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入れ墨の話

祖父の背中

祖父の背中を生で見ることは叶わなかった。
しかし、祖父の写真が数枚残っていて、
厳つい兄さんたちが、頼んでもいないのに、
幼い私に説明してくれた。

身体に絵を描く
と子供心に単純に思ったけれど、
その異様な世界観の「絵」は、
一般人には絶対に受け入れられるものではないし、
私自身も恐ろしさを感じた記憶がある。

私の身体には、真面目な父の教えもあって、
一才の絵は入っていない。
無論そんな必要がないから当然だ。

私が教えていただいた任侠の世界では、
入れ墨(刺青)を入れるということは、
その家族(組員)と親(親分)に対する
忠誠の意味だ。
命をかけて組を守る、親(分)を守ることに対する忠誠だ。

相手から見れば、
忠誠を誓った組員を殺った時は、
その証として背中の皮を「絵」ごと剥がして
殺った証にするらしい。

入れ墨は、
念が込められているから、
見るものの恐怖心が一層湧き上がるんだと思う。

日本では、
こうやって入れ墨に対する認識が
根付いているのではないかなあ?

だから
今時の刺青TATOOを受け入れることができない。

小判鮫の刺青

完全に騙されて
多額のお金を吸い取られてしまった
小判鮫。

彼女の身体にも小さな刺青が入っていた。
そりゃビックリした!

左胸の上に一つ
右足首の外側に一つ
どんな意味があるのだろう?
どんな思い出入れたんだろう?

小さな刺青だけど、
それを入れようと思った心境を聞きたかった。
身体を合わせるたびに、尋ねた。

けれど彼女からは、
すっきりとした答えがなかった。
まあ、隠しているのか?
そもそも何も考えずに若気の至りでいれてしまったのか?

私みたいに
真剣な入れ墨を目の当たりにしてきた者からすると、
「意味もなく入れてしまった大馬鹿者。」
「説明がつかないものを身体に彫り込むなんて浅はかすぎ」
と思う。

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