13.僕の実家に内容証明郵便

地代の支払いを確認できないので3ヶ月以内に土地を更地にして引き渡せ

ピンポーンとインターフォンがなる。またあいつか。いや宅配便かな。母が確認すると郵便局だった。書留だという。

母は書留を読むと「どうしよう」と不安そうに僕に手渡す。読んでみると書留の内容は地代を支払っていないので立ち退けということだ。地代は振り込んでいる。

心臓が今までに無いほど強く鼓動する。住む家が無くなるかもしれない。

心配そうな母に対して「大丈夫だよ、こんなの。でも区の法律相談に行こう」と冷静を装う。少し安心しつつも怒りながら「本当もうやーねぇ」と母。それ以上、その場で決めることはないので僕はさっそく区の法律相談について調べた。

区の法律相談は毎日受付していた。相談日は週に2回で相談時間も限られている。法律相談する人はそこまで多くないのだろう。利用者がいないのに弁護士を待機させる意味はない。母に区の法律相談に申し込んでもらった。相談日までに内容を完結にまとめなければいけない。

実家の土地には定期借地権は設定されていなかった。実際は旧法の借地契約だったのだが、この時僕はそれを知らなかった。父が定期借地権だというのを聞いていたからだ。

図にして説明することにした。三角と四角を組み合わせ土地・借地権・建物を図示する。その権利者を記載した書類を母に探してもらう。近所の工務店と契約した書類だ。

家を失うとしてもまだ猶予がある。今回はきっと大丈夫だが、理由はともかく家を失うことはある。その状況になったらどうすれば良いのだろう。そんなことを考えながら内心今回も家を失う可能性がゼロではないと不安な時間を過ごした。

ありえない内容だとしても不安を与える内容証明郵便に効果はあった。