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【デザイナーノート vol.5】XXX°-七夕

皆様こんにちは!
Pastel Girls.二十四節気少女のNFT作品制作担当KOMAです。

このnoteではKOMAが不定期にPastel Girls.と二十四節気少女のクリエイターとして、キャラクターデザインや作品へのこだわりなどの情報をお伝えしていきます。

今回は二十四節気少女初のスピンオフ作品XXX°-七夕」について、OpenSeaのDescription内で表現しきれなかったキャラクターの詳細設定や意匠を紹介する他、スピンオフ作品誕生のきっかけや制作の舞台裏についても少しお話します!

1. スピンオフ作品誕生のきっかけ

何かの節目でまたGiveawayをやりたいねーと前々からkofynと相談していたのですが、ちょうど夏至に差し掛かった頃、ありがたいことにkofynのTwitterアカウント(@nft_kofyn)のフォロワー様が500人を突破しました。
感謝の気持ちを込めて特別な作品を制作しよう!と思い、タイミング的にも7月7日の七夕が近づいていたため、二十四節気少女のスピンオフ作品として五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)シリーズが立ち上がりました。
今回はたまたまタイミングが重なった七夕(7月7日)でしたが、以降は何かの理由をつけてGiveawayをむりやり開催すると思います。(笑)
七夕と端午以外はあまり聞き慣れないと思いますが、ものすごく簡単にそれぞれを説明するとこんな感じです。

人日(1月7日)
七草の節句、人の日です。春の七草を用いた七草粥を食べたりします。

上巳(3月3日)
桃の節句、ひな祭りです。雛人形を飾ったり雛あられを食べたりします。

端午(5月5日)
菖蒲の節句、こどもの日です。鯉のぼりを飾ったり柏餅を食べたりします。

七夕(7月7日)
笹の節句、七夕です。願い事を書いた短冊を笹に飾ります。

重陽(9月9日)
菊の節句、重陽です。無病息災を願って菊酒を飲んだり栗ご飯を食べます。

簡単にしようとして食べ物の説明ばっかりになってしまいましたが、詳細は今後展開する各作品紹介の時にしっかりさせていただきますのでご安心ください。
現代ではほとんど名残はありませんが昔はこれらが全て祝日となっており、それぞれの季節にちなんだ行事や風習を楽しんだそうです。
今後これらの五節句を目途にGiveawayを開催したり一枚絵を制作したりするので、祝日のお祭り感覚で楽しみにしていただけたらと思います!

2. 七夕に込めたコンセプト

XXX°-Qixi スピンオフ作品のため太陽黄経はXXX°表記にしています。

現代でもおなじみの七夕は7月7日です。星祭りとも呼ばれている通り、織姫星、彦星、天の川の三つが最も見頃になる時期です。
そんな七夕のDescriptionを見てみましょう。

「星に願いを。」
彼女は百発百中の占星術師だが、めったに人前に姿を現さない。
気に入った恋人達を満天の星空から見守り続けている。

Solar Term Girls. -Spin off- XXX°-Qixi 作品ページより

七夕が近くなると商業施設や駅構内で七夕用の笹の葉を時折見かけますが、そこには子供から大人まで多くの人の願い事が短冊に書かれていて素敵だなあと毎年思います。
では一体誰が願いを聞き届けてくれるのか?
神社では神様、寺院では仏様の前に立ち手を合わせて願い事をしますが、七夕では神様仏様に相当するものがきっと星なのではないでしょうか。
「星に願いを。」はそんな私なりの考えから生まれました。

星祭りとも呼ばれる七夕ですが、星といえば私の中で最初に思い浮かんだものが占星術でした。
ここからは私の趣味なのですが、占星術をやってる(しかもめっちゃ当たる)美人なお姉さんって神秘的で良いと思いませんか…?
「せっかくのスピンオフだし多少は自由にやってもいいんじゃない?」
という心の声が聞こえたので、「百発百中の占星術師」という要素は私の好みで入れてみました。

次に「めったに人前に姿を現さない」についてです。
突然ですが、天の川や織姫星と彦星を見たいのに七夕の夜に限って曇りだったり雨だったりすることが多いと感じたことはありませんか?
それもその筈、これはつい150年前の明治5年(1872年)までは旧暦が用いられていたことに関係しています。
旧暦の七夕を新暦に置き換えると8月4日頃なので、真夏日で晴れの日であることが多く満天の星空を拝むことができていたのですが、新暦の七夕では時期的に梅雨明けしていないことが多いため、雨や曇りが多くなってしまうのです。
現代において満天の星空を見ることが難しくなっていることから、「めったいに人前に姿を現さない」という設定にしています。

七夕という日は日本だけでなく、中国、韓国、ベトナム等のアジア圏における節日の一つとなっています。
特に現代における中華圏では七夕の伝承(織姫星と彦星の再会)に因んで「愛情節」と呼ばれており、バレンタインデーのような「恋人同士のためのイベント」として、恋人との関係がうまくいくことを祈って男性が女性にプレゼントを贈る日となっているそうです。
このことから恋人達の行く末を見守る姿が思い浮かび、「恋人達を満天の星空から見守り続けている」という設定にしました。
…とはいえ、全ての恋人を対象にしてしまうと三角関係やその他諸々の修羅場・泥沼・痴話喧嘩まで入ってしまい大変な事になるので、彼女が満天の星空から見守るのは「お気に入りの恋人達」のみとなっています。
お気に入りとなる基準や条件は特になく、見守る対象はフィーリングで決めているという裏設定があります。

3. 七夕のモチーフ解説

From the starry sky XXX°-Qixiでは見られなかった全身が描かれています。

七夕の右腕と左腕にはそれぞれ鷲(わし)の翼と竪琴(たてごと)の装飾が施されています。
これは織姫星がこと座の1等星ベガ、彦星がわし座の1等星アルタイルであることが由来となっています。
また手元にある壺ですが、天の川は英語でMilky Wayと呼ばれていることから壺の中にはミルクが入っており、水面に流すと天の川が生まれて地上から見ることができるという裏設定があります。

そしてひときわ目を引く特徴的な帽子ですが、外側の星座の模様は夏の大三角(こと座、わし座、白鳥座)です。こと座とわし座は先述の通り織姫星と彦星なのですが、白鳥座は天の川を指しているため3つの星座がセットになっています。
また、よく見ると帽子の縁には青色の雫が付いており、帽子の内側には雲のような模様があることにお気付きでしょうか?

XXX°-Qixiで描かれている帽子
From the starry skyで描かれている帽子

こちらはDescriptionの解説で少し触れましたが、「現代における七夕の日は曇りか雨であることが多い」現象に基づいてデザインをしています。
地上にいる私たちが満天の星空にいる彼女を見上げると帽子の内側(雲の模様の部分)や雨の雫に遮られて、織姫星と彦星、天の川を含めた夏の大三角は見えないようになっています。
図解するとこんな感じです。

満天の星空にいる彼女を地上から見上げる人類。現代における七夕を表現しています。

地域によっては「七夕の夜に雨が多いのは織姫星と彦星が再会の嬉し涙を流しているからである」という説や、「七夕の夜に雨が降るのは織姫星と彦星の再会を邪魔させないようにするためである」という説があったりします。
地上から見上げると星が見えなくなるデザインになっていますが、恋人達の行く末を見守り応援する七夕にぴったりなデザインとも言えるのではないかと考え、この形になりました。

そして七夕のデザインにあたり、大きな影響を受けているのが童謡「たなばたさま」の歌詞です。
曲が分からない、思い出せない人は検索してみてください。

ささの葉さらさら
のきばにゆれる
お星さまきらきら
きんぎん砂子(すなご)

五しきのたんざく
わたしがかいた
お星さまきらきら
空からみてる

童謡「たなばたさま」

歌詞を掲載したところで解説に入ります。
隠れていて少しわかりづらいですが、衣装の帯部分の模様は笹の葉になっています。こちらは七夕でおなじみの短冊を飾るための笹の葉です。
また帯紐のような装飾は「中華結び」と呼ばれているもので、七夕の発祥の地が中国であることから身に着けています。

笹模様の帯と中華結びの帯紐

またよく見ると細かい粒のようなものでできたネックレスを身に着けていますが、こちらは歌詞の「きんぎん砂子(金銀砂子)」から来ています。
金銀砂子って何?と思うかもしれませんが、直接意味を説明すると砂のように小さな粒の金と銀のことです。
満天の星空のことを「砂をちりばめたような星空」と形容されたりしますが、歌の中ではそれを金銀砂子と表現しています。

拡大してようやく見える砂粒のようなネックレス。光の当たり方で金や銀に見えます。

そして足首には青、赤、黄、白、紫の合計5つの足輪が付いていますが、これは「五しきのたんざく(五色の短冊)」が基になっています。
五色の短冊は実は色が決められており、七夕の発祥の地である中国の古代哲学「五行説(万物は木、火、土、金、水の五元素から成り立っているという考え)」からそれぞれの元素の色を割り当てています。それが青、赤、黄、白、紫の五色なのです。

五色の足輪。短冊の色が由来になっています。

今回は髪型にもこだわってみました。
というのも日本の一部の地域では麺を糸に見立て、織姫のように機織・裁縫が上手くなることを願って七夕に素麺(そうめん)を食べる風習があることから、素麺のように長く細く柔らかいストレートヘアにしています。
このネタをkofynに話した時は「まさかの素麺かい」とツッコミを入れられたものですが、二十四節気少女シリーズを制作するにあたり、それぞれの季節を調べていると思わぬ所から着想を得られるもので、私自身も楽しくやらせていただいております!

一部地域では七夕に素麵を食べる風習があることから柔らかく流れる白銀色の髪の毛にしました。

最後に背景についてです。
星といえば…と思い浮かんだものがお菓子の金平糖(こんぺいとう)でした。金平糖の形が星のように見えたためです。
金平糖は和菓子屋さんでよく見かけますが、実はポルトガルから伝来したお菓子です。
ポルトガルは世界で最も古い都市のひとつに数えられているほど歴史が長く遺跡が多く残っていることから、背景の建築物もエヴォラ歴史地区やアグアス・リブレス水道橋を参考にしています。
そして奥の方で光り輝く天球儀ですが、こちらは私が好みで付け加えた占星術師の設定が由来となっています。

4. 終わりに

デザイナーノート vol.5はいかがでしたでしょうか?
今回は二十四節気少女初のスピンオフ作品ということで、普段の軌道に囚われない自由なスタイルで制作してみました。そのため作品への拘りや意匠も普段より多く詰め込んでおります。
また、現在OpenSeaにて初のオークションを開催中ですので、どうか最後まで見届けていただけますと幸いです!

画像クリックで作品ページにアクセスできます。

次回のデザイナーノートでは、「120°-大暑」について紹介します!

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