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世界の(未)公開映画

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東欧映画、ロシア映画以外の未公開映画についてまとめています。最近は公開された作品も掲載しています。全ての記事をどこかに帰属させてあげたいという親心です。見逃してください。
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2021年5月の記事一覧

アノーチャ・スウィーチャーゴーンポン『暗くなるまでには』現実と虚構が混ざり合う神秘的迷宮の彼方

傑作。最新単独作『Come Here』を先に観てしまったので、ほぼ同じ手法を使って時空を超越した作品を作っていたことにまず驚いた。一応主軸となるのは、70年代の学生運動に参加した女性作家(?)と彼女の反省を映画化しようとしている若い女性(以下、監督)の物語だが、それに付随する形で70年代の学生運動や軍による弾圧の様子が俳優たちによって演じられ、更には別の女性二人が作家と監督のやり取りを完璧に再現して演じ直すという迷宮のような構造になっている。そしてそれは『Come Here』

ジム・マクブライド『David Holzman's Diary』虚構と現実の間に生まれた世界初のYouTuber

世界初のフェイクドキュメンタリーと言われているジム・マクブライドの傑作。冒頭、主人公デヴィッド・ホルツマンは物、人、事象すべてに意味があるように見え、ゴダールの言う”映画とはなにか=1秒に24回の真実”を使ってそれらの意味を解明しようとする。しかし、その過程において恋人ペニーのヌードを無断で撮影した廉で別れを突きつけられ、向かいのマンションに暮らす”サンドラ”と名付けた女性について夢想し、ニューヨークの街にカメラを持って出掛ける。しかし、映画によって真実を得ようとするあまり、