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ラテンアメリカ映画

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最近になってようやくラテンアメリカ映画の魅力に気付いたので、こまめに更新する予定です。あくまで予定ですが。
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2024年2月の記事一覧

Luis Figueroa / Eulogio Nishiyama / César Villanueva『Kukuli』ペルー、リャマ飼い少女の旅と祭

大傑作。初めて製作されたケチュア語映画。監督たちは1950年代から60年代にかけて活動したクスコ集団のメンバーである(彼らは後にホルヘ・サンヒネスらボリビアのウカマウ集団が活動する基礎を作った先駆者でもある)。彼らの活動の主な目的は、特定地域の問題を周知すること、非商業的な作品を作ることであり、本作品の完成によってどちらも達成された。その背景には、この当時、ペルー国民の約40%がケチュア語を話していたにも関わらず、政府は先住民の存在を認めようとしなかったという事実があるらしい

Nele Wohlatz『The Future Perfect』アルゼンチン、新言語習得のもたらす新たな可能性

大傑作。Nele Wohlatz単独長編一作目。シャオビンは両親に呼ばれてブエノスアイレスに来た内気な中国人の少女。冒頭ではスペイン語学校でのレッスンが描かれている。簡単な質問に答えるというレッスンだが、単語が聞き取れずに的外れな回答をしたり、何度も聞き返したりしている。精肉店でアルバイトを始めるが、客の注文を間違えまくり、同僚(?)からは"もっとスペイン語覚えてから来て"と言われてしまう。レストランに入ってもメニューが読めない、駅のホームでも立ち往生している。映画はそんな彼