ロルフ・デ・ヒーア『悪い子バビー (アブノーマル)』オーストラリア、母親の呪縛から逃れるとき
1993年ヴェネツィア映画祭コンペ部門選出作品。ロルフ・デ・ヒーア長編四作目。アデレードの工業地帯に暮らす35歳のバビーは、虐待的で狂信的な母親フローレンスに監禁され、文字通り"飼われて"いる。外は毒ガスが充満していると言われ続け、脱走の意志は削がれていた。まるでカスパル・ハウザーみたいな話だ。そんなとき、彼の存在を知らなかった父親が帰ってくる。独り占めしていた母親を取られてしまい、外の世界からマスクもせずにやって来る、この無礼な男の登場によって虐待が過激化したために、バビー