外向-内向,思考-感覚

 "外向的思考型(der extravertierte Denktypus)は自分自身の生活をも自分の家族たちの生活をも,固定した規則にのっとって規制する。その思考は実証的・総合的・独断的である。外向的感情型(der extravertierte Fühltypus)は人に教えられた価値を固守し,社会の約束事を尊重し,よいとされることを行ない,極めて感情的である。外向的感覚型(der extravertierte Empfindungsttypus)は快楽を好み,社交的で,周囲の人や情況にたやすく自分を合わせる。外向的直観型(der extravertierte intuitive Typus)はいろいろな生活状況を直観的に把握し,新たな可能性の世界を発見し,それに魅かれ,実業,投機,政治の才能を有する。次に,内向的思考型(der introvertierte Denktypus)がくるが,これはユングが延々と記述しているもので,どうやらニーチェをモデルとしているように思われる。実用的な事柄への感覚を欠いた人で,隣人と気まずい事件を起して周囲から孤立し,何ごとでも行きつくところまで行こうと欲する。そして観念的には非常な大胆さを示すが,しばしばためらいや疑惑のために足が前へ出ない。内向的感情型(der introvertierte Fühltypus)は気どらず,ひっそりとして,過敏な人であり,周囲の人に理解されにくい。女性の場合外向型の男性には不思議な力を発揮して支配する。内向的感覚型(der introvertierte Empfindungstypus)もまたひっそりした人で世界をいつくしむような,面白がるような,両方のまざった眼で眺め,物事の美醜といった性質面にとくに感受性がある。内向的直観型(der introvertierte intuitive Typus)は自己の内的思考の赴く方向を最高の価値あるものとし,他人からはややもすると奇人だ,風変わりな人だ,とみられがちである。"

アンリ・エレンベルガー(1970):無意識の発見(下)ー力動精神医学発達史 公文堂 pp.336-337

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