7.僕の不動産屋は何も知らない

大家さんはきちんと売却代金を手にしたのだろうか。

見てくれだけでセキュリティの欠如したホームページをみると大家さんが心配になる。なにせ高齢だ。でも引越が済んでいるのだから、きっと支払いも無事済んだのだろう。これからは気兼ねせず自分のことを心配しよう。

新オーナーが連絡してきたとき疑問だった。不動産屋が何も言って来ないのはなぜだろう。

僕の不動産屋は近所にある。更新の時は歩いて判子を押しに行った。2回目の更新の時、不動産屋は引越していた。思えば雑居ビルの一部屋をギュウギュウ詰めの社員で回していた。順調に事業拡大しているのかもしれない。歩いて行けなくなった。いや頑張れば行けるけれども。

連絡先を調べるため検索してみると、こちらも酷いホームページだ。そんなものなのかもしれない。連絡がつくと電話の向こうでは「何も事情がわからない」と驚いている。大家さんは不動産屋へも連絡しないものなのか。

その後、不動産屋から大家さんと連絡がとれたという知らせをもらった。事前に知らせしたかったが新オーナーに止められていたそうだ。それはそうか。大家さんの売却意思が揺らぐ可能性を新オーナーは歓迎しない。

不動産屋はあきらめが良く見守るしかできないようだ。事前に不動産屋から事情を聞いていたのは良かった。大家さんが挨拶しに来たとき、僕は初めて会ったときの失敗は繰り返さなかった。「ご迷惑をかけてしまって」と挨拶する大家さんにしっかりと本心を伝えることが出来た。

引越おめでとうございます。本当に良かったですよ