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咳をしても一人

思えばそれは、前日の朝から始まっていたのかもしれない。喉になんかいる。イガイガとかじゃないんだけど、喉が痛いとかでもないんだけど、とにかくなんかいる。

悪化しては嫌なので、とりあえずその日は1日中(いつもは学校の行き帰りは外している)マスクをして過ごした。家に帰ってきて、夜眠るときにもやっぱり不安で、マスクをして眠った。これで良し、と思っていた。

😷

次の日の朝。私はこうなっていた。

マスクは。マスクはどこ行った。と探した。布団の外に放り出されていた。眠っている間にマスクを外すという昔からの厄介な癖が出てしまった。

その日は学校を休むことにした。朝食を食べ、担任の先生に電話で連絡をする。面倒なこと()はここで起こった。

(📞^o^)トゥルルルルル…

私:「すみません、熱があるので学校を休ませていただきたいのですが」

先生:「はい、はい承知しました、熱ですね。他に何か症状はありますか?」

私:「頭が痛いのと、寒気と、あと喉に少し違和感があります」

先生:「えっとじゃあ、身体が怠かったりして大変だと思うけど、病院で抗原検査をしてきて、夕方にまた結果をご連絡ください」

私:「え…家で抗原検査をしたときには陰性だったのですが…」

先生:「いやあの、病院でのちゃんとした検査の結果で、今回のこめつぶさんの欠席が公欠になるかどうかとか、今後のこととかが決まるので…」

私:「あ、はい…承知いたしました」

先生:「じゃあ、またご連絡ください。お大事にしてくださーい」

私:「はーい。失礼いたします」

( ^o^)Г☎️ チンッ

先生の言うことには逆らえない。何故だ。何故なんだ。検査キットはちゃんとしてないのか。色々と言いたいことはあるが、こうなってしまった以上は仕方ない。

(母は「余分なこと言わなきゃこんなことならなかったのに。ゆっくり寝てられなくなっちゃったね!」と怒っていた)

母は仕事、妹は学校、父は仕事で泊まり。私は熱と頭痛と寒気が襲う中、たった1人で抗原検査をしてくれる発熱外来を探さねばならなくなった。

📞📞📞📞📞

母が仕事へ出かけてすぐ、さっそく1つめの病院に電話をかけてみた。ところが通話が混み合っているらしく、なかなか繋がらない。

10分後くらいにやっと繋がったと思ったら、自動音声で「ただ今通話が込み合っております。ご予約の方は直接病院に来ていただくか、留守番電話でお名前とご住所を仰ってください。通話が空き次第スタッフがかけ直します」と言われた。

少し時間を置き、今度は営業時間が10時からの病院にアタックしてみた。こちらは15分後くらいに繋がったのだが、既に午前の予約はいっぱいなのだという。午後の予約は15時からなので、その時にまたお願いしますとのことだ。

LINEのKeepメモに『15:00 発熱外来 予約の電話』と書き込み、眠った。

🤦🏻‍♀️🥶

ところでそのときの症状は、頭痛と寒気が1番酷かった。部屋にはエアコンも扇風機もかかっていなくて暑かったはずなのに、寒くてずっと布団に包まっていた。

頭はスマホを見過ぎたときの痛みと似ていた。頭の右上と左上と、後頭部を内側から棒でガンガンされている、あの感じだ。スマホなんて病院を調べるのと電話をかけるのと以外見ていないのに。

その日のお昼は食欲がなくて、何も食べていない。せいぜいお水を1杯飲んだくらいだ。

咳をしても一人。痛む頭を抱えても一人。身体を摩っても一人。何をしても一人。1人でいるがこんなに心細いことだとは知らなかった。

いつだったかコロナのワクチンを接種した日の夜中、副反応が出て、頭と刺された方の腕と節々が痛くて苦しくて「うう」とか「ああ」とか呻き声をあげていたら、妹に「うるさいんだけど。黙っててくれない?」と言われたことを思い出した。

ただでさえ辛いのに、そんな記憶思い出したくなかった。
(後に母にこのことを話したら、「あの子(妹)は慈悲の心がないから」と言っていた。それはそれでちょっと妹が可哀想だと思った)

📞📞📞📞📞📞📞📞📞📞

午後3時になった。この時間にアラームもかけておいた。眠っていた私はガッと目を覚まし、電話をかけまくった。が、いくら待っても繋がらない。40分待っても繋がらない。あまりに繋がらないので母に電話してみたところ、「私がやる。あんたはもう寝てな」と言われた。

申し訳ない。ありがたい。申し訳ない。ありがたい。2つの気持ちがループした。そして私はまた、時間の限り眠った。

🧚🏻‍♀️

母からの電話の震えで目が覚めた。なんと、私が1年前にお世話になっていたおなかの病院で予約が取れたのだという。(発熱外来はないが、コロナの抗原検査は行っているとのこと)

着替え、母の車に乗り込み、病院まで向かった。しばらくして出てきた先生は、私のことなどすっかり忘れている様子だった。

検査は鼻に差し込むタイプのものだった。ちょっと痛かったが、いつも耳鼻科でやられるものよりはマシだ。時間も耳鼻科のときよりも短かった。左鼻に入れられたので、左目から涙が出た。

待っている間は、母と『コロナかインフルかただの風邪か』の話をした。

私:「コロナかな」

母:「(コロナ)じゃないといいね。でもインフルでもなさそうだしね」

私:「インフルだったら私たぶん今日吐いてるよ」

母:「じゃあインフルじゃないかー」

私:「最初喉から来たから、風邪が悪化したんじゃない」

母:「だといいけどねえ」

こんな話を何度も繰り返していると、先生が戻ってきた。お得意のニコニコ顔で「うん、思いっきし陽性だね!1番最初に反応でたよ!」と言われた。

オーマイゴット。まさかの。まさかのコロナ。しっかり陽性。しかしきちんとお水を飲み、眠り、体調が良くなったら、20日には学校へ行けると言う。

よかった。早く治ってくれコロナ。頼むから治ってくれ。

🤒🛌😷

帰りにコンビニへ寄り、数日分の食料を買い込んだ。食欲がないため、いつもはパッと見て買いたいと思うお蕎麦やほっねの塩焼きもそもそも「美味しそう」と思うことができない。

というわけで『熱だから』『コロナだから』という理由で自分を甘やかしまくり、いつもは絶対に買わないコンビニのプリン(150〜200円台のもの)2つ、食欲がなくても喉を通りやすいもの(みかんゼリー)、レンチンだけで完成するありがたいスープ(オマール海老のビスク)などを買った。ラインナップが液体か、頑張って固体になった液体しかない。

お会計をしていると、同じ学校に通っている留学生の子と会った。「今ちょっと熱なんだよね」と言うと、目を潤ませて「だいじょぶですか?」と言ってくれた。うん、だいじょぶだよ。ありがとう。でもね、貴女と話してると何故か身体がどんどん熱くなってきてるんだけど、なんでかな…。

その日の夕飯は『とろクリ贅沢チョコプリン』にした。開けて一瞬購入したことを後悔したが、(理由:ドロドロのクリーム状のプリンが手にかかったから)名前に恥じぬとろとろっぷりだった。

プリンは裏切らない

📞🏫

次の日、朝起きると、学校から留守電が入っていた。私が専攻するコースの長の先生からで、「学校に来ていませんが、どういうことですか」とのことだった。

あれ…?担任の先生、もしやメールを読んでくれていない…?てことは私のコロナも学校に伝わっていない…?

これはやばいぞと思い、眠い目を擦りながら慌ててかけ直した。コロナであることを説明すると、ありがたい心配のお言葉の後に「このあとフォームをお送りするので、それをコピーして体温を記入して学校へ登校する際に持ってきてください」と言われた。

紙への記入は面倒だが、私の状態は伝わった。よかった。安心して朝食を摂る。その日の朝食はちゅるちゅるゼリー(飲むタイプのゼリー)にした。前日はぬるい状態で飲んだが、この時は冷蔵庫で特別な冷たさにしてあった。

お昼ごはんにはみかんゼリーを食べた。みかんが染みることもなく、美味しく食べることができた。

眠ったり、体温を測ったり、お手洗いへ行ったり、また眠ったりしていたら母が帰ってきた。

葡萄と果汁グミのぶどう味を食べた。

最初に本物の葡萄を8粒も食べてしまったせいか、次に果汁グミを食べたら作られたぶどうの甘さにびっくりしてしまった。

この時には薬のおかげか熱はかなり下がっており、37℃前半〜36℃後半をウロウロしていた。

🚿🧴🫧

コロナにかかって3日目。私にとっては嬉しいことがあった。2日ぶりにシャワーを浴びることができたのだ。

あまりの嬉しさにツイートした。ツイ廃なので名前がXに変わった今でもTwitterと呼んでいる。

お風呂場は身体にシャワーをあてていないとずっと寒かった。頭を洗っているときも、顔を洗っているときも、身体を洗っているときも、お湯を出しっぱなしだった。

熱も平熱に下がったので、お昼ごはんはここしばらく食べていなかった野菜スティックにした。とここで、悲しいことが起きた。大根とこうじ味噌マヨが辛いのだ。

今まで食べていて、どちらも辛く感じることはなかった。大根は他の野菜よりも瑞々しくて好きだったし、こうじ味噌マヨもしょっぱくて好きだった。

でもコロナになった私の舌は、私が1番苦手としている味覚に強く反応しているようだった。大根以外の野菜も何もつけずに食べることにした。これでは虚無だ。虚無の野菜スティックだ。(普通にマヨネーズをつけて食べればよかった)

原材料のところをよく読んんだらちゃんと辛いの入ってるよーって書いてあった

後に母にみたらし団子を買ってきてもらった。今まで食べた団子で1番もちもち、ねっとりしていた。すごく美味しいみたらし団子に感じた。

夕飯は父の希望でマック(マクドナルド)になった。いつものようにハッピーセットを頼んだのだが、ここで分かったことがある。人間は2日間あまり食べていないと胃が小さくなるということだ。

🛌📱

4日目からはひたすら布団の中にいた。眠ったり、少しだけ親友と電話でお喋りしたり、好きなサイトを読み漁ったり。

母がお見舞いにとガチャガチャを回してきてくれた。母が回してくれたのは『こんにち歯』というものだった。

当たったのは虫歯(はあ〜⤵︎)。私が1番欲しかったものだ。母よ、よく当ててくれた。下の方にあるシュンとしたお顔がとてもかわいい。

歯茎の中もちょっとリアル
歯茎にはめ込むとお顔が見えなくなる

初めて自分の手の中に『はあ〜⤵︎』を収めたときは、虫歯治療中の小春ちゃんが歯になって目の前にいるんだなあと思った。本当に意味が分からない。変態にも程がある。

🍮🥄✨

そんなこんなで迎えた療養期間最終日。その日のデザートは『きみだけのプリン』にした。『君だけ』とも『黄身だけ』とも捉えられるのが面白くて、発症日に購入したものの1つだ。

プリンは裏切らないPart.2

療養期間を乗り越えた自分へのご褒美プリンだ。ご褒美のプリンはいつもよりちょっとお高いものでなくてはいけない。

いつもよりも時間をかけて、ゆっくりと味わった。なめらかだけどなめらか過ぎないのが好きだ。カラメルはもう少し苦い方が好きだ。

🚲☀️

専門学校に通っている2年間は絶対に風邪や熱で休みたくないと思っていた。だから健康には気を遣ったし、マスクもあまり外さずにいたし、アルコール消毒も至る所で行った。なのに今回、コロナにかかってしまった。

原因は分からない。誰から移ったのかも分からない。気をつけていてもなってしまう場合はあるのだ。今回はたまたま症状が普通の発熱とあまり変わらずに済んだが、もしかしたらもっと大変なことになっていたかもしれない。

健康ってありがたいなあ。
プリンはおいしいなあ。

【追記1】
サムネは左のうさぎさんがももちゃん、アマビエが小春ちゃに見えたから使った。かわいい。

【追記2】
療養期間中、Twitterのフォロワーさんから教えてもらった曲。言葉は分からないけど、歌声とメロディが澄んでいて好きになった。