44.判例時報は弁護士でなくても面白い

判例時報No.2410では立退料をめぐる記事のほかに、興味深い判例が出ている。

弁護士に依頼するというとパッと思いつくのはCMでよく耳にする過払い金請求事件がある。弁護士が優秀すぎるのかもしれない。消費者金融会社が破産するケースが出てきた。

破産すると破産債権者に財産を分けることになる。要は株主にいくらで株券を清算するのかということだろう。ここで担当弁護士は過払い金を返却した分も利益として納税していたことに目をつけた。減額修正をすることで払いすぎた税金を取り戻そうというわけだ。

とても筋が通っている。

他にも「報道機関の報道について名誉毀損による損害賠償責任が否定された事例」では宗教法人・警視庁公安部・カルト問題に取り組む民間団体・オウム真理教等々のキーワードが出てくるテレビ番組に対しての裁判だ。

週刊誌を読んでいる場合ではない。

「伊方原発三号機の噴火のおそれのために運転差止めの申立てが却下された事例」では核分裂の仕組みから原子力発電の仕組みを説明し、火山活動の評価をアイスランドのエイヤフィヤトラ氷河での降下火砕物濃度を例として述べている。火山のリスク評価に詳しくなってしまう。

結論は蓋然性が低く心配するほどではないと却下した。

「TOP-SIDERというデッキシューズかシャツに使用されている商標を巡っての事例」では、”ワラビーブーツやデザートブーツで有名なクラークス社の「CLARKS」ブランドの年商「22億8800万円」と比較して、約25分の1という小さなものである”と、要は「TOP-SIDER」なんてデッキシューズの知名度はほぼないと指摘している。

もちろん、僕も知らない。でも、今度売り場で見つけたらきっと思い出すだろう。広告効果としては無駄な裁判ではなかったのかもしれない。