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産業医面談で参考になる資料

面談は産業医の業務のひとつです。産業医は、必要時には企業の安全配慮義務のために介入し、労働者が健康に働くことを支援するために助言を行います。健康診断や長時間労働、ストレスチェック実施後、メンタルヘルス相談や復職前など様々な場面で行われます。

個人的に、「産業医面談は難しい」と感じています。上記のように、ひとつくに産業医面談と言っても色々なパターンがあり、労働者・事業者ごとに「何に困っているのか」を明確化し、適切な助言をする必要があるからです。そもそも、労働者・事業者が「何に困っているか」曖昧であることもあります。面談の中で否定的な言葉をかけられることもありますし、膠着することもあるでしょう。そこで、産業医面談を円滑に進めるために参考になる資料を紹介したいと思います。

1.産業保健領域におけるSOAP形式の面談記録の作成法

医療現場では医療記録をSOAP(Subject、Object、Assessment、Plan)形式で書くことが一般的ですが、こちらのサイトでSOAP形式を産業保健現場での記録にいかに適用するか解説しています。
SOAP形式という「型」を作ることは、一定の面談のリズムを作り、漏れのない聴取をするために有効です。

2.ケーススタディ 面接シナリオによるメンタルヘルス対応の実務
本書では、6例のケースをもとに、どのように面談を進めるのかを解説しています。メンタルヘルス対応について、しっかりとした枠組みを設定し、一貫した方針で面接を進めることの重要性を説いています。6例のケースの中に、産業医、人事労務がおさえるポイントがぎっしり詰まっています。

3.ケアする人の対話スキルABCD
ケアのための対話として、アセスメント(Assessment)→患者に寄り添う (Be with you)→臨床的質問をする (Clinical Question) →問題解決の方向性を決める (Direction and Decision)という方法を解説する書籍です。
本書では臨床現場での活用を想定していますが、産業保健職も参考になると思います。産業医面談で労働者・事業者との関係性を構築し、良いコミュニケーションを築くことは、「何に困っているのか」の明確化に役立ちます。

4.外来診療によく効くBATHE法
簡便で効果的な治療的対話術を解説している本です。
背景 (Background)→気持ち (Affect)→一番困っていること (Trouble)→どのように対処しているのか (Handling)→共感 (Empathy) という型を身につけることで、短時間で、患者の心理社会的な問題を把握しながら、感情的な問題にも対処することができます。
こちらも臨床現場での活用を想定していますが、産業保健職も参考になると思います。ヘルスプロモーションやポジティブヘルス、健康生成論(Salutogenesis)といった概念の説明もあり勉強になります。

最後に

円滑に産業医面談を行なうためには、上記のような「型」を身につけることも必要ですが、保健師や上司、人事労務との協力も不可欠です。
事業所によって労働安全体制は幅があるので、どのような流れが適しているのか事前に相談しておくことも重要でしょう。


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