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僕の病気はお母さんのせい?

入院して3週間が過ぎた頃、息子に突然聞かれました。
とっさに「そうだよ、お母さんが悪い。ごめんね」と言いました。でも、そう答えながら、息子は本当は何が言いたかったんだろうと気になりました。誰のせいかを問い質したいようには思えませんでした。

「なぜ僕だけが学校にも行けず痛い思いをしなくちゃいけないんだ」
「僕が悪いことをしたからばちが当たったの?」
「僕は他の子と何が違うんだろう」
そんなことを考えているようにも思いました。

今の息子となら問いの本質を探ったり、何かこれまでにない話ができるような気がしたので少し真面目にいろいろ話すことにしました。というのも病室で2人きりで過ごす長い時間は、入院以前ではありえないことでした。学校に習い事、勉強と忙しい子ども。一緒に過ごす時間が成長とともに減っていた矢先のこの状況です。病室での余りある時間で、息子とその問いを考えてみようと思いました。

①体調が落ち着いてきた今、一番の不安は何か
②病気のことで気になること、分からないことは何か
③今一番嫌なことは何か
など、聞いてみました。

すると①は、また今後同じような痛みが起こるのか不安。
②は、今はないけど気になることは医師や看護師に聞くようにする。
③は、もう2度の下剤は飲みたくない
と、話しながら気持ちを整理していました。

息子は病気が誰のせいかを聞きたかったわけではありませんでした。今の状態の悔しさや納得いかない苛立ちをぶつけたかったのです。

さらに、「お母さんはどう思う?つらい?」と聞いてきました。
だから私は素直に今思っている、親としてのこれまでの行いを振り返って反省していること、これから何を気をつけるべきか、自分がしていこうと決めていることを伝えました。

「お母さんさ、僕のことを一生懸命育てているのに悔しいでしょ?」と息子。予想していなかった言葉に驚きましたが、「そうなんだよね、本当に悔しくて悔しくて仕方ないよ」と話すと、「子育てってうまくいかないもんらしいから気にしなくていいよ」だって。
なんかもう、言葉になりませんでした。でも、息子が一番怖くて不安な思いを持っているのに私への優しさを示してくれたこと嬉しかったです。息子とこんな会話ができるなんて思ってもいなかった。さぁ、まだまだ続く入院生活、改めて気合いが入りました。