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ラテンアメリカ映画

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最近になってようやくラテンアメリカ映画の魅力に気付いたので、こまめに更新する予定です。あくまで予定ですが。
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2022年5月の記事一覧

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『コンペティション』アルゼンチン、これは風刺劇か茶番劇か

2021年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。なんとペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスの本格的な共演は初らしい(『アイム・ソー・エキサイテッド!』で少しだけ共演、『ペイン・アンド・グローリー』で時代は離れているが親子を演じた)。大金持ちが自分の名前を後世に残すために傑作映画を作ろうと思い立ち、トイプードルみたいな髪型の監督ローラに癖強めな俳優二人を集めて兄弟の話を撮るという話。アントニオ・バンデラス演じるフェリックスは、演技は演技だけで良いと考えていて、逆にオスカル・

ナタリア・メタ『The Intruder』アルゼンチン、夢からの侵入者よ去れ!

傑作。2020年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。ようやく最後の作品。吹き替え女優として活動しながら(冒頭では片言の日本語で話すSM映画の吹き替えをしている)合唱団にも参加している主人公イネスは、恋人レオポルドとの旅行中に機内で奇妙な悪夢を見る。それは幼い頃から度々遭遇する悪夢だった。レオポルドに夢について問い詰められた夜、彼はホテルのバルコニーから飛び降りて死んでしまった。その後、高い声が出にくくなり、奇妙な音が自分の喉から出ているのではないかと疑い始めると当時に、現実と夢