ニナ・メンケス『The Bloody Child』アメリカ、匿名化された女性たち
ニナ・メンケス長編四作目。『The Great Sadness of Zohara』から連なる四部作の終章。実際に起こった事件、湾岸戦争から帰還した若い海兵隊員が妻を殺してモハーベ砂漠に埋めようとして逮捕された事件に着想を得ている。映画は逮捕される前後の瞬間、海兵隊員たちが屯するビリヤードバー(男や彼を逮捕した隊員たちが通っていたかもしれない)や、森の中に呆然と座り込む全身泥まみれの女性の映像などを時間も因果もバラバラに繋ぎ反復し続ける。特に多いのは現場に続々と集まってくる海