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[ライブレポート] Mr.Children Tour2023/24 miss you 2024.1.14 東京公演

2024年1月13日~14日に東京国際フォーラムホールAで開催されたMr.Children Tour 2023/24 「miss you」東京公演の2日目に参戦してきました。この公演の余韻を忘れないために備忘録として書いてみました。

筆者は音楽批評家でも古参のファンでもありません。Mr.Childrenの曲を聴くようになって数年の未熟な大学生なので、大層なことは書けませんが、いちファンのライブレポートとしてお楽しみください。


また、この文章にはセットリストを含む壮大なネタバレが含まれます。これからツアーに参加される方、ネタバレを見たくない方はご注意ください。


チケット争奪戦…

2023年7月21日
5年ぶりにつま恋で開催されたap bank fes '23も無事に終わり、次の情報にファンがソワソワしていた中発表された新作アルバム「miss you」とアルバムツアー。X(旧Twitter)上でファンも歓喜に舞うが、過酷な現実に徐々に気づき始めた。今回のツアーは、「ホールツアー」であるということに。

Mr.Childrenが、通算21枚目のオリジナルアルバム『miss you』を10月4日(水) にリリースすることが決定。併せて9月から2024年2月にかけて全国20カ所38公演を巡るホールツアー『Mr.Children tour 2023/24 miss you』を開催することを発表した。

Mr.Children、ニューアルバム『miss you』発売&全国ホールツアー決定 桜井和寿が未発表の新曲を弾き語るティザー映像公開 - ぴあ音楽 (pia.jp)

ご存じの通り、Mr.Childrenは90年代に一世を風靡し、今でもなおファンが多い国民的ロックバンドである。2022年に開催された30周年ツアー「Mr.Children 30th Anniversary Tour 半世紀へのエントランス」では、コロナ禍という制限があるにも関わらず約60万人を動員した。

大規模なドーム&スタジアム公演でさえチケットがなかなか取れないMr.Childrenの次のライブが「ホールツアー」であることは、このツアーに参加できるのは、ほんの一握りの人間だけということを意味する。miss youツアーでは全国各地を廻るものの、各会場の収容人数は2000人程度。30周年ツアーでは1公演で数万人を収容していたのだから、今回のツアーのチケットがプラチナチケットになることは目に見えていた。自分も含めファンたちはこの事実に阿鼻叫喚していた。

2023年8月15日
Official Fan Club先行抽選の当落発表日。X(旧Twitter)上で古参ファンの方々から、過去のホールツアーのチケット争奪戦の厳しさを教えてもらったので、当選するわけないだろうと半ば諦めていた。当落発表時間を少し過ぎてから、悪名高い(?) ticket bordのサイトにアクセスすると・・・

抽選の結果、以下のチケットがご用意できました。

2023年の運を全て使い果たした瞬間だった。その日は、アメリカへ旅行に行く予定だったので、当選を確認すると、急いで成田空港のセブンイレブンで入金し、飛行機に飛び乗った。


2024.1.14 @東京国際フォーラム

開演前

2023年の運を全て使い果たしてから5か月。待ちに待った参戦日がやってきた。これまでの公演に参戦された方から物凄いライブだったという話を聞き、期待で胸を膨らませながら会場に到着。流石は東京、ホールツアーといっても5000人を収容できる会場なので入場待ちの列は大行列。入場が開始され、待機列が落ち着いた後に入場。入場口ではチケットと顔写真付きの本人確認書類を提示。ただでさえプラチナチケットなのに、転売ヤーの手にかかれば物凄い金額で取引されただろうから、転売撲滅のために本人確認が厳重に行われていた。本人確認とチケットの読み取りが終わると、座席番号の書かれたレシートが発行された。レシートを片手に指定された座席に向かう。

「R2扉 1階 48…」
最初に座席が書かれたレシートを見た時は、48列目だと思い、Mr.Childrenの4人の姿ははっきり見えるのだろうか…という一抹の不安を抱えながら座席へ向かった。ホールに入る前に再度座席番号を確認すると

「R2扉 1階 "4列” 48番」

「4列!?!?!?」
実際には48列ではなく、4列の48番。座席は円弧上に配置されているので、ナカケー側の端だった自分の座席はほぼ3列目。この位置だと4人の姿がはっきり見えるだけでなく、手を伸ばせば届きそうな距離で、開演前から意識が飛びそうに。

開場中に流れていた音楽がフェードアウトし、いよいよ公演開始。ステージの照明がパッと明るくなり、ステージ端からMr.Childrenの4人、サポートメンバーのSUNNYさんと山本拓夫さんが登場。



1. Birthday

桜井さんの軽快なアコースティックギターからスタート。「アルバムツアーなのでオープニングはmiss youの曲かな…?」と考えていたら、予想とは全く異なる曲でした。

しばらくして 気付いたんだ 本物だって
熱くなって 冷やかして とっちらかって
シャボン玉が食らったように はじけて消えんじゃない?
そう思って加速度を 緩めてきた

「Birthday」/ Mr.Children

オープニングはSOUNDTRACKSの『Birthday』

そうか、miss youツアーだけど、コロナで開催できなかったSOUNDTRACKSツアーの想いも乗せて、オープニングの曲にSOUNDTRACKSから選んだのかなぁと納得。

曲が始まった瞬間から目に熱いものがこみ上げてきて、抑えられずに涙、涙、涙。目の前にMr.Childrenがいるのが夢じゃなくて現実なんですよ。こんな幸せなことがあっていいのだろうか?

サビに入る直前、「いくよ!!、東京!!!」と桜井さん。その後のコール&レスポンスもみんなで「Oh~ Oh~ Oh~ Oh~」。


やっとMr.Childrenに会えた。ただそのことを実感する瞬間。
観客も一緒になって叫べる、"ライブ"という当たり前の日常が帰ってきた。


首にかけたタオルがビショビショになるくらいの涙。涙を拭って前を向くと桜井さんがニコッと笑ってこちらを向いていたので、一瞬にしてハートを奪われました。何度も桜井さんと目が合って、意識が飛びそうでしたが、段々と現実を受け止められるようになり、1曲目から幸福感でいっぱいに。


2. 青いリンゴ

2曲目はアルバム「miss you」からの1曲。タイトルの青いリンゴのように爽やかな曲調。生演奏を聞いてみるとJENのドラム、ナカケーのベース、田原さんのギターがしっかりと存在する。そこへ山本拓夫さんのブラスが加わって演奏に深みが出る。爽やかだけれども未熟ではない、聞いていて心地良い1曲でした。


3. 名もなき詩

miss youの曲が続くのかと思わせておいて、「ジャカジャーーン」と間髪入れずにスタート。『名もなき詩』はいわゆる定番曲で、AAGや半エンでも演奏され、近年のライブではよく披露される曲の1つ。ただ、今回のホールツアーのセットリストではこうした定番曲はこの1曲のみ。誰もが知っている定番曲には会場の雰囲気をひとつにする力がありました。ちなみに、山本拓夫さんのサックスも素晴らしかったんですが、JEN以上にノリノリで、体全体で表現していて最高でした。


4, FIfty's map~おとなの地図

直前のMCでわれわれ(Mr.Childrenの4人)の世代は尾崎豊に大きな影響を受けたと桜井さんが語っていたことからも尾崎豊をリスペクトして作った曲であることがわかります。Fifty's mapは50代の曲。思春期に尾崎豊に影響を受け、成長・成熟した50代になって改めて嚙み砕いた、そんな1曲でした。この曲で1番感じたのは、桜井和寿の表現力・パフォーマンスの凄さ。尾崎豊という存在を自分なりに表現していたのでしょうか。


5. 口がすべって

ap bank fes '23でも演奏された1曲。この曲がmiss youツアーのセットリストに入っていることは、昨今の揺れ動く社会情勢を意識しているのでしょう。

争い続けている 血が流れている
民族をめぐる紛争を 新聞は報じている
分かってる 「難しいですね」で
片付くほど簡単じゃないことも

「口がすべって」/Mr.Children

世界各地では様々な問題が起こっている。それをただ単に傍観しているだけでいいのだろうかと自分自身に問いかける1曲でした。


6. 常套句

アルバム「[(an imitation) blood orange]」からの選曲。1番はSUNNYさんのキーボードに合わせて、2番は原曲に準拠しながらの演奏。「君に会いたーーい」を桜井さんがいつも以上に優しく歌っていたのが印象的で、桜井さんの甘い声にメロメロになりました。
「君に会いたい」を英語にすると「I miss you」。このツアーにぴったりな曲であることに甘い歌声を聞きながら、ハッと気づかされました。


7. Are you sleeping well without me?

曲の前にMCが入り、桜井さんが『アルバム「miss you」の世界に皆さんをお連れします』と言った通り、「miss you」の曲が曲順通りに続きます。ここからは落ち着いた雰囲気になり、観客は着席し、Mr.Childrenの音楽を全身で浴びました。

この曲をアルバムで聞いたときに感じた第一印象は「暗い、重い」でした。ところが生演奏を聞いてみると、不安定さの中にも美しさがあり、そのギャップにとても感動して聞き入っていました。


8. LOST

アルバムの中で最もお気に入りな曲で、ライブアクトでこの曲がどう進化するか期待していたんですが、想像を超えてきました。最初は桜井さんと田原さんのギターでスタート。

田原さんのアコギ、ヤバいです。エグいカッコいいです(語彙力)
今回はナカケー側だったけど、田原さん側だったら多分、息絶えています…

途中からリズム隊(ナカケー & JEN)が入ることで、壮大さに一層の磨きがかかりました。JENのドラムもこの曲を大化けさせていて、曲が終わった後の満足感と余韻が凄かった。サブスクが全盛期となり、音楽を”聞き流す”のが主流となっている今の時代でも、存在感を放つ1曲になるポテンシャルを持っていると感じたので、今後のツアーでも披露されることを期待したいですね。
ひとつだけ残念だったのは、観客全員が座って聞いていたこと。この曲、物凄い進化していたので、本当は立って、全力でクラップしたかった…


9. アート=神の見えざる手

アルバム「miss you」の1番の問題作 (?)。LOSTの余韻に浸る間もなく、曲がスタート。桜井さんはJENの後ろに設置された小高いステージの椅子に腰かけながら歌い始めます。背景のスクリーンは赤く染まり、そこへ桜井さんの影が映る演出。椅子に座りながら歌い始めますが、半エンの『車の中でかくれてキスをしよう』のようなロマンチックさは全くありません。桜井和寿の狂気さがこれでもかと感じられる曲でした。桜井さんソロでの歌い出しでしたが、「僕のそれは硬くなっていました~」の後から他のメンバーが登場し、一気にバンドサウンドに。バンドサウンドになるとカッコよさが数倍増しでした。ちなみに、ちゃんと"ピー音"は入ってましたよ。ですが、桜井和寿の声はピー音を突き抜けていました。


10. 雨の日のパレード

アート~が終わり、暗転したステージに雨音のSEが流れてから、イントロがスタート。前曲があれだけ尖った曲だったので、サビ前までの落ち着いた感じは安心感を与えていました。サビに入ると、雨が上がって一気に晴れたような明るい感じに。この曲は、スタジアムでも絶対映える曲だと思います。野外の、天気をダイレクトに感じる会場で聞きたいですね。


11. Party is over

この曲では桜井さんと田原さんのみ(後ろにSUNNYさんがいたかも…)の登場。2人のアコースティックギターだけで演奏するシンプルなスタイル。この曲もアルバムで初めて聞いた時は暗さを感じましたが、これくらい落ち着いた曲もライブでは何曲かあると嬉しいです。Mr.Childrenのライブは、MCをあまり挟まずに一気に演奏していくので、ポップな曲、主張の強い曲ばかりだとお腹いっぱいになっちゃうんですよね。ここでの注目は田原さん。『名もなき詩』など以前から披露してきた曲の演奏中は、余裕があってニコニコ楽しそうに演奏していたのが印象的でしたが、「miss you」の曲になると一気にスイッチON。特にこの曲と『LOST』、『ケモノミチ』の演奏中の田原さんの真剣な表情に、ギタリストとしての矜持を感じました。


12. We have no time

鈴木英哉 × 山本拓夫、ヤバすぎる・・・
JENの力強いドラムに山本拓夫さんの駆け抜けるようなサックスの音。アルバムで聞いた時よりもめちゃくちゃカッコよく進化していました。間奏では山本拓夫さんのサックスソロも。会場中を暴れまわるようなサックスの音色は凄かった。


13. ケモノミチ

アルバム「miss you」の中で先行配信された曲。ドキドキで配信スタートと同時に聞いて、拍子抜けした曲です。「田原さんは? ナカケーは? JENは? どこ行った…??」と感じて桜井さんのソロ曲かと思ってしまいました。

ですが、、、

ライブで実際に聞いてみると、そこには田原さんもナカケーもJENもいました。ボーカルの声に、ギター、ベース、ドラムスが合わさって、これこそMr.Childrenの曲だ!!という安心感。今回のライブで聞いた「miss you」の曲全部に言えることですが、どの曲もライブ化けが凄い。ライブ音源版でアルバムを出して欲しいくらい進化していました。


14. pieces

ここで「miss you」の曲から離れて、アルバム「[(an imitation) blood orange]」からの選曲。ブラオレ、不作とか言われていますが、1曲1曲聞くとめちゃくちゃ良いんですよね。この曲は、ap bank fes '23 2日目の日替わり曲として登場していました。その時も感じましたが、『pieces』は30周年を迎え、50周年へ向けて歩み始めたMr.Childrenの決意表明とも取れる曲ですね。

軌道を逸れて
放り出された夢が 夢が萎んでく
このまま消えそうだなんて 頭をかすめる
でも 消えてなくなっても なくなりはしないだろう
君と共に生きた奇跡
さぁ 次の余白に続きを描こう
いつか描いたやつより 本物にしよう

「pieces」/ Mr.Children


15. 放たれる

続いては「REFLECTION」からの1曲。この曲は、命の尊さを感じさせる詩で、今回のツアーの世界観にも合った曲です。ここでの注目はナカケーのベースでしょう。この曲ではナカケーの後ろからライトが当たり、ナカケーの演奏が際立ちます。それを超特等席で見ているのですから、ベーシスト・中川敬輔にますますほれ込んでしまいました。


16. 幻聴

続いても「REFLECTION」から。『幻聴』はライブで聞きたかった曲のひとつで、イントロが流れ始めてから嬉しさに胸がいっぱいになりました。『SUNRISE』とかイントロが長い曲は好きなんですが、中でもこの曲は"イントロでご飯が何杯も行けそうなくらい"好きなので、演奏してくれてとてもうれしかったです。ただ、残念ながらアウトロでのコール&レスポンスは無し。これはホールツアーの後に開催されるであろう、ドームかスタジアムの規模の大きい公演でやってほしいですね。


17. 声

やってくれました、ライブで聞きたかった曲No.1。コロナ禍で歌うこと、声を出すことが制限され、当たり前だった日常がこんなにも貴重なものだと認識させられたこの2~3年。制限が無くなって初めての単独ライブで聞きたい曲、コール&レスポンスの再開にふさわしいと思ったのは、この曲『声』でした。久しぶりのコール&レスポンスに会場のボルテージも最高潮に。

圧巻だったのはラスト。桜井さんと観客の「イェーーーーイ」のコール&
レスポンスの後、ステージ中央に移動した桜井さんはマイクを持つ手を後ろで組み、なんと、マイク無しで「イェーーーーイ」×2。しかもその声は、マイクを通していないのに、5000人もの観客がいる会場の隅から隅まで届く声。

客席は「えっ、えっ、どこから声でてんの…?」と困惑の反応。生声を聞けたという喜びよりも桜井さんの凄さに(良い意味で)ドン引きしていた人がほとんどでしょうか。桜井和寿、53歳。ほぼノンストップで20曲近く歌った後のこの生声。凄いとか尊敬とかを通り越してバケモノです。

桜井さんの生の声を聞ける機会なんてそうそうないので、ホールツアーだからこその貴重な体験でした。


18. Your Song

やっぱり良いですよね、この曲。半エンでは桜井さんの弾き語りでしたが、今回は4人での演奏。JENの「ワン、ツー!!」からスタート。JENも楽しそうにドラムを叩いていたし、『Your Song』はバンドでの演奏が好きですね。演奏に集中していて他の曲ではなかなか観客の方を向いてくれなかったナカケーが、ステージギリギリまで前に出てきて、観客の方を見ながら演奏してくれました。これに右前方の観客は大興奮。(反対側では田原さんも前に出ていたのかな…?) コール&レスポンスもあり、「ウォーーオォーー」の所は一緒に叫びました。


19. deja-vu ※東京公演限定

『Your Song』は、半エンではアンコールで、ap bank fesではラストの曲だったので、もう終わりなのか…と少し寂しく思っていたところ、桜井さんが「新年一発目なので、特別なことをします。スペシャルゲストをお呼びしています。」とMC。会場中が一気に沸き上がります。そして、舞台袖からアルバム「miss you」でピアノとコーラスを担当した小谷美沙子さんが登場。小谷さん、緊張していたのか恐る恐る登場したんですが、演奏が始まると素敵なピアノの音色と声を響かせていました。桜井さんのラストの「あぁ僕なんかを見つけてくれてありがとう」というまっすぐな言葉に、ウルっときました。『deja-vu』の演奏は、東京公演の2日間限定。映像化もされないので、Mr.Childrenから特別なお年玉を頂きました。


20. おはよう

本編のラストは、アルバム「miss you」の最後の曲『おはよう』。曲前のMCでは、「明日の朝、起きた時にこの曲のこと、今日のライブのことを思い出して欲しい」と桜井さん。この曲は日常を具体的に描いた歌詞で、誰もが違う日常を送っているけれど、Mr.Childrenは1人1人の日常の中にいるということを伝えたいのかなと思ったり。正直、今回のライブが幸せすぎて、終わった後の喪失感やロスが凄いと感じていたけれど、この曲を聞いて、今日の思い出はずっと心の中に残り続けると確信に変わりました。この曲のコーラスは桜井さん、SUNNYさん、小谷さんの3人。最後の桜井さんの口笛がなんとも切ない・・・。この温かい空間がずっと続けばいいのにと願うけれど、もうすぐ終わってしまう現実。それでも、虚無感は全く無く、晴れやかな気分でした。

演奏終了後は、SUNNYさん、山本拓夫さん、小谷美紗子さんの紹介をして、メンバーも一旦退場。照明が落とされると、会場中からアンコールの拍手が。スマホのライトを照らす人も、大声で「アンコール!!」と叫ぶ人もおらず、温かい拍手でアンコールを待ちます。


21. 優しい歌 [encore]

桜井さんが1人で登場。MCでは、「これまでデビューしてから何曲もの歌を作ってきましたが、どんな歌を作ればいいんだろう、どんな歌を歌えばいいんだろうと分からなくなった時もあります。そんな時にできた歌です。」と。"Mr.Childrenの全て"と言われ、作詞作曲からボーカル、ギターまで色々こなす桜井さんしか分からない苦悩もあるのでしょう。また、「これからもどんな歌を作ったら良いのか、どんな歌を歌ったら良いのか、迷ったり悩んだりすると思いますが、そんな時は今日の(観客の)皆さんの表情を思い出して、自分を奮い立たせます」と話していました。(MCの内容は若干違うかもしれませんが、大体こんな内容でした)

Mr.Childrenの、桜井和寿の道標となる曲は何だろうと思いながら、桜井さんのギターの弾き語りで始まったのが『優しい歌』でした。バンドで披露されるこの曲は、コール&レスポンスもあり、明るく一体感が生まれる曲ですが、今回のアレンジではしっとりと切ないけれど、優しさにあふれている印象で、同じ曲でもこれほどまでに受け取り方が違うのかと驚きました。(Bank bandで披露した時のアレンジに似てるかも…?) 途中からはSUNNYさんのキーボードが、桜井さんの歌声にさりげなく寄り添い、気がつくと涙が溢れ出ていました。

優しい歌 忘れていた 誰かの為に
小さな火をくべるよな
愛する喜びに 満ちあふれた歌

「優しい歌」/ Mr.Children


メンバー紹介

ここで再び、田原さん、ナカケー、JENが登場。メンバー紹介のMCは田原さん。田原さんは、「コロナ禍でライブができない状況が続いたけど、そんな時に始めた『誰も得しないラジオ(仮)』で多くのファンからお便りをもらって、僕らが勇気をもらった。本当にありがとう」とメンバー紹介の前に感謝を述べていました。田原さん、誰も得しないラジオを誰も"知らない"ラジオと言い間違えて、会場がざわつき、JENからツッコミが入っていましたが(笑)

続いてナカケー。ナカケーが話し始めようとすると、観客席から「ナカケー!!阪神優勝おめでとぉぉ~~!」という声が複数。それに対してナカケーは、「阪神優勝、(自分には)関係ないけど、とりあえずありがとうって言ってる」と返して会場中の笑いを誘っていました。その後も「ナカケー」コールが鳴りやまず、話をなかなか進められないナカケーが放った一言、「うるせぇよ、今から俺が話すんだよ」。男前な一言を聞いて、ハートをぶち抜かれ、キュン死しました。ナカケー、イケメンすぎる。

その後は、JEN。JENは相変わらずですね~ いつも通り会場を盛り上げていました。今回はJENの掛け声で観客が「オィーッス」と声出ししました。最初は全体で、その後1階席、2階席と別れて声出し。少数精鋭が集まった(?)2階席の声がとんでもなく大きく、メンバーと1階席はザワザワ。これまでの公演の中で1番声が大きかったそうです。続いて女子だけで「オィーッス」。JENは「可愛いぃ」と発言し満足したのか、マイクを返そうとしました。観客の男性陣、「俺らは…??」となり、JENが男性陣に振り、男子だけで「オィーッス」。JENは「野太ぇえ」との感想を残し、去っていきました。

最後は桜井さん。地震についても触れ、「2024年は年明け早々色んなことがあって大変だと思うけど、皆さん良い1年にしてほしい」と話すと同時に、「(東京公演が)新年1発目のライブだったけど、良いスタートを切れた」と語っていました。


22. The song of praise [encore]

 メンバー紹介が終わり、次の曲へ。桜井さんが「この曲はコール&レスポンスを想定して、SOUNDTRACKSツアーが決まる前から作っていました。」とMC。桜井さんもコロナで開催できなかったSOUNDTRACKSツアーのことを無念に感じていたと思います。「積み上げて また叩き壊して~」から入り、原曲通りに演奏。もちろん「Oh~ Oh~」のコール&レスポンスもしっかりと。この曲は、初めてライブで聞いたんですが、もう何度も聞いているかのように自然に入ってきて一緒に歌えました。個人的には、コロナ禍でMr.Childrenの曲を聞くようになって、その時はちょうど受験生で、『The song of praise』に凄く背中を押されたのを思い出しました。まさにタイトル通り"讃える歌"。ホール全体の一体感を象徴するような1曲でした。


23. 祈り ~涙の軌道 [encore]

「次が最後の曲です。いつかまた、会えることを願ってこの曲をお届けします」と桜井さんのMC。アルバム「miss you」のツアーだから、『I miss you』で終わるんだろうなぁと思っていた自分が間違いでした。最後の曲でもあり、桜井さんが発する一言一句を噛み締めながら聞きましたが、歌詞が美しいですよね、この曲。

さようなら さようなら さようなら
憧れを踏みつける自分の弱さに
悲しみが 寂しさが 時々こぼれても
涙の軌道は綺麗な川に変わる
そこに 笹船のような 祈りを浮かべればいい

「祈り ~涙の軌道」/ Mr.Children

変えることのできない残酷な現実を突きつけられて、流した涙は、決して無駄なものではなく、きっと未来につながるという、複雑だけど深い意味を持つメッセージだと自分なりに理解しました。


終演

アンコールが終了し、再びサポートメンバーの3人が登場。最後に全員で並んで挨拶。客席に向かってお辞儀をするときに桜井さんの「ありがとうございました」という声が聞こえてきました。先にサポートメンバーが舞台を降り、「Mr.Childrenでした、本当にどうもありがとう。気をつけて帰ってください。また会いましょう!バイバーイ!!」と桜井さんはお馴染みの言葉を残して、Mr.Childrenの4人も退場。JENは跳ねながら退場し、一度いなくなったと思ったらまた戻ってきて、最後まで会場を笑わせていました。メンバーの退場中は『Fifty's map~おとなの地図』が退場曲として流れ、メンバーが退場し、曲がフェードアウトして公演は終了。終わった後の充実感、余韻が物凄く、後ろ髪を引かれる思いで会場を後にしました。

まとめ

ここまでつらつらと各曲の感想について書いてきましたが、最後に全体を通しての感想を少しだけ。

  • ホールツアーは贅沢

  • アルバム「miss you」はホールツアーで完成する

  • 桜井和寿はバケモノ

・ホールツアーは贅沢
ホールツアーという規模の小さな会場&特等席でMr.Childrenの姿を見れる機会はもう一生無いと思います。今回の席、スタジアム公演の最前列よりも近い距離かもしれません。音響が最高で、会場の一体感も素晴らしく、セトリも良くて、この上ない至高な時間でした。

・アルバム「miss you」はホールツアーで完成する
アルバムを初めて聞いたときは、物足りなさを感じたんですが、ライブで「miss you」の曲を聞くと、どの曲も物凄く進化していました。そこには、桜井和寿だけではなく、田原健一が、中川敬輔が、鈴木英哉がいる。これこそ、Mr.Childrenが届ける"音"なのだと改めて実感しました。

・桜井和寿はバケモノ
半エンでは、中盤少し苦しそうに歌っていたのが、少し気掛かりだったのですが、そんな心配は無用でした。今回の公演では、声は絶好調で、23曲をほぼ休みなしで歌い続け、終盤にも関わらず生声を会場中にとどろかせたのははっきり言って、バケモノです。(もちろん、良い意味で…ですよ) 『常套句』での甘くてエロい声に、『アート=神の見えざる手』での狂気じみたパフォーマンス。どれをとっても最高でした。桜井和寿、53歳、恐るべし

終わりに

正直に言って、座席に座ってから公演が終わるまで、断片的な記憶しか残ってなくて、ほとんど覚えてないんですよね。(開演直前にあなたの席はステージに手が届く位置ですよと言われても心の準備ができないですから。) コール&レスポンスをやったのは『声』と『Your Song』、『The song of praise』くらいで、観客の皆さんもMr.Childrenに圧倒されて、静かに聞き入っていました。

退屈だったとかネガティブなイメージは全く無く、"優しい驚き"に満ちた公演で、終わった後の満足感と余韻は凄まじいものでした。30周年を迎え、50周年、更にその先へと向かうMr.Childrenの飽くなき進化を身をもって体感しました。Mr.Childrenという素晴らしいバンドに出会えたこと、今回のホールツアーに参戦できたことをとても誇りに思います。人生最高のライブでした。

ライブレポートは以上です。拙い文章ですが、1万字を越えるレポートを最後までお読みいただきありがとうございました。感想があれば、是非コメントかTwitter(X)のDM ( @deptltat )までお寄せいただけると嬉しいです。

セットリスト

Mr.Children Tour 2023/24 miss you
2024.1.14 @東京国際フォーラム ホールA

  1. Birthday

  2. 青いリンゴ

  3. 名もなき詩

  4. Fifty's map ~おとなの地図

  5. 口がすべって

  6. 常套句

  7. Are you sleeping well without me?

  8. LOST

  9. アート=神の見えざる手

  10. 雨の日のパレード

  11. Party is over

  12. We have no time

  13. ケモノミチ

  14. pieces

  15. 放たれる

  16. 幻聴

  17. Your Song

  18. deja-vu 

  19. おはよう

  20. 優しい歌 [encore]

  21. The song of praise [encore]

  22. 祈り ~涙の軌道 [encore]




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