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コロナ禍の中、球場に行った話

緊急事態宣言が解除され、ようやく球場も人数を限定して人を呼べるようになった。
が、緊急事態宣言解除を皮切りに日に日に増していく感染者の数。誰も何も言わないが、これが実質的な第二波とも呼べるだろう。
そして8月になった途端、茹だるような酷暑が日本各地が襲った。
そんな中、私は約1年ぶりに暑さを噛み締めながらあの地へ向かっていた。

駅から徒歩で陸橋を渡り、あの屋根が見えると少しワクワクした気持ちになる。
いや勿論クソ暑なんですけど。いい感じのこと言ってるけど汗だけは止まらないが風が少し吹くとそれだけで生きていけそうな気持ちになる。

目的はもちろんロッテ本拠地戦だ。
生憎この日パ・リーグは1試合しか無かったため(コロナ騒ぎでペイペイドームが試合前中止になった)、勝てば5割、負ければ借金という大事なゲーム。何より6連戦の最終日。何が何でも2位の楽天を叩いておきたい所だった。

セブンチケットで偶然残ってた外野席を選んだが、結局ここで良かったような気がする。
日陰だし、人が少なくてマウンドもよく見えるし、ボールもあまり飛んでこないし、日陰だし、バックスクリーン近いし、日陰(重要項目)。
ただこの日の風速(通称マリン風)は2~4mしかなく、ほぼ無風だった。マリンでは風速10mくらいでは騒がない。無風ジリジリと蒸されて行くのを感じる。
日陰で新商品のパインサワーの冷凍パインを齧りつつ、ぼんやり相手チームの練習を見ていた。マリンの外野なんていつぶりだろう。そう言えば初めて行ったマリンは外野席だったな。つーか初観戦で外野なんてよく行けたな。マトモに手拍子も出来なかったのに。
その日は確か日ハム戦で涌井が完投完封を決め、荻野が打った。初めてヒーローインタビューも見て帰ってきた。あの日の満足感は未だ色褪せない。

夕暮れ時、17時前。セ・リーグのデーゲームの試合が終盤に入った頃、あんず色に染まるマリンに両チームのスタメンが発表される。
そして17時に試合は開始された。

今年はコロナの影響で国歌斉唱や始球式は全カットされている。隣同士のハイタッチや、ジャンプ応援も出来ない。鳴り物もない。出来るのは拍手と手拍子だけ。
いつもあると思っていたものがない、それだけで少しだけ寂しさを感じる。

試合は序盤からため息が出る展開が続く。そこで外野ならではの球場飯を買いに走る。
外野席を取った理由として、サンマリンのもつカレーも目当てにあった。もつ煮と言えばマリン、マリンと言えばもつ煮と言われる程、マリンのもつ煮は他の球場より有名だ。
(仮に負けてももつカレー食いに行ったと言えばいいか…)と思うくらいには少し自虐があった。打てない、守れない、打たれるといういつものロッテ野球の展開で、ある意味小さなポジを願っての願掛けのカレー。通常であれば外野席で物を食べるのは試合展開によってはかなり早食いになるし負担になる(ロッテの攻撃中はジャンプ応援が続くので食べてすぐのジャンプはなかなかキツい)が、今回は手拍子だけだったのでゆったり食べられる。はずだった。

さてさてカレー食うかと思った6回ウラ、ロッテが同点に追い付き食べる暇を逃した。しかしその後の打者がアウトに打ち取られ、そしてまた同じような展開が続く。野球は不味いが飯は美味い。いやいや単体で食べても美味いけどどうせなら勝って満腹になりたい。
ロッテのラッキーセブン、レアードに代打が出された。角中だ。投手は牧田。1-2と追い込まれた所で少し高めの球をライトに運び、点差を詰め寄った。ちなみに試合を見るのに夢中でカレーともつ煮はとうに冷めていたが、そんなことは全く気にならなかった。もうこれは試合を見るしかないと慌ててカレーともつ煮を掻き込む。美味いものは冷めても美味い。

結果から言うと、ロッテは最終回、益田が代打ブラッシュを討ち取り逆転勝ち。チームは3位に浮上した。
何なら延長まで残る気で居たので、何とか勝てて良かった。

今年のムービーもカッコイイ。

ちなみに席順だが、外野は1列ずつ毎に座る席を空けていた。
1列誰かが座っていれば、その後ろは空けると言った具合だ。
しかし取った席が悪かったか、途中まではひとつ空けて左右に人がいるという感じだった。
列独占出来る人も居たので、その辺はまずまずと言った具合か。
あととにかく暑いので、マスクを外したかったのだが上記の理由でなかなか外しにくかった。そのためひたすら水を飲むか食事をするかで外すしか無かった。
とりあえず熱中症にはならずに済んだ。塩タブレットを適度に噛みながらGREEN DA・KA・RAをガブ飲みしたのが効いたかもしれない。

まだまだコロナの影響は底知れず、感染者は日に日に増えている。また今年もう1回行けるかも怪しい。
早くマスクを取っ払って思い切り飛び跳ねたい。大声で選手の名前を叫びたい。周りと喜びを分かち合いたい。
早く元の、野球のある日常に戻りたい。
そんなことを思いながら帰路に着いた。

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