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2023年の振り返りと今後の展望~企業の社会的インパクト~


はじめに

2024年が始まりました。2023年は、事業の社会的な「インパクト」という考え方が多くの方に認識される、大きな転換点になった年でした。

「インパクト」という言葉は一般的な言葉で「衝撃」といった意味を持ちますが、「事業の社会的インパクト」といった場合には、事業・活動の結果として生じた、社会的な変化や効果のことを指します。

当社は数多くの企業様と面談させていただいておりますが、一昨年2022年に経団連が「“インパクト指標”を活用し、パーパス起点の対話を促進する」という提言を出した時には、インパクトについて知識のある企業はほぼありませんでした。「社会的インパクトという言葉を初めて知りました」という方が多かったことを記憶しています。それが2023年に入ると「インパクト指標を取り入れたいと思っている」「インパクト測定・マネジメント(IMM)に関心がある」というご相談を具体的にもちかけてくださる企業の方が増えました。

今回は、2023年が「企業の社会的インパクト」という視点でどのような年だったか、また今後の見通しを、日々インパクトについて取り扱う私の立場からまとめてみました。是非ご覧ください。

2023年のできごと~社会的インパクトへの関心の高まりと動き~

1. 主なトピックス

2022年に「社会課題の解決」と「持続可能な社会」の実現に向け、インパクトスタートアップ協会が設立されましたが、2023年は経済産業省が主体となりJ-Start up Impactという官民によるインパクトスタートアップ育成支援プログラムが設立されました。

国内におけるインパクト企業の増加を目指すための環境整備のために、インパクトIPOワーキンググループ会合も今年開催され、実際にインパクトIPOを果たす企業も現れました。(当社では株式会社雨風太陽様株式会社笑美面様の2社のインパクトIPOの支援行いました。)

また、産官学金等による幅広い連携となるインパクトコンソーシアムも2023年に設立されました。金融庁を中心に政府が事務局を担い、発起人には大企業が所属する経団連や経済同友会、金融関係(全国銀行協会、生命保険協会、日本証券業協会)も名を連ねています。 

2. 一連の動きについてどう見るか

上記の動きが皮切りとなり、ビジネスの「尺度」が、財務指標以外にも存在するという認識が、企業に広がったことを肌で感じます。

事業や企業の社会的な価値を示す「インパクト指標」という、財務的価値とは別の尺度を用いて、以下のようなことを実現したいという企業からの期待感が具体的に存在します。

  • 社会課題解決をテーマに、複数企業と連携して大きなビジネスを生み出したい

  • 既にある事業において社会的価値を可視化し、行政や国際機関との連携を一層進めたい

  • 社会における存在価値にかかる、自社の企業ビジョンを体現する新規事業を実現したい

これまでCSR、ESGやサステナビリティの文脈で企業の社会的責任が言及されることがありましたが、説明責任を果たすだけではなく、攻めの戦略としてのインパクトを企業が使おうとしていると言えるのではないでしょうか。

3. 実際にどうだったか

ありがたいことに、業界のリーディングカンパニーである大企業様から弊社へのお問合せや意見交換の機会も急増しており、企業からの関心が確実に高まっていることを感じます。

昨年から当社では、企業におけるインパクト測定・マネジメント(IMM)の活用方法などのテーマで無料セミナーを始めましたが、企業の方を中心にのべ350名以上の方にお申込みいただきました。

また、外部のセミナーでも登壇する機会も増えてきており、三菱総合研究所による未来共創イニシアティブ(ICF)主催の中間報告会内のパネルディスカッション「社会課題解決事業におけるインパクト評価」に登壇もしました。

従来では企業における社会的価値の創出といった場合、CSR事業がメインになることが多くありましたが、当社が現在関わらせていただいている中では、しっかりと収益と社会的価値の両方を追求するモデル事業への適用などが多くございます。

2024年以降の展望

1. 2024年の予測

2023年に続き、社会的インパクトの考え方に対する理解は増進するでしょう。その中で、今は若干の混乱のみられるサステナビリティとインパクトの、それぞれの役割分担が明確化されていくように思います。
また、業界のリーディングカンパニーから、社会的インパクトの創出を企図した具体事業の発表が相次ぐのではないでしょうか。それに伴い、インパクトレポートの発行が増加すると思われます。レポートの内容によって、企業間の取り組み姿勢の差がわかってしまう状況になりそうです。(当社でも昨年、インパクトレポート作成支援をしております。)
スタートアップ界隈では、インパクトIPOが相次ぎ、事例が今後も増えていくことが予想されます。

2. 意欲のある企業様へおすすめしていること

ビジネスを通じた社会的インパクトの創出に強い関心をお持ちの企業様には、未来の変化に対応するための具体的アプローチとして、モデル事業におけるインパクト測定・マネジメント(以下IMM)の導入をお勧めしています。

前述のとおり、IMMは財務指標にならぶ、事業成長の新しい尺度をもたらします。また、社会的インパクトの創出のために、具体的にどのような活動が必要なのかを明確にします。インパクト指標という尺度を用いて、誰と、どのようなコミュニケーションを取りたいのかの見極めを第一歩とし、具体的な活動内容まで落とし込んでいくのです。
まずは具体事業で取り組みつつ、順を追って組織でIMMの手法の体得を目指されるのはいかがでしょうか。

ちなみに、IMMに取り組むために必要な時間のイメージをよくご質問いただくのですが、大企業にて、具体的な事業についてしっかりとIMMの準備を整えるために、半年程度は必要になるケースが多いです。したがって、もしIMMに関心を持たれたら早期に行動に移されることをお勧めします。(弊社では、もっと短期間でIMMの流れを知っていただくための「体験版」プランもご用意しておりますので、ご関心ある方はお気軽にご連絡ください。)

大企業においてはインパクトの可能性を秘めた事業は多く存在します。それらがどんどん社会にポジティブな変化をもたらしていくことを、当社は心から願っています。そのために、なるべく多くの社員の方が「自らの関わる事業のインパクトはどのように描けるのか」と考え始められる環境作りを当社では重要視しています。その実現のために、地道ではありますが、2024年もひとつひとつの具体事業について、企業様とともにIMMに一緒に取り組んでまいります。

なお、「事業の情報を伝えるので、インパクト指標だけ教えてくれないか」というお問合せも稀にいただくのですが、コンサルタントにお金を払って「答え」をもらうだけではインパクトに取り組んで得られる価値を、企業が十分に享受できないと当社は考えています。

おわりに

最後に、当社の今年の抱負について語りたいと思います。

当社の姿勢:当社ではこれまでどおりインパクト指標作成にかかるご支援を行ってまいります。その際、インパクト測定・マネジメント(IMM)のやり方を顧客企業に獲得していただくこと(組織へのインパクト思考のインストール)を目指す姿勢は堅持したいと思っています。日本企業に財務的指標以外の価値基準・尺度を根付かせたいというのは、私がJICA時代からの思いで、起業した際の信念にも通じる部分です。

サービスの質の向上:具体的には、今よりもさらに素早い価値提供、リーズナブルな価格、個社ごとのニーズへの柔軟な対応の追求といった普遍的なサービスの質の向上はもちろん、サービスを通して具体事業について指標づくりを支援するなかで、その検討過程をすべて支援先企業に開示していきます。

先進事例を創出:インパクト測定・マネジメント(IMM)は最初にロジックモデルという絵餅を作って終わりではありません。PDCAサイクルを繰り返してインパクトを実現するまでの長期のものになります。今後は、これまで以上にそのインパクトの実現に、長期的にコミットして関わってまいります。
真摯な顧客企業と長期的な関係を構築し、インパクト創出企業として他社のモデルになっていただくことが目標です。

昨年、当社は大企業からスタートアップ、行政と、様々な組織・団体のインパクト創出支援に関わらせていただくことができました。今年はより一層飛躍する年にしたいと思っております。ぜひ本年もトークンエクスプレス株式会社をよろしくお願いいたします。

お知らせ

当社では定期的に企業からのインパクト創出のヒントとなるセミナーを開催しております。
▼Peatixでフォローしていただけると、新しいセミナーがあった際にメールで案内がございます。
トークンエクスプレス株式会社 | Peatix
▼現在、「企業にこそお勧めしたいインパクト測定・マネジメント(IMM)」のアーカイブ動画配信中です。
https://tokenexpress2022312.peatix.com/


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