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ラテンアメリカ映画

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最近になってようやくラテンアメリカ映画の魅力に気付いたので、こまめに更新する予定です。あくまで予定ですが。
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2020年11月の記事一覧

フェルナンド・トルエバ『あなたと過ごした日に』暗闇を呪うな、小さな灯りをともせ

コロンビアの疫学者で大学教授、そして自由の信奉者だったエクトル・アバド・ゴメスの後半生を、息子の視点で描いた同名小説(息子著)の映画化作品。物語は息子青年時代の1983年から幕を開け、大学教授職を解雇される最後の式典に呼ばれたところから、過去(1971年)を回想し未来(1987年)へと進んでいく。徹底的に子供目線で語られることから、実際の父親の業績や学生たちや他の大人たちとの関わり合いよりも、家族の物語が中心にある。それでも、唯一の息子という点で姉たちの会話の輪に入れない彼が