シャンタル・アケルマン『オルメイヤーの阿房宮』その昔、東南アジアのどこかで...
圧倒的大傑作。東南アジア奥地の河畔にある小屋で暮らす白人男性オルメイヤー。"昔々どこかで"と場所も時代も明かされず、侮蔑的な意味での"マレーシア"という言及のみに留まるなど、絶妙な時代錯誤感が『地獄の黙示録』を思い起こさせるが、やはりどちらもジョセフ・コンラッドの作品を映画化しているという共通点がある。しかし、狂気の根源を心的世界の中に探し出す旅路を描いた『地獄の黙示録』とは異なり、どちらかと言えば時間が止まった空間における生と死の対立を扱っているように思える。その異様な空気