」

 案の定、二人から冷静なツッコミを受けた。ユキヤの説明によると、どうやら遡多郎が持っていた道具の効果らしい。バトルのことは自分なりに調べ、研究した気になっていたが、まだまだ調べが甘かったようだ。
 予定が狂ったな、とセツナは思案する。セツナのニャヒート――レンは、遡多郎と相性が良くない。大ダメージを負わせることはできたが、可能なら最後までナギで押し切りたかったのだ。
 相手のカイヤは相変わらず笑みを浮かべながら、冷静にこちらの様子を伺っているようだ。

「知らんからな。今、どないなポケモン連れとるのか」

 あぁ、そうか。見せたことなかったか。ここでようやく気付かされた。セツナの手持ちポケモンのほとんど、パートナーであるリク以外のメンバーは感謝祭の後に揃えたが、そのことはカイヤにもユキヤにもまだ言っていない。
 これは真剣勝負であり、楽しむためのバトルであり、お互いを解り合うためのバトル。自分のことだって、もっと彼らに知ってほしい。自分の大切な仲間たちのことも。

「んじゃあ紹介するわ。こいつはレン、感謝祭の後に仲間になったんだ。可愛いだけじゃあないんだぜ」

 紹介を受けたレンはやる気満々、とばかりに戦闘態勢に入った。自分の身体より遥かに大きい相手を前にしても、彼女は怯むことなく挑戦的な姿勢だ。その姿を見て、セツナは安堵したように、そして楽しげに笑う。
 そうだ、まだまだ勝負は始まったばかりだ。ここから相性なんてどうとでもなる。戦況なんていくらでも変えられる。それにこいつは。

「相手が強いほど、逆境であるほど、こいつは燃えるんだ!」

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▽セツナの手持ち

ウォーグル♂ / ナギ
せいかく:まじめ
とくせい:まけんき
持ち物:いのちのたま
技:ブレイブバード、シャドークロー、いわなだれ、ばかぢから

ニャヒート♀ / レン
せいかく:ゆうかん
とくせい:もうか
持ち物:しんかのきせき
技: ねこだまし、ほのおのキバ、まもる、みだれひっかき

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