47.立退きすることにした

僕は素直に立ち退くこととした。

立退き交渉で焦点になる立退料について、罰金はいくらとするなどといった法の定めはない。あくまで不利益を補償するということなので個別のケースで対応することになる。

とは言え立退き裁判や行政の都市計画などで一定の相場はある。僕が確認した判例では借主側の不利益のみを評価対象としていた。ただし、不利益は借主側だけでなく、立退きしてもらえなかったときの貸主の側の不利益もある。

裁判での判決を公平な立退き料と仮定する。一般に裁判は1年以上かかる。借主にしてみれば、その間住み続けることができる。貸主にとって例えば土地を購入した場合など裁判期間中の金利負担がある。

裁判を回避して早期に立退きする場合に判決基準の立退料で済めば、貸主側にとって有利だ。裁判費用も金利負担もなくて済む。そう考えると判決基準の立退料でOKとするのは借主にとって不利だと言えるだろう。もちろん、裁判になると裁判費用は双方にかかってくるので双方にとって不利ではある。

ただ、裁判期間中は住んでいられることを考えると裁判は借主にとって不利な選択肢ではない。場合によっては判決基準や裁判費用を考慮しても有利な和解案が提示されるかもしれない。

とわ言え僕は裁判ではなく相互に納得できる立退料で立退きを決めた。

判決基準 + 予想される裁判期間中の差額家賃 + 裁判費用

(実際に裁判になった場合に手にする立退料)+(裁判費用)であれば借主にとって裁判をするより有利だ。一方、貸主にとっても裁判期間中の金利負担やキャッシュフローを考えると早期解決は裁判費用以上の価値がある。