ヴィンセント・ウォード『ウイザード』黒死病から逃れるために…
1348年、イングランドの寒村は悪夢の真っ只中にあった。欧州全土を飲み込んだ黒死病がすぐそこまで迫ってきていたのだ。モノクロの画面は白と黒の境界を際立たせ、バグパイプで奏でられる伝統音楽のような劇伴は牧歌的なフォークロアのような側面を強調し、このダークなファンタジーはガイ・マディンのようなグロテスクなパワーを持つようになる。ニュージーランド出身の監督ヴィンセント・ウォードの長編二作目であり、本作品は前作同様カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された。相変わらず奇抜な選