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日経記者が語る取材の舞台裏

前回参加した「日経活用術」に引き続き第二弾!

「日経記者が語る取材の舞台裏」

文章は見出しが命、ほんと、うまいタイトルつけるな。

舞台裏」ってなんか、
オフレコ話がボロボロ出てきちゃうんじゃないの?」って期待増します。(実際そういうことではありません)
こういうつい、気になってしまうタイトルつけなきゃいけないってことね。

今日の目的は
取材の手法を学び「情報を深掘りする問い」を立てられるようにする


その道のプロはどんなことを考えて、どんな準備をして、
どんなコツを得て取材しているのか。
長年の経験から編み出した手法をあわよくば、こんな短時間でお聞きしようと甘い考えで参加して参りました。


今回のプレゼンターは

日経新聞
編集委員兼論説委員
奥平 和行氏 

1999年入社 編集局産業部 日用品、特におもちゃを取材
(野球盤ゲームのエポック社、タカラなど担当)
商社、自動車、電機、通信を担当
2010年〜2014年 シリコンバレー支局でITスタートアップを取材。


まだ、時間にして開始から3分。もう、この辺で相当なエリート感に圧倒される。編集委員!論説委員!
新聞といえば、さらさらっと大きなタイトルだけ読んだあと、
気になった記事を読み、最後に社説を読んだら
「新聞読んだ!」気分になる私。
その、「社説」を担当してる人が目の前にいる。

会社のご意見番ってことでよろしいのでしょうか。

しかし、今回のプレゼンターの皆さんがとても若い。
進行役のお二人もとても若いし、編集委員兼論説委員をされている奥平さんも想像よりとっても若い。
登壇者の予定で見た写真は若い頃のもので、
実際はもっとがっちがちの気むずかしそうなおじさまが出てくるのかと思っていたし、社説書く人だもの、偉っそうオーラ全開かと思いました。(失礼)
またちょっと日経新聞を身近に感じる、または自分が年をとったのかもしれない。どっちにしても中の人を知れるってとてもいい。


どんな人が取材しているのか

奥平さんは「すごい」人たちをたくさん取材してきた人だ。

入社後に担当した「おもちゃ」の話で一般人の心の壁を取っ払ってくれたが、日経新聞のエース記者である。
世界のシリコンバレーでITやスタートアップを取材し、
だれもが知ってるメルカリについての著書もある。

いわゆる記者のイメージ「夜討ち朝駆け」もやっていたし、
取材先に通い詰めて取材相手の奥様に家に上げてもらって取材相手を待ったこともあるそう。
うん、なんだかドラマに出てくる「記者」っぽいし、想像してた感じ。

万全の準備をして一旦忘れる

そんな奥平さんはご自分でも認めるくらい、たくさん取材の準備をするのだそうだ。

「できるだけたくさん知っていた方がいい」

確かに取材を受ける側の人に一度「記者の事前準備が不足している」と受け取られたら「好感」は持ってもらえない。人間相手の取材、人間は感情の生き物だ。最善を尽くすための準備だろう。

ところが取材が始まると、準備したことを一旦忘れて相手と向き合うという。

準備したものばかりを前面に出すと取材されるのを慣れた人は「ストーリーありきで『』を取りに来た」と感じる人もいるのだという。

しかし、せっかく準備したものをすっぱり忘れるなんて潔い。
おそらく、「忘れる」と言うのは相手のことを考えながら準備をしてきたことを押しつけないということだろう。一回空白を作ってそこに入ってもらえるようにしておき、肝心なところでさらっと準備したものが出せるように引き出しは開けておくのだろう。


遅刻しない

奥平さんのルールの一つ。これは彼のみならず、私でも説明無しで理解できる、納得。いつも基本は大事。

ちなみに、取材相手は遅刻してくることがあるらしい。

記録に集中しすぎない

奥平さんは、特に1対1の取材の時はパソコンを使わず、相手の表情仕草を見るようにするのだそうだ。意外にもメモはページを半分に折った普通のノート。
そして、「本当に集中して聞いていると、大事なところは覚えているもの」なんだそう。さすが。

今はオンラインで取材しようと思えばできるし、きっとそんな場面もあるかもしれない。音声もICレコーダーで長時間録音できる。

でも、同じ空間で時間を合わせて、顔をつきあわせる。たくさん準備して取材に臨むって記録して文字におこすだけではない。
せっかく会っているのだから人の顔を見て話そう。
なんだかいつも対人ルールは変わらない感じでほっとする。
ちなみに、ここまで一言一句聞き逃しまいとパソコンでぱちぱち入力していた私の手が止まる。

音声以外の情報を読み取る

奥平さんは、言葉と言葉の間の「うーん」とか「えー」とか言いよどんだ時も遮らない方がいいと続けた。

沈黙が怖くて思わず言葉をかぶせがちになるけれど、音声以外の情報を読み取るのだという。

軸が必要

答えやすい質問で場を温めてから徐々に
「なんでそう思うようになったのか?」などなるべく根っこの部分を聞くようにしていくのだそうだ。

その上で10年前、20年前といった風に内容に応じて社会的、または個人的に時間軸をつくり時間の物差しを意識して質問をつくるとより膨らみやすいという。

また、例えば日本とアメリカ、というような地域的な広がりを持たせることでも気づきを与えやすくなるという。

時間軸や地域の軸、基準になる軸を加えることで広がりが生まれる。

起点としてちっちゃなとげが引っかかってる感覚

どんどん話は面白くなってきて、奥平さんの表現力に圧倒される。

「ある種そのときのマジョリティに批判的なことを書くと反感を受けるが
みんなが「白」と言っているときに「黒は?」と言う意見を投げる役割がある」という。確かに読み手としてもそういう記事を読むと、一旦立ち止まって考えるきっかけになる。

別の見方から見てみる、起点としてちっちゃなとげが引っかかっている感覚、そういった視点を持っているから問題を深掘りする問いを立てられるのだろう。

いきなり完璧を目指さない

当然取材をしたら記事を書くわけだが、
奥平さんはまず取材の段階で脳内運動をしておき、
文章を書くときに設計図を作るという。
裏紙にメモを書くこともあるという。

取材してすぐ書き始めるときと、温めてからかくときとあるそうだが、
書き始めたら使いたい慣用句が曖昧ならそのままにして書き進み、あとで調べる。
何らかのデータを入れると客観性が増すが、数字が曖昧なら○○で抜いておき、それもあとで埋めていくという。

とにかく完璧を目指さずに書く、のだそうだ。


神様が降りる瞬間は〆切り前

エース記者だし、常に神とともに歩んでいるのかと思ったら、
奥平さんに神様が降りる瞬間は〆切り前という。

記者にもタイプがあって、〆切りよりもずいぶん前に仕上げてしまうタイプと奥平さんのように神の降臨が〆切り間近なタイプ。

「だから子どもに早く宿題やりなさいなんて言えないんです。」ってお父さんの顔をのぞかせた。「今日も午前中泣きながら書いてた。」なんてお話もされた。

そこでもやはり見出しの話題に及び、
「見出しが浮かぶ記事はすんなり書ける」と言っていた。
私は文章を書いてからタイトルを考えるタイプなので残念ながらエース記者と逆だった。

簡単というようになったら記者ではない

そんな記者歴20年以上のベテランエース記者でも取材は
「天気、体調、テーマ、相手、同じ人でも相手の心持ち、状況など再現性がないので難しい」という。

今日はいい話聞けたなという日もあるし、今日は愚問しかできなかったと肩を落として帰る日もあるという。

大手町付近で肩を落としている人を見かけたら、今日は取材がうまくいかなかったのかな、と思ってしまうかもしれない。

「取材が簡単というようになったら記者ではない、100点満点はない。苦労して引き出す、面白いこと聞き出すために常に今でも苦労している」という言葉がとってもまじめだなぁと思ったし、とても好印象だった。

「毎日見出しだけさささっと読み、気になる記事だけ読む」ような読み方をしていた自分がとても恥ずかしい。
さらにそれを公言していたなんて・・・
良く日経本社に通してもらえたものだ。

刺さる感覚も変わってくる

情報を伝える媒体がデジタルに変化し、伝えられる文字数の制限もずいぶん緩和された。多くの人があらゆる情報を得やすくなって、情報を得る側の目も肥えている。情報を提供する側も変わっていく。
奥平さんは「今後は100万人には刺さらないけど、1万人には刺さるという感じになってくるのではないか」と今後の刺さる感覚が変化していくと話した。

情報提供ツールがデジタルに変化したからこそ、フィードバックを得られる利点はこういうところにあるのかも知れない。情報を得る側の感覚の変化を即座に感じ取りそれに呼応する形で変化していくのかもしれない。

相手を尊重している

「情報を深掘りする問いを立てる」ためには
取材相手を思って準備し、
相手の気持ちを引き出すためにそれを一回すぱっと捨て、
相手を見て表情や仕草から言葉になっていない部分を読み取る。

とにかく、取材相手のことをとても尊重する姿勢を感じた。

情報をより深く得ようとするならば、得るだけではなく、それ以上に相手を尊重しなければならないのだ。

取材する側は、「みんなが知りたがっていること、
読みたくなるような情報を引き出したい」し、
取材される側は「できるだけ都合の良い広めたいところだけを情報提供したい」という利害の対立がある。

みんなが知りたいことは本人のあまり教えたくないところだ。

そこを相手を尊重しながらうまく引き出して、同じ方向を向かせるのだからやっぱりプロだ。
「さすがだねぇ、プロだねぇ」で完結させることなく、
まずはできるだけ真似して相手を尊重し、深掘りする問いを立てていこう。
アウトプットもそうだが、インプットも練習あるのみだ。


さらに、私ももう少しイベント前には情報収集して準備して臨もうと反省した。
これまであまりにもただ漠然と「勉強になるかもしれない」と、甘い考えで
相手のことを知らないまま自分の吸収だけを求めていた。
やっぱり何も知らないまま参加するのは、せっかく時間を共有してくれるプレゼンターに失礼だし、深掘りする問いは立てられない。吸収率も全く変わってくるだろう。

サービス業長いのに全く相手を尊重していなかったことに気がつく。

最近は本業の毛糸屋さんの記事が全く書けずにいるけど、
そろそろ本腰入れて書けるんじゃないかって気になってきた。(ほんとかな?)
私は記事をおこすのもかなり時間がかかるし、何度も推敲したいタイプ。
世に送り出せていないnoteの下書きは二桁たまっている。

つべこべ言わず、まずは続けることから、
何度も失敗してるけど、宣言だけして自分にプレッシャーをかける。

Nサロンに入らなければ自力ではたどり着けない貴重な機会をたくさんいただいている。ただし、Nサロンは有限でそろそろ半分が終わる。

まだまだ私のNサロン勉強記はつづく。もう少しおつきあいください。

#日経取材術





















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