人生邂逅 ◆ こころに残るヒトー57)   ソニー  「覚醒!」を頂いたヒト

[営業本部のマネージメント会同でのプレゼンテーションは衝撃的で、会同後のアンケートには「覚醒!」と書いたのを覚えています。
それほどの鮮烈デビューでした。

コンシューマー営業本部から、ノンコンシューマーの営業本部長に就任されての最初の会同で、いきなり頭を殴られたような感覚をもちました。
ノンコン営業の抜本的改革。陋習の打破。といった感じでした。

事前にとことん、現状を調査・分析、精査したうえでの活動方針案は、完璧で、グーの根も出ないというさま。
前出の  ”営業の神様”  の秘蔵っ子のおひとりで、文化の融合を狙ったようにも感じました。

コンシューマー営業とノンコン営業は全く文化が違うし、ビジネスの形態も大きく異なっており、人事的な交流もほとんどなかったのですが、このころから一変してきたように感じました。

とくにコンシューマーのスピード感と新鮮な感覚で新たな視点を取り入れることで、知らないうちに出来上がったノンコン文化に一石を投じようとされたものと思います。

その時のことで記憶にあるのは、
営業の実効性を改善するために、営業全員の工数分析をし、何にどれだけの時間を要しているかを抽出しました。その結果、これまでお客様や特約店様からの電話やメールでの問い合わせに多くの時間を割いていることが判明。この時間を削減し、本来の顧客先や特約店様を訪問する時間を確保するために、藤沢にコールセンターを設置して、社外からの問い合わせは、一括してここで受けることにする。という改善策を立て、短期間に実現されました。

また、不稼働在庫が収益を圧迫していることに着眼し、これらを一掃するために、月1回のインベントリーデイを設け、営業所長と部長は全員が倉庫に集まり、在庫で不稼働化しているものの現物を見て歩き、かつ、その場でどの営業所がいつまでに販売するかをコミットし、その商品に担当営業所名と約束期限を明記していく。というもの。次回に見回った時にはどれだけ進捗しているかをチェックする。とても巧妙な手法を導入されました。

さらには、コスト削減のためのプロジェクト、拡販のためのプロジェクト 人材育成のプロジェクトなど、いくつかのプロジェクトを同時並行して走らせ、月1回の進捗会議を合同開催し、競争意識を煽ることで成果への道筋をつけていきました。

これにより、現場は一気に活性化されていきました。

とにかく、パワーとスピードの両方を備えており、うかうかしていると振り落とされそうな、そんな感覚で皆必死でした。

個人的には、親しみやすく、偉ぶることもなく気さくに接して下さいましたがそれでも、カミソリのようなシャープさはいつも感じていました

お名前をもじって「あくまさん」などと呼んだりするひともいましたが、まったくもってそんなことはなく、とても紳士なかたでした。

やられることはとても理にかなっており、方針も明快かつブレがなかったのでわたしはとてもやりやすかったように思います。

この時以来、わたしは新たな環境に身を置いた際には、ここで教わった考え方、やり方を参考にさせてもらい、課題解決に当たるようにしています。

ほんの短い時間ではありましたが、大きな学びに繋がる「覚醒」でした。


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