真剣勝負のお誘い【side:アミュレ】

■お借りしました!
ミユキくん、タマちゃん


 このイベントはチーム対抗戦だ。レッド、グリーン、ブルーの三つのチームのうち、スイーツチップを最も多く獲得したチームが優勝となる。よりスイーツチップを集めるためには、試練に挑戦したり大量チップを賭けたバトルで勝つといいのだと教えてもらった。
 イベントルールを始め、ポケモンの知識、バトルの知識。これまで出会った優しい人々には、本当に沢山のことを教えてもらい、そして助けてもらった。
 しかし、アミュレ本人は優勝したいなんてことは微塵も考えておらず。

「まだまだバトルやってみたいよね、パウちゃん!」

 ただその一心で、パウと共に森の中を散策していた。バトルは好きだったようで、パウも珍しく機嫌が良い。眉間の皺は相変わらずだが。
 とはいえ、日も少しずつ傾き始めている。他の人と共にいる時こそ上手く隠せていたが、アミュレにはあまり体力がない。一日中はしゃいだり歩いたりしていたら疲れるもので。
 ポケモンバトルの痕跡だろうか、なぎ倒された木が丁度良い高さだったため、そこに座り少し休憩することにした。



 改めて今日の出来事を思い出し、幸福感と満足感に浸る。
 そういえば、と。出会った何人かに本を読むことを勧められたことを思い出す。アミュレは読書が好きなのだが、同じくらい嫌いでもあった。絵を描いたり、本を読んだりするくらいしか娯楽がなかった過去を思い出すからだ。
 確かに本は自分の知らない世界を教えてくれる。同時に、本を通してでしか世界を知れない自分が嫌だった。旅が許された今、自分の目で世界を確かめたい、というのが彼女の願望なのだから。

 とはいえ、ポケモンに関係する本は家に置いてなかったこともあり、あまり読んだことがない。旅の途中に図書館があったら寄ってみようかな、ルーミィさんも本を譲ってくれると言っていたな、とぼんやり考えていたその時、チームリングが振動した。
 辺りを見渡せば、木の影から少年とポケモンが姿を現す。それを見て、アミュレは嬉しさのあまり目を輝かせた。

「ミユくんとタマちゃんだー!」

 彼らは間違いなくミユキと、タマザラシ――だと思い込まれているパウワウのタマちゃんだ。普段とは違い、どうやらポケモンの仮装をしているようだが、アミュレにはそのポケモンが何なのかまでは分からない。ただ、髭の飾りがとても可愛くてよく似合っているなと思った。
 呼ばれたことに気づいたのか、ミユキが手を振りながらアミュレの元に駆けてきた。

「アミレさ!お久しぶりだなあ」
「うん!お友達に会えて嬉しいな〜!パウちゃんも嬉しいね!」
「タマちゃんもえかったなあ〜」

 アミュレが足元のパウに視線をやれば、パウの眉間の皺がさらに深くなる。同時に、ミユキが抱えているタマちゃんも眉を八の字にしていた。どちらも嬉しいの意思表示にはとても見えないのだが、トレーナー達は気に留めていない。
 春以来の再会であることもあり、お互いの話をしている中で、アミュレは今回ミユキが自分とは違うチームに所属していることを知った。仮装に気を取られていたが、確かに彼は腕にブルーの腕章をつけている。
 それならばやはり、やりたいことはただ一つだ。

「折角ここで会えたんだもん!バトルオアトリートだよ、ミユくん!」

 その提案と同時に、パウも覇気の込められた鳴き声を上げる。いつの間にか疲れていたことすら忘れてしまったアミュレは、意気揚々と立ち上がった。
 
***

ミユキくんに対して、下記内容でバトルオアトリートさせていただきます。
※調整可能です!

使用ポケモン:パウ(タマザラシ♂)
バトル形式:シングル
賭けチップ数:5

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