松永涼の"元お嬢様"について

そもそも松永涼って誰?という方はこちら

はじめに

「昔話だが……
 今でこそこんなカッコしてるが、昔はお嬢サンだったんだぜ。
 意外だろ」
「聞くのはクラシックの交響曲ときたもんさ。
 けど、そんな生き方は堅っ苦しくてね。
 反抗してたら、ロックバンドを経て……いまじゃアイドルさ」
       ――純情Midnight伝説 イベントコミュ第4話「本気純情!」

2016年5月31日~6月7日の期間に開催されたイベント『雷舞愚留羽舞 墓尾刈 刃亜素徒』、いわゆる純情Midnight伝説のイベントコミュでのセリフ。

松永涼は元々バンドのボーカルをしていたことは初期から明らかにされており、モバマス・デレステどちらでも話によく出てきている。

しかし"元お嬢様"という話はサービス開始から5年間一度も明らかにされていなかった情報であり、松永涼Pだけではなくイベントに参加していた炎陣Pを始め多くの人に衝撃を与えた。

純情Midnight伝説のイベントから約二年半経過しているが、謎が多いままなのが現状である。

今回の記事では現在明らかになっている情報をまとめ、かつ個人的な解釈・考察をしていきたい。

1.本人の発言

現時点で松永涼が元お嬢様であるということは、本人の口から語られたいくつかの発言しか無く、交流のあるアイドルが、お嬢様時代の松永涼と面識があったということは今のところ無い。

前述の純情Midnight伝説のイベントコミュを除くと以下の発言が全てとなる。

アタシが元お嬢サンだなんて、ほかの奴らは
そうそう知らない情報なんだぜ。
    ――Jet to the Future イベントコミュ第4話「Wish You Were Here」
昔はお嬢様だったって話は、プロデューサーさんにはしてたっけ?
お淑やかに、清楚に、礼儀正しく……。
型に押し込められての暮らしは、そりゃもう窮屈でさ。
         ――[アンデッド・ダンスロック]松永涼 特訓エピソード

以上。漏れがあれば御一報願いたい。

[アンデッド・ダンスロック]松永涼のホーム画面やルームでのセリフでもお嬢様に関するセリフがあるが、共演している白坂小梅がお嬢様の格好をしており、松永涼個人に言及しているものではないと思われるため除外した。


2.松永涼にとってのお嬢様時代とは

松永涼は大きく分けて3つの時代に分類することが出来る。

まずはアイドル時代。アイドルマスターシンデレラガールズにて現在進行系の時代である。スカウトを受けてアイドルとしてデビューし、ライブを中心に活動しており、最近では女優業やグラビア、ロケ企画など活躍の幅を広げている時代である。

次にバンド時代。作中の時間軸からすると過去の時代である。

アイドル…って、アタシこれでもバンドのボーカルやってるんだけど。まぁ知らないとは思うけどさ。
                   ――松永涼 プロフィールセリフ

最初のカードの一番最初のセリフからバンドについて言及しているように、ゲーム内では非常によく語られている。カードのセリフだけでなく、実際にバンド時代にライブをしていたライブハウスが登場したり、ぷちエピソードでバンドがどういうものだったか語られたり、デレステではメモリアルコミュ4話にてシルエットではあるものの、メンバーである女性三人が確認できる。大好きな歌を続けることが出来ないかもしれないという大きな挫折と悔しさ、悲しさを味わった時代でもあるが、反面松永涼がとても充実しており、楽しかったと笑顔で語れる時代でもある。

[ソウルフルチアー]松永涼 では楽屋でスタッフにバンド時代の話をしている。目を閉じての笑顔は松永涼のカードでこれが初。

最後にお嬢様時代。前述のバンド時代より更に過去の時代である。
バンド時代はどういったコンセプトのバンドか、どういうファッションをしていたかなどまで語られているが、お嬢様時代は全くと言っていいほど語られていない。


ここで本題の松永涼にとってのお嬢様時代について考える。

先に結論を述べると
松永涼にとってお嬢様時代は、触れられたくない過去
だと考える。

前項の発言を読むと分かるが、お嬢様時代を語る際に「堅苦しい」「窮屈」という、あまり良い印象ではないワードが共通している。そこから反抗心が生まれ、ロックに触れ、バンド時代に繋がるため、少なくとも松永涼にとって居心地の良いものでは無かったと思われる。以下のような発言、やり取りもある。

涼「アタシは手が掛からない……いい女でいたくってね」
夏樹「そういう欲の無さは美徳って言えるのか?」
涼「どうかな。
  まぁ、昔から望んだものが手に入らないことが多くってね。
  そういう性格になっちまったのさ。」
       ――純情Midnight伝説 イベントコミュ第4話「本気純情!」

昔から、という発言にはバンド時代のことと考えることが出来るが、この発言の次に件のお嬢サン発言に繋がるため、そちらも含めてというのが妥当だろう。
望んだものが手に入らないと言われれば、やはりお嬢様時代に関して良い印象は抱かない。

また松永涼はこのような発言もしている。

アタシがあっちの格好? いやぁ…はは、勘弁してくれ。キャラじゃない。
        ――[アンデッド・ダンスロック]松永涼 ホーム画面セリフ

※あの格好とは、白坂小梅の格好を指していると思われる。
Nocturneやサマービーチでのグラビア撮影や、キミのそばでずっとや夢の国のアリス公演で歌衣装以外の様々な衣装を着る機会でも前向きだった松永涼が断る発言をするのは珍しい。
単に恥ずかしかったからとも考えられるが、お嬢様・お姫様の格好を指していると考えるとそれだけではないのではないか。

更にセリフのある違いから考察する。
前述の純情Midnight伝説及びJet to the Futureで松永涼が話している相手はどちらも木村夏樹である。
対して、アンデッド・ダンスロックではプロデューサーと話している。
現時点でこの二名にしか明らかにしていない。

気づいた方もいるかも知れないが、夏樹に対しては"お嬢サン"であり、プロデューサーに対しては"お嬢様"である。単なる表記揺れと切り捨てることも出来るが、あえて考察の材料にしたい。

夏樹はお嬢サンであると明かされた時にこのような発言をしている。

ははっ。そりゃあいい。
ひらひらのスカートに清楚なブラウスか?
       ――純情Midnight伝説 イベントコミュ第4話「本気純情!」

私は当時、お嬢さんという発言から、いわゆる近所のおじさんやおばさんが言うような「お嬢ちゃん」のニュアンスに近い発言であったと感じた。現在の松永涼は、茶髪にピアスで露出の多い格好をしているが昔は何処にでも居る普通の女の子、清楚でお淑やかな女の子だったんだというような感じである。デビュー前のアイドルがダサくて芋っぽい、悪役レスラーが私生活ではとても優しいというようなギャップを言っていると思っていた。

おそらく夏樹も同様に考えたのではないか。ひらひらスカートに清楚なブラウスならお嬢様でなくても着ることが出来る。なんならサイズさえ合えば男でも着れる。
よくある話だと思ったのか、詳しく知る必要もはないと思ったのか、触れてはいけない話だと思ったのか、夏樹は以降詳しく追求してこなかった。
そこが松永涼の狙いだったのではないか。

プロデューサーに対しては前述のように、"お嬢様"という表現を使用している。また、同時に「お淑やかに、清楚に、礼儀正しく……」という発言もしている。
これらの発言から松永涼は其れなりの家柄のお嬢様であったと考えられる。当然躾に厳しい家庭であった等も考えられる。しかし幼少からそのような教育をする、する必要がある家庭があるとしたら、やはり其れなりの家柄になるだろう。

つまり、

松永涼は木村夏樹とプロデューサーとで知られても良い範囲に差を付けているのではないか

ということだ。繰り返しになるが、夏樹には割と浅い部分しか知らせていないがプロデューサーにはそれなりに踏み込んだ話を(それでも一言二言ではあるが)している。更に言えば白坂小梅のように長い付き合いであるアイドルに対してであっても、一切知らせていない。

更にプロデューサーに対しても、初対面から打ち明けるまで約7年の年月を要している(作中時間は不明だが)。
そもそも打ち明けるハードルが凄まじく高い上に、そこから更に範囲が限定されているともなれば、相当知られたくない過去だと言えるだろう。

ただし、今後ペラペラ他のアイドルに喋る可能性も無くはないので、この記事を書いている時点での考察だということを記しておく。


3.お嬢様の程度について

前項で少し触れたが、お嬢様と言ってもいくらか種類や程度がある。
大企業の会長・社長の娘であったり、代々続く名門・貴族の家系であったり、様々である。

アイドルマスターシリーズにおける元祖お嬢様アイドルである水瀬伊織は、水瀬財閥の長女であり、アイドルになりたいと思った動機も「なんでも手に入る境遇が気に入らなく、自らの手で栄光を手にしたい」というものである。
他にも漫画「relations」に登場する東豪寺麗華は水瀬伊織と旧知の間柄であり、東豪寺財閥の娘である。彼女は伊織と同じく家の力に頼らずアイドル活動をしていたが、尊敬・憧れの対象であった"雪月花"というアイドルユニットに裏切られ、復讐に近い形で家の力を多用するようになり、アイドルという存在自体を破壊しようと765プロの前に立ちはだかった。
シンデレラガールズにも櫻井桃華や水本ゆかり、ミリオンライブにも箱崎星梨花や二階堂千鶴といったお嬢様アイドルがいる。

話を戻す。

プロデューサーに対して明かした際に、同時に「お淑やかに、清楚に、礼儀正しく……」という発言もしている。
この発言から松永涼は其れなりの家柄のお嬢様であったと考えられる。当然ながら躾に厳しい家庭であった可能性もあるが、幼少からそのような教育を施す、その必要がある家庭だとしたら、やはり其れなりの家柄になるのではないだろうか。

松永涼はクラシックやジャズにも造詣が深いというのはデレステのウワサからの情報であるが、元お嬢様という経緯を考えるとなんら不思議ではない。
音楽の名門の家系であったり、ピアノ等の習い事の一つとして、などの理由が考えられる。
またその教育の為に楽器や機材を揃えると慣ればそれなりの財力が必要だろう。ピアノ一つとってもちゃんとしたものは数百万は下らないし、防音の環境を整えるとなれば更にかかる。調律やその他の細々としたものの出費もあるだろう。私は音楽や楽器に触れる生活をしてこなかったので聞きかじった知識でしか無いが。

以上のことから、最低でもそれなりに裕福な家庭であり、更には音楽の名門であったり、両親のどちらかまたは両方が音楽界の著名人であると考えられる。

実家との関係の考察もしようと考えたが、そちらの情報はあまりに少なく、人の趣味趣向でかなり偏りそうなので、またの機会に。


4.既知の人物と、可能性のある人物

現時点で松永涼が話した相手はプロデューサーと木村夏樹の2人であるが、他に可能性があるアイドルについて考察したい。

私が松永涼の過去を知っている可能性があると考えるアイドルは

黒川千秋
財前時子

である。お嬢様アイドルは多数居るが、今回は松永涼と共演経験があるアイドルに絞った。また、各アイドルの紹介は割愛する。

黒川千秋

第15回ドリームLIVEフェスティバルで共演。
松永涼は初のボイス付SRである[ミュージックスクリーム]で登場。

趣味がクラシック鑑賞。クラシックにも造詣が深い松永涼と共通する。
二人がユニットを組んで登場した際、以下のようなやりとりをしている。

涼「な、なんだ千秋サン。アタシの顔を見て…何かついてるのか?」
千秋「いえ…。ふふっ、楽しそうに歌うから、私も楽しくなっただけよ」
                      ――D.L.F 涼&千秋 DRAW

憶測の域を出ないが、お嬢様時代に面識があり、ライブ中にそのことを思い出して顔を見つめていたのではないか、と考えられる。
黒川千秋はお嬢様扱いされることを余り良しとしておらず、高みを目指すためなら自らの限界を超えたレッスンであろうとやりきろうとするほどの情熱を持つ人である。
お嬢様という生き方に反発し、自らバンドを作って歌の世界に飛び込み、アイドルに形を変えて入るが、よりよい歌を歌うために、沢山の人に届けるために努力する松永涼と共通するところがあるのではないか。
もし二人が幼少期に出会って友人になっていたら、また違った道を歩んでいたのかもしれない。

財前時子

君にドキドキ☆真夏のビーチエンジェルガチャにて共演。
松永涼は同ガチャで排出される[サマービーチ]で登場。

マリンゴッデスというユニットを組んで登場している。いつもの財前時子の振る舞いになんら疑問を抱かず、ツッコミを入れたりサポートする松永涼という不思議な組み合わせであった。

二人の直接的なやり取りではないが、それぞれのセリフから繋がりが考えられる。

そう、いつだったか……子どものころ、聖歌隊で歌っていたのを思い出したわ。天使の声、だなんて呼ばれたものよ
                   ――財前時子ぷちエピソードVo2
あぁ、思い出すなぁ…子どもの頃はミサ曲なんかを聴いてたなって
      ――デレステ [ロッキンヴォーカリスト+]松永涼 ルームセリフ

聖歌隊とは、教会やキリスト教系の学校で、礼拝やミサ、その他復活祭やクリスマス等の様々な行事の際に賛美歌、ミサ曲を歌う合唱団のことである。
つまり、松永涼が財前時子の歌う賛美歌を教会で聞いていた可能性が考えられる。聖歌隊に所属していた年代が不明だが、松永涼との年齢差が僅か3歳しか無いため、可能性は高いと思われる。

涼は評価に値する人間よ。頭にも栄養が行っているタイプね
                     ――[サマービーチ]財前時子
裕福な家に生まれ、蝶よ花よと育てられ、どんな分野でも頂点を獲ったわ
                   ――財前時子ぷちエピソードDa2

[サマービーチ]での財前時子は比較的他のアイドルに易しい評価を下しており、松永涼も例外ではない。
撮影時に気遣いを見せたのか、歌の実力をみてか、何を基準としての評価か不明だが、あらゆる分野で頂点を獲ったと自称する彼女からであることを考えると、松永涼もそれなりの人物なのだろうか。


最後に

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
メタ的な考え方をするならばロックアイドルである多田李衣菜や木村夏樹との差別化のためであったり、後付設定だったりという結論で終わらせることも出来ます。
しかし、折角の創作にも今後の展開にも非常に活きてきそうな設定なので大切にしていきたいと思い、今回このような考察といたしました。
何度も書いたように、まだ元お嬢様という話は殆ど出てきていない状態で、これからの展開が待たれる状態です。
黒川千秋さん、財前時子さんといったアイドルの他に、共演経験のある涼宮星花やアニメでバンドを組んでいたライラ等他にも可能性があるアイドルが居るため、また新たに交流が生まれ、ユニットを組んだり、もしかしたら楽曲が作られたりするかもしれない、無限の可能性がある状態です。
過去にはお嬢様アイチャレというイベントが開かれており、もしかしたらという妄想も枚挙に遑がありません。

皆さんそれぞれ、松永涼というアイドルに対して、元お嬢様という告白に対して、思うことがあると思います。
この考察を読んで、俺はこう思う、私はこうじゃないかと思うというのがあれば、Twitterでも何でも投稿していただけたら、覗きに行きたいと思います。

それでは、これからもアイドル松永涼をよろしくお願いいたします。



参考

アイドルマスターシンデレラガールズwiki

黒川千秋wiki -chiakipedia-