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教育あれこれ

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教育に関する記事を集めたものです。
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記事一覧

高校受験にむけて小学生の親として考えておくべきこと

今春の大学受験では都立や県立など公立高校の健闘が話題です。 「部活や行事が中止になって勉強時間が増えたからでは」 「地方の優秀な生徒が都会に出るのを敬遠したのでは」 いろんな分析がありますが、それは Twitter で盛り上がってもらうとして、ここでは(主に東京の)高校受験を考えるうえでのポイントをまとめていきたいと思います。 小学校時代の塾は必要か?近年の都立高校の人気の高まりにより、「小学校高学年から受験塾に通わないといけない」という話をあちこちで耳にします。 で

モノづくりの民主化にむけて ~みんながメイカーになるための「遊び」と「学び」の融合~

フリー《無料》からお金を生み出す「フリーミアム・モデル」の提唱者として時の人となったクリス・アンダーソンが『MAKERS ― 21世紀の産業革命が始まる』を書いたのは、2012年のことでした。 メイカーたちの現在 - ウェブ世界が現実世界と交わる - 世界中のガレージがオンライン化する - 3Dプリンタなどを使ったデジタル製造技術が「第三の産業革命」を引き起こす これらはいずれも、クリス・アンダーソンがすぐに実現するだろうと考えた未来です。 本の刊行から約10年。少しず

変わる理系の就職戦線

教育の話とはちょっとズレるのですが、ここ数日、自分のなかで「これは時代の転換点を示すものに違いない」と感じた兆しがふたつ、立て続けにありました。忘却してしまわないうちに書き留めておきたいと思ったので、メモ的に。 ひとつめは、トヨタが理系の大卒と大学院修了の採用で学校推薦を廃止するという方針を発表した報道。 トヨタは2020年春の新入社員のうち、約3割が理系で、その多くが学校からの推薦を受けて入社しているそうです。 生産や開発にかかわる工学・電気などの基本知識技術をもった

生きる場所を決めるということ

人生の重要な分岐点において、ある選択肢は厳しく、別の選択肢は甘く制度設計をする。国の思惑通りに「選ばせる」。そういう例はよくあります。 一昔前なら、第3号被保険者の制度を使って、専業主婦という生き方を優遇してきました。いまは逆に母親の就労継続を手厚く支援することで、共働きを家族形態のスタンダードにしようとしています。 国は国で、マクロな観点から国の持続的な発展を望んでやっていることです。ただし、それは同時に、個人の選択に大きな影響を与えてしまい、本人の望まない方向に人生を

人気ドラマから読み解く韓国の大学入試事情

緊急事態宣言が解除となり、早1か月。 みなさま "ニューノーマル" な日常を、いかがお過ごしでしょうか。 外出自粛期間中の生活をすでに懐かしく感じます。わが家では深夜に夫婦で韓流ドラマを観ることをお楽しみのひとつとして、日中の浮かない気分をやりすごしていました。 当時世間を騒がせていた人気の韓流ドラマといえば、Netflix の「愛の不時着」でしたが、うちがハマっていたのは「SKYキャッスル ~上流階級の妻たち~」。 韓国の過酷な受験競争を風刺的に描くこの作品、昨年韓国

東京女子の高校受験はツラいよ

先日、とある受験塾の先生が Twitter でこんなことをつぶやいていました。 結論から言いますと、心の底から同意です。 その理由を順を追って説明していきたいと思います。 新型コロナウイルスの影響が家庭の経済面を直撃したいま、中学受験から高校受験へと照準が変わる大きなうねりになることは十分考えられます。中学受験塾は高校受験塾に比べて金銭的な負担が大きいだけでなく、親の直接的・間接的関与も小さくなく、学習管理をアウトソースすることや一時的に仕事の負荷を下げて対応にあたること

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岐路に立つニュージーランドの幼児教育

▼注意▼ この記事は 2018年1月 に別ブログに掲載していたものをリライトしたものです。ニュージーランドや日本国内の保育・教育政策の情報は最新のものではありません。ご了承ください。 『なぜ世界の幼児教育・保育を学ぶのか』という本を読んでいます。 先端的幼児教育・保育の実践の地、ニュージーランド 世界の幼児教育・保育の取り組みのなかで個人的に注目している国のひとつニュージーランド。保育・教育政策を専門で研究されている日本総研の池本美香さんが以前その著書『失われる子育ての

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SGH(スーパーグローバルハイスクール)の指定校評価からみる、各学校の「本当の教育力」

SGH(スーパーグローバルハイスクール)という名称を、みなさんは耳にしたことはあるでしょうか。文科省が推進している事業のひとつで、その目的を以下のように設定しています。 高等学校等におけるグローバル・リーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、もって、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ることを目的としています。 〔 SGH専用HP http://www.sghc.jp

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小学校のスケジュールは破綻の瀬戸際?

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、子どもたちの学校が休校となっている地域も多いかと思います。みなさま、いかがお過ごしですか。わが家は順調に中だるみモードに入っています。つらい。 さて、来月。新型コロナの猛威が過ぎ去って、予定通り登校再開となったとします。 「ヤッター!よかったね!これでオールオッケーだね!」、、、とは、残念ながら、ならない。そう、4月に失った分の授業時数をどこかで取り返さなければいけないからです。 1. 小学校における新学習指導要領の全面実施の余波