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空音は空へ、幾重にも。

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恋色の赤~Red Love~ ―短編小説―

 

 運命の赤い糸って、信じる?

 たとえば彼と彼女は前世の縁があって今こうして結ばれているだとか、奇跡が起こったために結婚を決意しただとか、そういう「運命」ってものが、いたるところに転がっているって、思う?

 私は運命の赤い糸なんて信じない。

 ……いや、違うな。信じたくない、だ。

 でも私の目の前には運命の赤い糸がすぅっと伸びていた。

 私の左手の小指から、どこか遠くへと続く赤い糸

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