IMG_5933のコピー

しょうぶ、あやめ、かきつばた。万葉集の「あやめぐさ」。

こんばんわ。
今日もありがとうございます。
 
今日の話題は東北、宮城の香りを創作するライフワークです。

パリファンサトリのフレグランスデザイン講座の課題作成から始まった、TOHOKUの香り創作。当時は関東に住んでいて、懐かしい、いえ帰りたい東北の風景や心象をスケッチするように作っていました。

 
 
今回は宮城県多賀城市の花、あやめをテーマに選んでイメージを膨らませている段階です。
 


昭和61年、市制施行15周年の記念に市の花となったあやめ。
1970年頃は多賀城”町”だったんですね。
市になったの、結構最近なのね。て言ってしまうとお年がわかっちゃうかもしれませんね。
 
 
 
元々この場所には国府がおかれていた、歴史のある場所です。
小倉百人一首には多賀城の歌枕がこんな風に詠まれています。
 
我が袖は 汐干に見えぬ 沖の石(沖の井)の
人こそ知らね 乾くまもなく
 
 
 
有名な歌人、大伴家持が晩年を過ごした場所でもあります。

 
以前、同市のあやめまつりのライトアップを見に行きました。
ライトアップに使われているLEDの白い光が月明かりみたいで、
大昔の人は月明かりでこの野山を見ていたんだろうな、と不思議な気持ちになりました。
 

IMG_5802のコピー

 
そういえば菖蒲湯にも使われるし、あやめってもしかしていい香りがするのかしら?
 
そう思って調べてみたところ、菖蒲湯に使う菖蒲草と花を観賞する花菖蒲は
全く別物のようなんです。
しょうぶの花って、みたことありますか?花びらがなく、アンセリウムの真ん中だけみたいな、穂状の花なんですねえ。
 

写真は、日本薬学会のページへリンクします。


 
あやめは、アヤメ科アヤメ属で、山野の草地に自生。
湿地じゃないんですね。そして、外側の花びらには網目模様があります。
 
菖蒲は、ショウブ科ショウブ属で、サトイモの仲間なのだそう。
水辺に群生しており、茎や葉に独特の芳香があります。
私はこれを注意深く嗅いだことがないので、今年の端午の節句には菖蒲の香調表現をします。
 
 
他にも似たものに、ハナショウブ、かきつばたがあります。
 
 
ハナショウブはアヤメ科アヤメ属。
湿地で育ち、花びらには黄色の部分があり、網目模様はないのだそう。
 
 
かきつばたも、アヤメ科アヤメ属。
こちらも湿地や田んぼのような場所で育ち、花びらに網目の模様は見られないそうです。

これは網目模様があるから、あやめね。


画像2

 
 
万葉集に歌われている「あやめぐさ」はというと、ショウブの方なのです。
 
ほととぎす 待てど来鳴かず 菖蒲草
玉に貫く日を いまだ遠みか
 
ほととぎす 厭う時無し 菖蒲
蘰(かずら)にせん日 此ゆ鳴き渡れ
 
 
などなど。。。
 
現在も5月5日の端午の節句には、菖蒲湯に入る風習が残っていますが
万葉の時代から、菖蒲が重要な役目をしていたようです。
 
当時は、「薬玉」と呼ばれる沈香や丁子などで作った香り玉に、5色の糸や菖蒲、よもぎなどを垂らしたものを作ったのだそうです。
今で言うサシェなのかな、それとも匂い袋みたいなものだったのかな?
 
薬玉は病気や厄災から身を守る、お守りのようなものとして使われていたようです。
 
 
菖蒲(あやめぐさ)には、テルペン類、アサロン、オイゲノールなどが含まれており、
単なるおまじないだけではなく、現在のアロマテラピーと同じような効果があったのかもしれません。
 
 
芳香植物にはたいてテルペン類が含まれていて、
いろいろな香りがあります。
一口にどのようなものとはいえませんが
 
例えばアロマテラピーでよく耳にする
リモネン、1,8-シネオール、ゲラニオール、メントール、シス-α-サンタロールなどは全てテルペン類です。
 
どれも似たような香りではなく、
 
リモネンならオレンジみたいな香り、1,8-シネオールなら木のような消毒薬のような香り、ゲラニオールはバラのような香り、メントールはハッカのよう、シス-α-サンタロールはサンダルウッド、白檀のような香りになります。
 
 
 
その効果についてもいろいろで、抗菌、抗ウイルス、風邪などの呼吸器不調、鎮痛、鎮静、抗不安、昆虫忌避など、、、
 
テルペン類と言っても多種多様ですので、私の鼻がどんなテルペンを嗅ぎ分けるのか
今から菖蒲の香りを確かめるのを楽しみにしています。
 
 
 
 
 
今回参考にしたのは
 


アロマテラピーの精油について、とても勉強になる本です。
基本的な構造から、香り、効果まで網羅されています。



中古でしか手に入らないのかな?
写真と和歌を織り交ぜながら、昔の人々が大切に使ってきた植物を紹介しています。
 
 



こちらも、写真と和歌で綴られた一冊です。
朝顔が、馴染みの朝顔と言われている花ではなかったのでちょっと驚きました。

それでは、素敵な夜をお過ごしください。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?