見出し画像

ポーカープレイヤーのITIN取得についてのメモ(第一部完)

ITIN (Individual Taxpayer Identification Number)とは

 ITINとは、アメリカの非居住者に対する課税用の番号です。日本でいうマイナンバーの用途の一つでもありますね。日米間は租税条約があるので、ものにもよりますが、アメリカ連邦税は源泉徴収されません。ポーカーの賞金を含むギャンプルの勝ちについてもその対象ですが、アメリカでの源泉徴収を回避するためにこのITINが必要です。ポーカープレイヤーに関しては、ITINがない場合US$5000以上の賞金獲得時に30%の連邦税が控除(源泉徴収)されます。
 WSOPやラスベガスの一部カジノでは、ITINの番号取得をサポートしてくれるようですが、LAPCではそのようなサービスはなく、ITINを取ってこいと言われます。
 本稿では、ITIN取得の方法について、IRS(アメリカ歳入庁;ようするに税務署)のWEBなどから調べた内容をまとめています。

 カリフォルニア州では7%の州税が源泉徴収されます。その回避は難しいようですが、カリフォルニア州に対して還付申告ができるかもしれないです。

 自分は税理士とかではなく、これは備忘のメモですので、間違いなどがあるかも知れません。また参照している情報は2022年3月時点のものです。正確な情報はIRSまたは認定税理士さんへご相談ください。

ITIN申請に必要な書類

 ITINを取得するには、W-7というフォームを提出せねばなりません。添付するものとして、ITINが必要な理由を示すもの(つまり、ポーカートーナメントで5000ドル以上獲得して源泉されようとしているということがわかるもの)と、身分証明書(パスポートまたはパスポートが原本であることの証明付きの文書)とが必要です。
 W-7フォームと、ITINが必要な理由については、LAPCの場合はカジノで発行してくれました。W-7フォームはオンラインにもあるので自分で記入することも可能です。
 問題は身分証明書です。パスポート本体をIRSに郵送するか、コピーが間違いないものであることを第三者に証明してもらう必要があり、証明可能な第三者は、①日本国大使館(領事館)、②IRS 本体(つまり税務署の人)、③IRSに認定されたAAまたはCAA(つまりIRSに認定された税理士)④日本のアメリカ大使館のみです。ほかの用途でもIDが必要なのでパスポート本体を送るのはあまり現実的ではなく、身分証明書の提出方法について①②③のどれを使うかによって3通りの申請方法があります。
(④は確認中。)

ITIN取得の3つの方法

  1. アメリカの税理士に依頼する(前項の③)
    →日本国内にもアメリカのIRSの認証を受けた税理士がいるので国内からならこの方法が良い。ITIN取得サポートみたいなキーワードでググればアメリカIRSに認定されたAAまたはCAAと思われる税理士が出てきます。

  2. IRS Taxpayer Assistance Centerを訪問する(前項の②)
    →書類を一式持って、アメリカの税務署(みたいなの)を訪問する。訪問するためには、アポイントメントを取る必要があるが、それは電話のみでの受付で、その受付電話はなかなかつながらないです。パスポートを持っていけばその場で認証してくれる。

  3. 郵便で申請する(前項の①)
    →パスポートの原本または認証された証明書(在外大使館、領事館、または在日アメリカ大使館、領事館で取得可能)が必要w。つまりアメリカにいるうちに領事館にアポイントメントを取って証明書を申請、LA領事館の場合1週間後に書類が交付される模様。または帰国してからアメリカ大使館へ。


ITINを申請するためには、ITINが必要な理由(つまり5000ドル以上の賞金獲得)が必要なため、事前に取得することは難しいと思われます。(ポーカー以外のほかの理由では可能かもしれません。

その1の別枠として、ラスベガスのカジノで当てる(トーナメント5000ドル以上、またはスロットマシンなら1500ドル以上?)と言うのがあります。MGM grandではすぐに申請してくれて、2-3日で発行されるとのこと。
→3日後と12日後に確認して12日後には発行されてました。

2022年夏時点で、最短でITINを取得する方法は、MGM系カジノでスロットマシンをやり、ジャックポットを当てることです。もちろんポーカートーナメントでもokです。

ITINの期限について

 日本人のポーカー賞金の源泉徴収を回避する目的でのITINについては、期限は切れないと思われます。通常ITINの期限は5年間とありますので、5年間連邦税のタックスリターンを申告する(要するに確定申告するみたいな)のをやっていないと期限が切れるようですが、報告用のみでITINを使用する場合には更新は不要である旨の記載があるためです。(IRSには裏トリしていませんので自己責任でお願いします)
以下引用

Information returns: If your ITIN is only being used on information returns for reporting purposes, you don’t need to renew your ITIN at this time. However, in the future, if you need to use the ITIN to file a U.S. federal tax return, you will need to renew the ITIN at that time.

https://www.irs.gov/individuals/individual-taxpayer-identification-number

実際に提出した書類について

  • W-7 form

W-7 form

最初の取得理由のところは、aとhに印を入れる。h の注記欄には「exception 2(d) gambling winnings 」と記入。
あとは名前とかパスポートの番号とか適宜記入して、サイン。
commerceで発行してくれたもの。住所とか間違ってたし、国籍はUSAになってるし、結構適当なので、適宜修正。アメリカンなざっくりとした雰囲気を楽しもうww
webからダウンロードもできる。

  • 賞金の確証

賞金の確証

commerceで発行してくれた賞金の明細書。レターヘッドが入ってて、賞金額と控除額とかが書いてある。最初に登録したパスポートの情報が画像で入ってる。

関係情報

ITINの説明


Form W-7の説明


フォームW-7の Exception 2(d)


実際のITIN取得の履歴

 本人が実際に行った履歴

  • 2022/2/6 LAPCでインマネ!ナイス~~。まあまあの額が当たり、結構な額が控除されてしまうことを知る。キャシャーの担当者がすぐお金もらうか、ペンディングにするか聞かれて、一旦ペンディングに。ITIN取ってこいと言われる。その場でW-7のフォームをもらう

  • 2022/2/7~ W-7とかITINについて調べる。3通りの方法があることをなんとか把握。税理士は最終手段として、IRSオフィスに行くのを最初に選ぶ。アポイントメントを取る方法は電話しかないことに絶望して、LAPCを満喫する。

  • 2022/2/2x LAPC満喫しすぎてすっかり忘れてたw ぼちぼちIRS(税務署)のアポ取るかと電話するも繋がらない。何回かけてもいま混んでるからあとでかけてね、切断。の繰り返し。どうなってるんだアメリカwww 日本の役所はまだ親切ww 申告・申請したがってる人にはやり方はだいたい教えてくれるw

  • 2022/2/26 やっぱり郵送もあり得ると思い立ち、ロサンゼルス領事館のアポも取ってみる。WEBで申請だったけど、PCのChromeでは表示されなかったが携帯からならなんとか申請できた。3/3午後にアポ予約完了

  • 2022/2/28 IRSのアポ電話に掛けたら、やっと並ぶことができた。電話のアポで並ぶって意味不明だけど、待ってる人数が多すぎると並ばせてもくれずに切断されるんですww でも今回は切断されなかった。30分くらいかかるかもって機械音に案内されたけど、1時間10分くらい後にようやく人の声が! 電話なのでなかなか何言ってるかわかんないけど、Long Beach の IRS TACの予約が取れる。3/2お昼ごろ! 連邦政府ビルでセキュリティチェックとかあるから早めに来てねって言ってた。電話で名前、電話番号、Emailアドレスなどを伝える。Email送るんなら最初からWEBフォームにしてくれよ。。。意味わかんねアメリカ。すごいよアメリカ。

  • アポの確認メール来てた!

  • 2022/3/2 アポの時間にIRSへ向かう。一路ロングビーチへ。30分弱くらいドライブして市役所の駐車場へ停める。IRS 事務所のビルは大きなビルで、セキュリティがちゃんと警備してる。空港みたいなスキャンして何度も引っかかってやり直し、Apple Watchが原因でしたw 外して無事通過。3階のIRSへ。アポ12時だったけど11:30くらいに着いた。静かな事務所で、カウンターが10個くらい並んでて、2人だけ対応してた。そのうち一人は空いててもう一人は対応中。5分くらい待ってすぐ対応開始。担当さんは、ギャンブルのお金って日本との租税条約の対象だったかわかんないのよねー、とか言ってるから、対象だから大丈夫って押し込む。賞金額がまあまあ大きいのを見て、やってあげる、って感じで手続きが進む。書類確認して、住所の間違い直したり、パスポートのコピー取ったりして書類整理してくれて、担当部署に送るって約束してくれた。9-10週間かかるとのこと。これで一旦は終了か。

  • 2022/6/22 ずっと何も来ないのでIRSの問い合わせ窓口に電話した。なんかの不備でRejeatedになっているとのこと。IRSの事務所で書類出したのに、足らんってなんなん? 次の訪問で再度IRSに行こうと思う。

  • 2022/6/25 LAのcommerceカジノを再訪して賞金を一旦受け取る。30%控除… あとで取り返せるのか…取り返さないと!

  • 2022/6/30 MGM grand のトーナメントで7000ドル当たり、流れに乗ってITINの申請をやってくれた。通常2-3日(!!)で番号出るとのこと。早すぎ!週明けまた来いとのこと。

  • 2022/7/4 夜 MGMに確認しに行くと、まだとのこと。このあとWSOPで激走。

  • 2022/7/12 MGMで発行されていて番号を教えてもらい完了。あとたぶんアメリカからの手紙は来るのかなあ… 


賞金受け取りと納税の方針について

 今後の方針としては大きく2通りあります。

案1)一旦賞金を受け取り(源泉徴収される)、後からIRSに還付申告をする。

案2)ITINの発行を待ち、その後、賞金を受け取る。

案1の場合は、短期間のアマチュアの渡航の場合など、とりあえず賞金を受け取って、後から手続きができるのが最大の利点です。通常のアマチュアの渡航の場合は、期間が限られていると思いますので、自ずと案1になると思います。

流れとしては、

賞金獲得、その場で受け取り(源泉徴収される
→帰国してもok
→ITIN申請(その場合はパスポートの認証は在日アメリカ大使館で)
→IRSへ還付申請(どうやってやるかは不明

日本のアメリカ税理士に丸投げできると思われますが、手数料とかどのくらいかかるのか想像もつかないですw

案2の場合は、ITIN取得に2ヶ月以上かかるので、実質的に2回アメリカを訪問しないといけないのが最大の欠点です。ですが、2回目には全額受け取れ、IRSとの還付の手続きが不要です。2回目の訪問は同年内である必要があります。

流れはこんな感じ、

賞金獲得、受け取らずにpendingにしてもらう。
→ITIN申請、発行(2-3か月掛かる)
→再度カジノ訪問して賞金受け取り
この辺りを検討中。2かな。

アメリカ連邦政府への還付申告について

年が明けたら、還付申告を行う。Form 1040NRってのを出せばよいっぽい。コマースカジノから1042-Sのフォームをもらい、添付すること。
https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-1040-nr

カリフォルニア州政府への還付申告について

年が明けたら、還付申告を行う。Form 540NR ってのを入手してカリフォルニア州政府に送る。
https://www.ftb.ca.gov/forms/2021/2021-540-booklet.html#Do-I-Have-to-File


日本での納税について

日本での納税方法についてですが、アマチュア個人であれば、一時所得が有利かなと思います。(たくさん出てる人は事業所得とかあるかもですが。)
所得税が十分高い人は外国税控除を使えますが、控除で引ききれない場合も多いので、ITINを取得してアメリカから還付を受けて、日本で全額を納税する方が良いと思います。
例えば、アメリカで20000ドル利益の賞金を取って30%の6000ドル(仮に70万円としましょう)が控除されて、その人の所得税額が50万円だった時に、外国税控除で50万円は返ってきますがその残りの20万円は戻ってこないです。アメリカ政府に対して確定申告(タックスリターンってやつですかね。)をして、6000ドルを取り返して、日本で所定の税額を支払えば損しないです。
自分は税理士ではないのでご参考まで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?