DREAM BOYS 2023

髄まで染み込んだ楽曲が流れると、自然と音を取る純白の足元

宙を舞うために、駆け出して踏み切った時の笑顔

見上げた先で靡く、潮風に傷んだ茶毛とスパンコールの煌めき

グッと腕をつかんで宙からステージに降り立った後、勢いよく正面へと振り向くターン

バサッと振り解いたジャケットと、クッと傾けた首に合わせて鳴った、最大の高揚を生む物語最後の一音


帝国劇場の0番に立って、「I'm a Champion」と、「闘っていく to the TOP」と、高らかに歌いあげるアイドルを、好きになってしまった。

2023年、慎太郎くんが舞台DREAM BOYSにチャンプ役で出演すると知った時、「逸らし続けていたとしても、やっぱりいつか、必ずあなたの担当になる運命だったんだな」と、また思った。

森本担になってから、慎太郎くんに救われてばかりで、慎太郎くんへの想いが増えていって、慎太郎くんの夢が心地よくて、慎太郎くんと見るこれからの時代に期待が持てて、「森本担になってよかったな」って、ずっと思ってる。

チャンプ役は似合わない、というような声を沢山聞いた。(私も「慎太郎くんの色は最も赤だし、たおやかな笑顔を筆頭に、持ち合わせているものの全てが【主役】ですよ?」と思っていたオタク)

だけど実際にシンタロウを見たら、「彼はチャンプだ」と思った。ありきたりな感想と一緒にされたくはないけれど。そう思わされるって知ってたけれど。

ずっと、慎太郎くんの力を信頼している。



強いチャンプ

思い返せば、私の知っているドリボの主役像は【弱さ】だ。そして、私の知っているドリボのライバル役像は【強さ】だ。真逆の解釈も可能だろうし、ストーリーは移り変わってきたけれど、私の中でこれは変わらない。

DREAM BOYS 2023は、優しくて真面目で一生懸命さがよく前面に出ていたショウタと、余裕があって時に厳しくて時に陽気で一本気なシンタロウの【色】を持ちながら、変わらない【強さ】と【弱さ】を描いた、素敵な作品に仕上がっていた。

「チャンプは、リングの上では厳しいけれど、色んなことを教えてくれるんだ」という台詞がある。

【作品】として、チャンプの人物像を植え付ける大切なト書きだ。慎太郎くんはシンタロウとして生きる上で、この言葉をものすごく上手く拾った役作りをしたなと思う。
例えば、自分のジムの愛弟子への声の掛け方は目線も舌動もマジこえぇ……な中で、親友の弟への声色は、諭すようなくぐもるような、零れそうな優しさがある。だけど、より前者に大きな大きな愛情が伝わる技術とか。

日常のチャンプは、プライベートで海やBBQへ連れていってくれる。自身に対しても厳しい人だから指導に説得力がある。本気で苦しい時は誰よりも味方で居てくれる。(全部空想の話です)

あの迫力にしてパッと咲くような笑顔や、鈴の鳴るような声が、とにかくおモテになるし、きっとこのジムにおいて【憧れ】の権化だろうなと思えた。

そこに居たのは確実に【シンタロウ】なんだけど、やっぱり、森本慎太郎という26歳男性=公私問わず同世代比で圧倒的な才・財・力を持つ、カリスマアイドルが投影されていたと思う。
インタビューで役作りの件について、「役名が"シンタロウ"なのだから、"自分"らしさをそのまま活かしたいと考えている(意訳)」と言っていた。そんな『彼の解釈が着地したそのもの』を体感できた気分だ。

こういったキャラクター作りの全てが、冒頭申し上げた【強さ】を生む要素に繋がるのだと思う。あまりにもありがたい。あまりにも見事。



舞台に立つ身体

【強さ】に説得力を持たせた要因は他にもある。特に挙げられるのは、『ボクシングの上手さ』だろう。

昨年度の中丸雄一氏観劇ユーチューブにて「すっとこどっこい感」の話があったのは記憶に新しい。
舞台作品におけるボクシングって、普通に難しいと思う。想像より体力(持久性の意だけでなく、活用性の意を含む)を使う。

たくましさとしなやかさ、軽やかさ重さ、あとは何より"身体の"【表現力】が必要だと感じる。
………これって、普段慎太郎くんのダンスを見ていて感じる"全て"やん………………

バネのある体幹で綺麗なフォームを魅せ、髪を揺らしながら臨場感を与え、表情と動きの緩急でストーリーを描く。試合でラウンドが変わったあと、致命傷のダウンまでの経時に沿って、荒く険しくなっていくアクトプランは見事だった。



ストーリーテラー

彼の【芝居】は、やはり圧倒的だ。
その年代にゴリゴリ映像作品をやっているアイドルは、別にこの舞台に出なくても良いんだよ。土俵の違いとまでは言わないけれど、現実的なスケジュールはじめ、本人の意志計画的にも、この世界で重要視されるブランディング・キャラクターという面でも、そこのマッチはしにくくて良いと、個人的に思ってる。

だけど、慎太郎くんは演る。

慎太郎くんのブランド概要って、辞書に載っている言葉では綴れないから。慎太郎くんのキャラクターって【森本慎太郎】だから。そうありたいって、そういうことをずっと言い続けてるって、合ってるかな?
可笑しいくらいのプレッシャーの中で、テイク&カットを重ね、他人を生きてきた俳優。その力を確実に見た。

一生の親友(ライバル)ともう一度拳を合わすことができると分かったチャンプが、「リングにキスしなFIGHT MAN」と、笑いながら歌った時はさすがに震えた。

「その方が残酷なんだよ、俺にとっては」という台詞がある。誰よりも本気でリングに立ち、遠慮や同情なんて無縁で、嘘を付きたくない真っ直ぐなチャンプにとって、どれだけ嬉しかったんだろう。涙出た。
ていうか!やっぱり!誰よりも本気で表舞台に立ち、曲がったことや無意味な風習にはハッキリ物申してしまう、いつだって真っ直ぐに自分らしく生きようとしている慎太郎くんがちょくちょく垣間見えるの、マジ無理。

あとは、1幕シーン9とか。この構成演出になってから、初見で理解するのって少し難しいと思っていて。デススパイラルの慎太郎くんの、あの圧倒的な発声と、それ以前のシーンとのキャラクターにコントラストがあるから、【非現実感】が生まれる。これによって、めちゃめちゃ即座にショウタの夢だと理解させたと思う。こういう場面が多々多々あります。

あと皆が記憶にありそうな名台詞で言うと、「金のためなら何でもすんのかよ」も、「お前がチャンピオンになるの楽しみにしてるからな」も、1番初めに言った『余裕があって時に厳しくて時に陽気で一本気なシンタロウ』というキャラクター通りの声で聞こえてくるから、本当にブレない。

慎太郎くんの【演じる力】×【魅せる力】
この融合を、光浴びるように堪能した。感覚的な器用さか、血の滲む努力かは、ずっと知らないままでいたい。



ジャニーズアイドル

これら全ての根底にあるのは、やはり音と踊りを愛するアイドル性だと思う。言うまでもないが、大爆発していた。
そもそも「音と踊りを愛するアイドル性」って、そこに【自信】というエッセンスがないと始まらない。あれだけ足を震わせていたはずなのに、なぜこんなにも自信に満ち溢れているのだろう。

実は慎太郎くんにとって今のお仕事(アイドル)は「これしかねぇからこれにかかってる」ってほどのことじゃないと、私は思ってる。(←長くなる話)

だけど、アイドルであることを選択しているのは、彼自身だし、確実に「彼はジャニーズアイドルだ」と思い直すことができる時間だった。これがとにかくありがたかった。


私にとってジャニーズの舞台作品は、言葉で言い表せないほどの魅力がある。出演しているジャニーズアイドル皆に思い入れがある。それはジャニーズJr.に対しても同様で。
不意に目線がいった傷だらけのバミリ。異色さを決死に拭う慣れないハンドマイクを持った代役の完成度。片手で数えられる台詞数の鬱憤を晴らすかのような荒い踊り。憧れの手が自分の身体に傷を入れたから光った耳元。きっと数年後にはあなたたちが、この台詞を、この立ち位置を担うんだ。

この場所で夢を見る若者たちの輝きが、どれほど嬉しいか。
慎太郎くんが、自担が、このタイミングでジャニーズ舞台に立ってくれたことに、どれだけ救われるか。


エンディング、毎年必ず涙を流してきたはずの、創設者名の金文字が無かった。
この一瞬のためにジャニーズアイドルは笑い、闘い、泣き、もがき、苦しみ、喜び、愛を感じるのだと思っているから、私にとっては大切な大切な一瞬だったのに。
私と人物自身に関係性があるわけではないから、対人に思うことは別にないけれど、あなたが作った世界で、あなたに褒められたくて、あなたに怒られたくて、こんなにも輝いているのに。

自分は第三者以下だからと、介入することも意見することも喋ることも黙ることも、何が正解かも分からなかった。公に堂々と私見を提示できる人にドン引きしていた。全部分かっていたし、何も分らなかった。

存在を認識してからずっと、良い意味でも悪い意味でも""どうでもいい""と思ってはずの人物に、はじめて「ふざけるな」と思った。

慎太郎くんに「最高だよ」と言ってやれよ。その名前がこの幕一面に広がることが、唯一伝えられる方法だっただろうが。ふざけるなよ。


そんなことを思っていた瞬間に、【DREAM BOYS】という表題がドーーーーーーンと出たから、声が出るほど泣いた。なぜなら、誰が何と言おうと、このタイトルには""あなた""が詰まっていたから。
例えもう二度とクレジットにならなくても、私はこれからもずっと、この作品・表題・物語に、人を感じると思う。それが非道だと思う人も居ると思う。それでも私は私だ。私にしか理解されなくて良い。



奇跡か軌跡か

初演からほぼ毎年観ているオタクとして、面白いな〜と思うところもあれば、ほくそ笑むような瞬間もあって、昔は…なんて図々しく思い返すこともあるし、よーし!と背中を叩きたくなる瞬間もあった。
だけど、今年も、表題曲の大サビに存分の鳥肌を感じることができた。ありがとう。守ってくれて。本当にありがとう。

休演日に米を育てながら演じてくれてありがとう。5回ほど繰り返される「GET DOWN」に1.2回だけ「KNOCK DOWN」を潜ませてくれてありがとう。当たり前のように全公演走り抜いてくれてありがとう。本当にありがとう。

出会えてよかった、シンタロウ!
You are CHAMPION!!!!!!

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