はちみつ
どろどろしたものが体の芯を流れている。
はちみつ生姜飴を流し込んでも染まることはない。はちみつよりももっと黒くてもっとどろっとしている。
この正体を私は知っている。正確には、これが何を自分にしてくるかを知っている。どろどろはいつも喉の真ん中につまり、それより上に出てくるとこんなにどろどろしているのに綺麗に姿を変えて透明な涙として姿をあらわす。
そうか、透明なのにこんなにも見る人の顔を歪ませ呆れさせ失望させるのはこの中身のせいか。
いわゆる「普通」と呼ばれる人たちが無視できていることを無視できない。もう少しザルだったらよかったのに、と思うこともある、けど、これだから私なんだと思うし、ザルじゃ面白くないとも思う。
大人たちの会話に重さを感じる時、こうやって「大人たち」と自分を切り離している時点で既に、私は大人になれていない。
でも姿は見た目は年齢はもう大人なんだよとっくに。借り物でナンバーでしかないのに。
平気で子供している大人も多いけど、そのスキルも私にはない。ほしくもない。だってきっと私は「大人になりたい」と思い続けてきたから。
どろどろがさらさらになる日はくるんだろうか。どろどろもどろどろと感じなくなる日がくるんだろうか。
飴の核にあったはちみつが、ぐにゃりと形を変えて喉に流れていった。
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