重要!ニット製品の納期設計
こんにちは。
【アパレル界のニット姫】こと、
工業ニットスペシャリストのHiromiです。
今日は、最近とても多い10ピースニットファクトリーでの
初めてのお問合せの案件で、
ご要望にお応えしたくてもどうしてもできない、
とっても残念な事例、
『工業ニットビギナーがニット製品製作の際に要する期間』
について、触れてみたいと思います。
先週・先々週と、特に3ゲージの起毛モヘアについての
製作依頼が急増していたのですが・・・
今(7月末)からの初問合せで、9/末納期…
絶対に無理です💦
お盆休みを挟まない時期だったとしても、
ビギナーの方が「新商品を2か月で仕立てる」なんて、
無謀です💦
その、なぜ無謀なのか…について是非ここでお伝えして、
本当に作りたい場合は、期間を逆算して計画していただく
ことをお勧めしたいのです~。
ということで、早速ニット製品を作るプロセスと
要する期間を解説したいと思います。
【ステップ1】糸の選定(=素材決定)
・企画イメージと共に、どんな素材イメージで
どんなゲージ・ディティールのものをお考えかヒアリングを行い、
それが何ゲージで、どんな糸のことを仰っているのか確認、
候補となりそうな素材資料をヤーンメーカーから取り寄せるなどして
郵送でお送りして決めていただきます
■糸決定までにかかる時間:10日~2週間
※迷ってしまう方にはこの段階で候補素材の原料を
お買い求めいただき、テストピースを編んでお送りします。
その場合、ステップ1だけで1か月かかります。
【ステップ2】編地の肉感、風合いの選定(=編地出し)
・糸が決まったら、希望のデザインに沿った糸どり本数や
編み組織を決定するためのテストピースを編んでお送りします
■所要期間:工場の込み具合にもよりますが、編立・送付まで約2週間、
お客様が決定してくださるのに2週間程度かかっています
【ステップ3】デザインの吟味(=デザイン打合せ)
・ステップ2で決定した編地の肉感や風合いを基にして、
トワール組みを行うなど、希望のイメージを汲み取れているか、
デザイン画が描けない方の場合は特に衿ぐりの開き具合や
各ディティールの雰囲気など、丁寧にコミュニケーションを
取って詳細確認の上、工業ニット仕様設計書の製作に入ります。
(特殊なデザインでパターンが必要な場合は、パターンを支給して
いただくか、別途有償にてパターン製作代行いたします)
■所要期間:2~3週間
【ステップ4】試作サンプル(1点サンプル)の製作
・仕様設計書に基いたコンピューター編機編成用CADデータを作成
・前後身頃、袖、衿など、各パーツの編地を編立てる
・ニット用ミシン、リンキングミシンなどを使用して縫製
・編地、又は製品でソーピング(水洗い)・縮絨加工・起毛加工
・検品
■所要期間:工場の込み具合にもよりますが、2週間程度掛かります
【ステップ5】試作サンプルの検討
・お客様にサンプルを送ります。先方で検討会が行われ、
修正の有無、色展開又はサイズ展開を検討されます
■所要期間:当社に結果ご連絡いただくまでの平均期間は2~3週間後です
【ステップ6】修正サンプルの作成 (発生すれば)
・基本的にはありませんが、大幅な修正が出る場合には
必要となります。
【ステップ7】:量産依頼
・ステップ5で検討された内容を確認、修正があればその部分について
工場と改善案を検討し、スワッチなどで改善方向を決めるなどで
課題をつぶした上で量産に入ります。
■所要期間:工場の込み具合にもよりますが、概ね1~1.5か月
※起毛加工・ミンク加工、刺繍などの2次加工が入ると、
其々の先様のスケジュールによって変動しますが、
+1か月は見てもらった方が無難です。
【ステップ8】:量産の出来上り
当社に納品され次第、抜き取り検品チェックを行い、
だいたい翌日にお客様へお送りします。
■所要期間:2~3日
これら工程を全部足すと5カ月くらいになるのです。
ご理解いただけるでしょうか。
ニット製品は布帛製品に当たる生地づくりからニット工場が行うので、
布地の製品と同じような感覚では製作できないのです💦
その代わり、生地から自由に作れるのが特徴で、
オリジナリティの表現幅がとても広いわけです。
※上記は、あくまでも当社「10ピースニットファクトリー」に
お問合せ下さる工業ニットビギナーさん(極小ロット希望)の場合で、
一般的に既に付き合いがある大規模工場様と顧客の関係にあるアパレル様
などは、生産の年間計画を立てて取引をされるので、
もっと短納期での生産が可能かと思います。
工業ニット製品は、小ロット生産を請けてくれる工場さんを探すのが
至難の業かと思います💦
それには、これだけの工程を踏むのに小ロットでは経済合理性が
どうしても合わないから…。
そこを何とか覆して、素敵なニット製品の生産に挑戦したいという方が
1社でも増えてもらいたいと思い、
私たちは【10ピースニットファクトリー】サービスを始めました。
ただ、どの工程も小さな「町こうば」さんと連携を組んで
成立させているので、機動力不足は否めません。
けれど、逆にここまで丁寧にステップを踏んで、都度説明をしながら
本来重要な編地出しなどの工程を端折ることなく
一緒にお作りしますので、
「工業ニットはどうやって作ればいい商品になるのかー」
のノウハウが身に付くと思います。
実は、この学びが一番大きなことなのではないかな~と思って、
私たちは【10ニット】のお仕事させていただいてます^^
ニットの生産工程について、
「なるほど~❣」と思って下さったら、
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