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ウエズレーの国 【並べて楽しい絵本の世界】

【並べて楽しい絵本の世界】

ポール・フライシュマン 作
ケビン・ホークス 絵
千葉茂樹 訳
あすなろ書房

もう1ページ目から ニンマリしてしまうのです。
不思議なモノがそこらじゅうに散らばる部屋。

そこに、ホッピングに乗っかって、頭にヘッドホンのついたヘルメットみたいなものを被って、ゴルフのクラブを手にした丸眼鏡の少年=ウエズレーがいます。

壁の高いところに通風孔があります。そこにはラッパのようなものをあてがってあり、ラッパについた管は謎のヘッドフォンつきのヘルメットにつながっています。

何をしているのかといえば・・・
となりの部屋の親の会話を盗み聞き♪
彼の手作りの機械にちがいありません。

「あの子ったら、かわいそう。
いつもひとりだけ、はみだしてるわ」
おかあさんが、そういった。
「たしかに、あの子はういてるな」
おとうさんは、そういった。

そのとおりかもしれないな
ぬすみぎぎしていたウエズレーは、うなずいた。

濃い青の空の下
ウエズレーは自分の うきっぷり なんてなんのその
ちょっかいをだしてくる子なんて、ひょいひょいとかわしていきます。



ウエズレーは分厚い本を食い入るように読んでいます。
部屋にはうずたかく積まれた分厚い本があります。
どうやら彼はお勉強が大好き。
次々に持ち上がってくる好奇心!

おとうさんはいつもそんな彼に
「いまにきっと、やくだつさ」と言っています。

顔を輝かせて本を読むウエズレーの後ろで、お父さんはパジャマ姿でのんびりと新聞を広げているし、おしゃれをしたお母さんはお菓子を頬張っていたりして、ウエズレーの輝きとは対照的なんですが。。。

さて、来週からは夏休み。自由研究の宿題があります。
ウエズレーはとつぜんひらめきます。
学校の勉強が役立つ時がやってきた!

彼はどんな自由研究をするんだろう?
こちらがわくわくしてしまいます。

タイトルが「ウエズリーの国」ですもの、きっと国をつくるのでしょう。
そこまでは導入の数ページで了解です。


ウエズレーはまず庭をたがやしました。
夜になると強い西風がその畑に種を運んできました。
その種が5日後に芽を出します。
不思議な赤い植物・・・
となりのおじさんが、その雑草、さっさと引っこ抜いちゃいなといいますが、もちろんウエズレーはそんなことしません。
じぶんの庭で今まで誰も見たことのない新しい植物を育てているのですから!

この隣のおじさんは、この後も各ページのすみっこに登場して、この絵本の楽しさのナビゲーターになってくれています。あっけにとられた顔が可愛らしい良い味をだしています。

ウエズレーはどんどん成長し、やがて実をつけたこの不思議な植物を、余すことなく利用します。

実をたべて、かたい皮を乾かしてカップをつくり、そのカップでジュースを飲み・・・根っこも葉っぱも、全部使います。茎の繊維をとって、帽子を作ったり、織って服もつくります。

その賢さ!そのアイディア!

街の人々が塀のまわりに集まってきて、そんなウエズリーの仕事ぶりに唖然としているのが楽しい。もちろん読んでいる私もです♬
ウエズレーは国にそんな街の人々も招き入れます。仕事を手伝わせてあげて、作った製品を販売したりもします。


このページに描かれているのは、日時計です。
次にはみんなと遊べるゲームを考案します。
自分だけの空中ベッドを作ります。

そして国の名前「ウエズランディア」も決めて、その歴史をみずから考えた文字「ウエズレー語」で記録するのです。すべてのものにウエズレー語で名前をつけます。この不思議な赤い植物の名前は「サルーシュ」です。

とどまるところを知りません。




虹を正しい色の順番に描くことができますか?(私は今でも描けません)
3歳の孫が、誰かに教えてもらったわけでもないのに、虹が描けると聞いて驚きました。生まれる前にどんな美しい国に住んでいたのでしょうか。

この絵本はそんな驚きをくれます。

私自身は学校で勉強したことを、まったく人生の中で役にたてていません。
こうして文章を書けること、本を読むことができること以外に。

これしかできないから、ウエズレーの国に果てしない憧れを感じます。

でも見回せば、自分の得意なことを無我夢中でやり続けている人たちがたくさんたくさんいます。そんなことに気づきます。

みんなで得意を持ち寄って生きていくのもいいよね。
それは、みんな笑顔になるし、みんな幸せでいられる国だよね。

今日も【並べて楽しい絵本の世界】をお読みいただきありがとうございます。

今日も楽しい一日になりますように。





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