マルコ・ベロッキオ『肉体の悪魔』社会に幻滅した同時代の若者たちについて
マルコ・ベロッキオ長編十作目。学校最上階を鳥瞰で捉えたショットの端から、屋根伝いに女が侵入してくる。教室の中からのショットに切り替わっても、女は窓から異質な輝きを放って非日常として鎮座している。そして女は、騒ぎを聞きつけて起き出してきたジュリアを静かに見つめるようにカメラを覗き込む。まるで女の狂気がジュリアに乗り移ったかのような瞬間だ。学校からこの騒ぎを見ていたアンドレアはジュリアに惚れて追い回し、彼女に裁判中のテロリストの婚約者ジョバンニがいると知りながら恋に溺れていく。ア