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世界の(未)公開映画

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東欧映画、ロシア映画以外の未公開映画についてまとめています。最近は公開された作品も掲載しています。全ての記事をどこかに帰属させてあげたいという親心です。見逃してください。
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2019年3月の記事一覧

アレックス・ロス・ペリー『Queen of Earth』幸せな人間に不幸せな人間など見えていない

大傑作。想像以上に『仮面/ペルソナ』なアレックス・ロス・ペリーの長編四作目。鬱病だった父親を亡くし、恋人ジェームズにも棄てられたキャサリンは親友のヴァジーニアに連れられて彼女の別荘に赴くが、一年前にジェームズを含めた三人で訪れた記憶が蘇って逆に追い詰められていく。一年前の記憶と現在が交互に入れ替わるように構成されているのだが、ここでヴァージニアという女が妙にイカれていて、我々もキャサリンも彼女に頼るしか道が残されていないのに、ヴァージニアはキャサリンを慰めたかと思うと貶し始め

バーバラ・ローデン『ワンダ』ワンダとオヤジと孤独な世界

アメリカにおけるウーマンリブの全盛期に発表された本作品はその無個性で受動的な女性像から総スカンを喰らい、興行も壊滅的だった。しかし、マルグリット・デュラスやジャック・ドワイヨンがフランスで鑑賞した際に激賞し、フランスでは人気だったとのこと。ローデン自身が公開後すぐに亡くなったこともあってか、長らく日の目を見ることがなかったが、今度もフランスからイザベル・ユペールが立ち上がり、デュラスが購入した版権を整理することでフランスで再公開され、リマスターを可能にした。ユペールに感謝。