金欠と紆余曲折集と幸福感
私のnoteを初期から見守ってくださっている方は既にご存知だと思うが、私には推しているアーティストがいる。チャラン・ポ・ランタンだ。
そのチャラン・ポ・ランタンが、3年ぶりにアルバムを出した。その名も『紆余曲折集』だ。
3年ぶりよ。3年ぶり。しかも独立してから初めてのアルバム。こりゃ買うっきゃない。
しかしその時、私のお財布の中では金欠フェスティバルが開催されてきた。仕方がない。いくら欲しくても金欠フェスティバルが盛り上がっていては仕方がない。買えない。誠に遺憾だがアルバムは買えない。
まあその無いお金の中から更に絞ってグッズを買っちゃうんですけどね。だから余計に金欠フェスティバルが大盛り上がりしちゃうんですけど。
後悔はしてない。だって可愛いから。可愛いものは可愛い。可愛いは正義。カワイイは、つくれる。𝑪𝑨𝑵𝑴𝑨𝑲𝑬 𝑻𝑶𝑲𝒀𝑶
❤️💛💜
5月3日深夜0時。Spotifyにも紆余曲折集がリリースされた。右を向くと妹が眠っているが、今日はそんなことは気にしない。今日はとにかくアルバムだ。暗い寝室の中で、パソコンの画面とスマホのライトの明るさで私はアルバムに飛びついた。
(ここからは17曲全曲レポートコーナーです。先に言います。長いです。長い文章が苦な方は回れ右してください。苦じゃない方はそのまま読み続けてくれると私が喜びます。)
❤️💛💜
1.ぽかぽか
フジテレビで放送されている『ぽかぽか』という番組をご存知だろうか。その番組のOPであり、CM前の歌であり、EDである。
1曲目からテンションぶち上がりだ。なんてったって私は通学時に、周りに聴こえないくらいの音量でぽかぽかを歌いながら自転車を漕いでいるのだ。ぽかぽかは平日の気分アゲアゲ薬。
2.恋と呼ぶなら
この曲の1番好きなところを言いましょう。クラリネットの茉莉奈さんのソロです。
茉莉奈さんのクラリネットは普段、どちらかというと穏やかなものが多い。(私が聴く茉莉奈さんのクラリネットが偏っているのだろうが)こういうのとか。
正直に言うと、今まで茉莉奈さんにはあまりクラリネットのイメージがなかった。私が茉莉奈さんを知ったのはTellers Caravanという楽団だったのだが、最初に見た茉莉奈さんの姿はティンホイッスルを吹いていたので、『茉莉奈さん=ティンホイッスルのお姉さん』というイメージだったのだ。(後に茉莉奈さんのティンホイッスルのとんでもない早弾きにビビり上げることになる)
この曲で茉莉奈さんのクラリネットソロを聴いた時、そのカッコ良さに私は痺れてしまった。クラリネットってこんな吹き方もできるんだって。かっこよって。
だってさ、普段ほわほわしててさ、どちらかというといじられキャラっぽい子がさ、ステージでソロ吹きまくってたらそりゃ痺れるってかギャップ萌えで感電するでしょ?そういうことです。私はギャップに弱いんです。
3.みてるよ
タイトルで察した。これは実話だと。夜中に聴いてはいけない曲だと。なんかやばいぞと。(実際は夜中に聴いてもなんてことなかったので、皆さんもぜひ夜中に聴いてみてください)
もっと静かで、背後から気配を消して忍び寄ってくる怖さみたいなものを想像していた。が、実際は少し違った。最初からがっつり視聴者体験型ホラーだった。
以前どこかで小春ちゃんが『過去にお付き合いしていた彼氏に、しょっちゅう今どこで誰と何をしているのか聞いてくる人がいた。「○○で△△と□□している」答えると「じゃあ証拠送って」と言われるので、毎回パノラマで撮影して送っていた。その時のフォルダはパノラマでいっぱいだった』というようなことを書いていたのを思い出した。
は?こわ。こっっっわ。
さんざんこちらが嫌なことをしてきて、謝って優しくして、その上で「あなたのため」と納得させようとするその姿が怖い。
この相手の心を見抜いたかのような歌詞。「無駄だよ」という一言が全ての希望を失わさせる。
更に曲の最後、ももちゃんが「安心させないとそろそろ怒るよ。言葉で分からないなら仕方ないよね?」と言うのだが…この言い方がまた、のらりくらりとした、まるでこちらの言っていることなんてどうでもいいみたいな言い方なのだ。そんな口調で言われるからこそ尚更怖さが増す。
あと音の動き方というか、イヤホンで聴くと途中途中の「みてるよ」のコーラスが右へ行ったり左へ行ったり頭の後ろへ行ったりする。まるで存在しない粘着質な彼氏に監視されている気分になるのでおすすめしておく。
4.無神経な女
サウンドは『夢を運んだアヒルの子』のような、音頭っぽい(?)感じ。なのに曲の内容は歯。しかもただの歯ではなく神経がない歯。いつだったか小春ちゃんが歯の話をしていた時に、ファンのみんなで「新しく歯の曲を作らないとだね」とワイワイしていた。本当にできちゃった。なんならグッズで歯ブラシとフロスも出ちゃった。
ある意味『みてるよ』よりも怖い曲かもしれない。取られた神経。手を挙げても治療を止めない歯医者。麻酔を3本打っても効果がない。保険適用外地獄額。保険適用内はカード払いができない。目を開いた状態で固定されたまま現実を見ているようだ。
小春ちゃんには本当に申し訳ないのだが
ここでめちゃくちゃ笑ってしまった。『仮止めが仮止めすぎる』があまりにも小春ちゃんすぎるし、『焦らしプレイ』っていうワードがよくわかんないけど面白すぎる。
この曲と、あと親知らずのタンゴと、どうにかして私が通っている歯医者さんで流せないかな。お願いしたら普段の落ち着いたBGMと一緒に流してくれるだろうか。でも小児歯科だからちびっ子は怖がるかもしれない。いやそれよりも、私があの診療台(?)に寝転がりながらニマニマしてしまい、先生たちに不審がられてしまう可能性の方が高い。
歯医者さんには歯医者さんの繋がりがあるだろうから、私のところの先生が聴いてくれてそれを別のところの先生におすすめしてくれたら、巡り巡っていつか小春ちゃんの通っている歯医者さんでも流れてくれるかな…それだといよいよ小春ちゃんが今の歯医者さんに通えなくなっちゃうかな。
小春ちゃんへ。私はいつか小春ちゃんの金歯のレプリカネックレスがグッズとして出されることを願っています。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。こめつぶより。
5.クソリプ・カリプソ
私は音楽の知識がないのでカリプソが何か分からないのだが、調べてみたところ、どうやらこの海っぽい爽やかな音楽がカリプソというものらしい。
アリエルみたいなアンダーザシーみたいな、こんなに爽やかな曲なのに。なのに。出だしが『「横から失礼します」お前は誰なんよ』なのは笑った。すごく笑った。「ハハッハハハハッハハハハハハッ」という乾いた(?)笑いが連続で出た。Arrowsで先行公開された時に、Twitterでポラーさんたちが爆笑していた理由が分かった。(私はArrowsが聴けない地域に住んでいるのだ。)
100人のダディとはまた違ったユーモア。前回は怒りを前面に押し出していたが、今回は「あー、もう何言っても変わらないからいいや」という諦めを感じる。
私はダディにはなっていないだろうか。私は口でのお喋りが苦手だ。こちらに投げられたボールを一瞬で、しかも最良の投げ方で相手に返さなければいけない。「どうやって投げたら良いだろう」と考えているとすぐにタイミングを見失ってしまう。
焦った結果、あまり良くないことを口走って相手を傷つけてしまったり。逆に短い時間の中で自分なりに考えて発した言葉でも、それが相手にとっては求めていないものだったり。そんなことが今まで山ほどあった。口から発した言葉は、スマホやパソコンの言葉のように削除したり書き換えたりはできない。
そういえば以前、親友とLINEをしている時に「こめつぶちゃんって本当に相手のこと考えながらその文章送ってる?」と言われたことがあった。私としてはちゃんと相手のことを考えた上で送信していたものばかりだったので、そう言われたことに少し驚きつつも悲しくなった。
それでも文章の方が考える時間が与えられているなと感じる。会話と違って文章は返答をしばらく考えていても誰にも怒られない。が、文章は文章でまた別の難しさがあるので、そこの攻略が難しい時がたびたびある。
因みに小春ちゃんはクソリプ構文が得意になったらしい。
6.マジシャン
実はこの曲、ももちゃんが30歳になった日の配信ライブで1回聴いている。その時はストリングス編成だったが、今回はバンド編成だ。
使っている楽器が違うとこんなにも雰囲気が違うのか。ストリングス編成の時は風に乗って絨毯が自由に舞っているかのようだったが、こちらのバンド編成は奇妙さと少しの妖しさが混ざっている。
怪しげなマジシャンの隣で、アシスタントの大人っぽいお姉さんがちょっとセクシーな動きをしているところを想像してしまった。
いつかチャラン・ポ・ランタンのライブでマジシャンやジャグラーをお呼びすることが合ったら、パフォーマンス中のBGMとして流れていてほしい。
7.リバイバル上映
これはオリジナルバージョンよりも頭が揺れてしまいますなあ。
楽器が多くなると、その分各々の楽器の主張が強くなるなと思っている。今回は特に茉莉奈さん。茉莉奈さんの裏メロディが聴こえる。歌とアコディオン、テナーサックスと同じくらい、クラリネットが「私はここにいる」と主張しているように感じるのだ。
楽しく聴いていたけど、そういえばこれって夜逃げの曲だった。
すっかり忘れていた。
8.color
ももちゃんの歌の間に流れる、小春ちゃんの「じゃらんっ」という音が心地よい。途中からさり気なく入って来るテナーサックスとクラリネット。あと途中の『color』というハモリが綺麗。
間奏のオカピさんのソロがとてもカッコいい。けっこう長めなので途中から肺活量の方が心配になってくるが、後に小春ちゃんとももちゃんの歌声が入ってくるとそんなことは忘れてしまう。
誰だ、「サックス吹くとブス」とか言ったの。何言ってんだ。出てこい。めちゃくちゃカッコいいぞ。
9.懲りない女
聴きながら「すごく小春ちゃんの曲だな」と思っていた。
恋をする意味が分からなかったり、素直に気持ちを言葉にできなかったり、相手の人の好みに合わせてたり、最後には「好き同士なんてただの寂しがりやの集まり」と思っていたり。
歌詞のあちこちに小春ちゃんの恋が散りばめられている。
特にここ。
今までの小春ちゃんの男性遍歴を思い返すと、なんだか切ない気持ちになってしまう。小春ちゃん、無理してたんだろうなあとか。色々な心配をしてしまうのはちょっとダディだろうか。
10.隣の足元
闇の深さというか妬み嫉みというか恨みというかがレベルアップしている。
間奏で様々な楽器の音と共にももちゃんの叫び声にも近い呻き声が聴こえるのだが、その中に自分や自分の大切なものまで取り込まれそうになる。
いっぱい聴いて、聴きまくって、誰かに恨まれる夢でも見てみたい。
(『みてるよ』のMVを見た時にも同じようなことを思ったのだが、未だに悪夢は見ていない。)
11.Russian-wine
イントロがテトリスみたいでテンションがぶち上った。というのは私は、ほぼ毎日テトリスをプレイしているからだ。と同時に、ロシア民謡っぽさを感じたのも嬉しかった。私はロシア民謡も好きなのだが、ここ2年くらいは様々な事情があり全く聴いていなかった。それがチャラン・ポ・ランタンのこの曲を通して、再び新しいロシア民謡と出会えたような気持ちになったのだ。
曲が始まってすぐは東京ティティナっぽさもある。私は2人が歌う東京ティティナが好きだ。未だに12年前の大道芸の動画を見返しているくらいだ。いつかの配信ライブで歌ってくれたその時も画面越しに「ティティナだ!ティティナだ!」と騒いでいた。そんなわけで私はここでもテンションが上がった。
更にテンションが上がったことがある。どうやらこの曲、茉莉奈さんがメインらしいのだ。カンカンバルカンの中でも茉莉奈さん推しの私は嬉しい。テナーサックスがメインの曲は今までチャラン・ポ・ランタンでたくさん聴いてきたが、クラリネットがメインの曲はこれが初めてかもしれない。
聴いてくれ。茉莉奈さんのクラリネットを。特に最後の高音の伸び、めちゃくちゃ良いから。本当に。嘘は一切言ってない。って言うと嘘っぽく聞こえるの、なんでだろうね。
12.輸入コンテナディスパッチ
非ポラーさんへ。知っていますか。私の推しはアコーディオンを弾いているだけじゃないですよ。アコーディオンの輸入業もやっているんですよ。あと社長もやってます。すごいですよね。(隙あらば推し語り)
ていうかさ、チャラン・ポ・ランタンのラップ入りの曲ってワーカホリック以来じゃない?って気づいた時の喜び誰か分かりますか。でも分からなくても大丈夫です。
この曲を聴いた時、「日商ビジネス英語の勉強しててよかったー!」と初めて思えた。実は私は1年前、海外でのビジネス文書作成(主に英文での契約書)や履歴書、輸入取引の流れや貿易の書類などの勉強をしていたのだ。資格は持っていないが、やっていただけでも良かったと思える。なぜならこの歌詞に共感できたから。
私は輸入業者ではないが、初めてこれらの単語に出会った時は小春ちゃんと同じように「なんで英語なん」と思った。
それぞれは
という意味だが、この日本語すら普段の生活では目にしない単語だったので、日本語と英語の意味と内容を理解するのに時間がかかった。ようやくできるようになったのは、1年生の後期も終わりに近づきかけた頃だった。
しかも担当の先生はこちらが覚えていることを前提に勝手にB/LだのA/Nだのといった略語を使って授業をしていたので、ついて行くのが大変だった。前期のテストも後期のテストも再テストをした。再テストは1発で受かった。どうして本番のテストで1発で受からなかったのか。
13.三茶の駅
聴けば聴くほど好きになる。1日5回くらい聴いている日もある。アルバムの中で1番好きな曲かもしれない。
チャラン・ポ・ランタンの男性目線の曲は色々あるが、こんなふうに過去を振り返る曲はマッドネス以来だと思う。この曲の良さを語るのには私の語彙力じゃ足りない。どなたか語彙力のあるポラーさんに任せた。よろしく頼む。
14.無限大
今まで、この曲に数え切れないくらい励まされてきた。面倒な課題を片付ける時にも、たった3日で大量の書類を書かないといけない時にも、この曲はいつも傍にいてくれた。
私は学校へ自転車で登校しているのだが、その時いつも私は周りに聞こえないくらいのちっっっちゃな声で無限大を歌っているのだ。時間割が地獄で学校に行きたくない日にも、「やるっきゃないし、まあ行けばなんかいいことあるっしょ」と思わせてくれる。ねえ、この話さっきもしたよね。あれ?
その無限大がバンド編成になってパワーアップした。まずい。楽しい。楽しすぎる。自転車で走りながらこれを頭の中に流したら、楽しすぎてその辺の柱に衝突してしまいそうなくらい楽しい。
15.Hi! Lonely
イントロから「好き!」と思った。私が好きな感じだ。なんていうんだろう。と思っていたら、Twitterで「昭和のアニメEDみたい」と言っているポラーさんを見つけて納得した。それだ。それだわ。
あと、今までチャラン・ポ・ランタンの曲の中に英語が入ったものは聴いたことがなかったので、それがすごく新鮮に感じた。歌詞も ももちゃんかなと思ってSpotifyで楽曲クレジットを見てみたら『ソングライター チャラン・ポ・ランタン,小春』と書いてあってびっくりした。
いつだったか、ももちゃんがInstagramのストーリーで「自分のゴキゲン自分で取る」と言っていた。私も ももちゃんみたいに『私のゴキゲンは anytime 自分でとる』人になりたい。
16.Gardenia
やわらかいおひさまに包まれているような、やさしい曲だと思った。何も予定がない日の朝7時過ぎくらいに、お気に入りのブランケットに包まりながら2度寝をしようとしてうとうとする、みたいな。
今のこのバージョンでも眠れるけど、オルゴールバージョンが出たら絶対に一瞬で眠れる。待ち時間が長めの総合病院とかで流れていて欲しい。
17.ぽかぽか(Accordion Version
お?お?これはもしや初心者向けか?ありがとう小春ちゃん。と感謝していたのも束の間、どんどんリズムが速くなっていく。
キーは変わらないのだが、小春ちゃんのアレンジが入りまくっていく。最終的に「これはもう小春ちゃんにしか到達できないのでは」というレベルまで速くなっている。そして指がたぶん難しくなっている。
たった1曲の中でやさしい鬼とドSな鬼の二面性を見せてくれた小春ちゃん。今後はどんな鬼の姿を見せてくれるだろうか。
❤️💛💜
長くなってしまったが、私の紆余曲折集17曲全曲レポートはこれで終わりだ。ここまで読んでくれた方々に大きな拍手と抹茶と和菓子を授けたい。
アルバムが発売されてからほぼ毎日聴いている。聴かない日の方が少ないくらいだ。イヤホンで聴くと心と耳が幸福になる。
3年ぶりのアルバム発売本当におめでとう。これからもいっぱい聴いていっぱい愛するからね。大好きだよ。ありがとう。