イウリ・ジェルバーゼ『ピンク・クラウド』コロナの時代の人間生活
冒頭でこんな言葉が登場する。この映画は2017年に執筆され、2019年に撮影されたものであり、現実とのリンクは偶然である、と。この"現実"とはコロナ禍のことを指している。本作品はSF映画のはずが、その世界が早い段階で現実になってしまったタイプの珍しい映画なのだ。扱っているのはウイルスではなくピンク色の致死性ガスであり、それが突如として充満した世界で、ブラジルに暮らすある男女は唐突のロックダウン生活を迫られることになる。しかも、パーティで昨日出会ったばかりの男の家で起きたその日