カンブリア 邪眼の章 警視庁「背理犯罪」捜査係 河合莞爾

経験したことのない日常を送っている中で、小説の世界が逆にリアルに感じる。そう思うことがあると書いたが、早速、その思いをあっさりと消し去る作品に出会った。久しぶりに、驚かされた。読み進めたいと同時に読み終わってしまうことの寂しさを感じる。河合ワールドが炸裂している。新しいシリーズの序章。あるはずないと思うが、同時にあるかも知れないと思わせる。人の苦しみ、葛藤、執念、怨念、矛盾、希望のない世界で生きること。それでも裁かれること。この世界には触れたくない。小説の文書だが、目を背けたくなる描写。まさに、今の世界にいることを有り難く感じる。登場人物にもあるだろう闇。幸せを願うのに、その闇に触れたくて、早く次のシリーズを読みたくなる。この矛盾が、なんとも言えないドロっとした感情を胸の辺りに生み出す。背理犯罪。次が本当に楽しみだ。

【信じるか信じないかはあなた次第度】
★★★★★



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