新プリキュアの前に、まとめ~いろいろ~

長年のプリキュアファン、KLPです。
新しいプリキュアのタイトル「わんだふるぷりきゅあ!」が発表された今、プリキュア20周年記念に起きた様々なことについて、まとめてみようと思います。
(まだ進行形のひろプリのストーリーについては完結後にまとめます。オトナプリキュアは少しだけ触れます)

※キュアウィングについてまとめた記事はこちら


キュアバタフライ

正式メンバー初の成人、キュアバタフライ/聖あげは。

成人といっても、高校生プリキュアや見た目が大人びているプリキュアはいたからか、初の男の子であるキュアウィング/夕凪ツバサよりも物議は醸していなかったように見えました。

騒がれたのは、加入の遅さでしょうか。

初変身が18話、前に加入したキュアウィングから10話空いていたことで、やきもきしている人が多かったように思います。

私自身は、今までと違うパターンで描かれること自体はいいことだと思っています。
ただ、やはり、早く出てきてほしいな……と思ったのも事実です。

何か手こずるような理由でもあれば納得できたのですが……しかし、そう描いてしまうと、「成人はプリキュアになるのに手こずる」という悪い強調の仕方になりかねなかったのかもしれません。

あげはは大人としてソラたちと一線を引いているわけではなく、ギャルのノリでフランクに接し、しかしいざというときに頼りになる、バランスのいいキャラクターだなと感じました。
例えば第31話や第40話などの、エルちゃんの気持ちを汲み取る場面は、さりげなく大人の立場、保育士という職業の良さが出ていると思いました。ソラたちにはなかった視点を与えてくれるのですが、いかにも上から物を言う感じではないんですね。

そしてバタフライとしての戦闘スタイルも、防御したり、他のメンバーのパワーアップを促したりと、決して大人だからと全責任を引き受けるような形ではないところが面白いです。

車を運転できるとか、仕事をしているといった描写はあっても、ことさら成人であるとアピールしているわけではない、そこが良かったです。
男の子だといちいちアピールされないキュアウィング同様、素晴らしい描かれ方だと思います。

キュアマジェスティ

いわゆる追加戦士の、エルちゃんことキュアマジェスティ/プリンセス・エル。

初回から付け狙われ、ソラと共に別の世界にやってきたり、第24話では国王と王妃の実子でないことが分かったり、そしてプリキュアになったりと、赤ちゃんのうちからなかなか大変です。

私も追加戦士がエルちゃんなのは予想がついていましたが、まさか変身していないときに赤ちゃんなのが変わらないまま、急成長とその逆を繰り返すとは思いもせず、初変身時にはびっくりしました。まほプリのキュアフェリーチェ/はーちゃんは普段の姿も成長してからの変身だったので、このパターンは初めてですね。
第33話でましろが心配したのも分かります。

マジェスティの描き方は、赤ちゃんだからどうこうというより、プリンセスならではの優雅さが目立ちますね。変身シーンもふわっと降り立つようなやわらかさがあります。

一体エルちゃんにはどんな秘密が隠されているのか、こういう形でプリキュアになって本当に大丈夫だったのか、まだまだ気になります。

それにしても、「プリキュアオールスターズF」までに登場できて良かったです。
デパプリのように思い掛けない放送延期があったら大変でした。

映画「プリキュアオールスターズF」

オールスターズ自体は初めてではないのですが、久しぶりな上、「78人をどうやって動かすのか」が私にとってのポイントでした。

結果、この映画で取られたのは「注目するキャラクターを絞りつつ、78人をちゃんと活躍させる」という、素晴らしいバランスで成り立つ方法でした。

詳しい感想は以下の記事をご覧下さい。

今プリキュアを見ている子どもはもちろん、かつて見ていた大人や長年のファンもそれぞれ楽しめる、とても濃い映画でした。

印象に残るのは、プリキュアにも視聴者にも向けられる「プリキュアって、何?」という問い。

様々な設定の上で、様々な要素のキャラクターが78人もプリキュアになった今、自分にとっての「プリキュア」を考えさせられる機会となりました。

『Dancing☆Starプリキュア』The Stage(ぼくプリ)

初の2.5次元舞台、そして初の男子高校生のチームのプリキュア、『Dancing☆Starプリキュア』The Stage、通称ぼくプリ。

プリキュアシリーズとしては異質な企画に、ファンの間に走った衝撃はとても大きなものでした。
男の子プリキュア自体やキュアウィングには文句のなかったファンですら、全員男の子はさすがに……という反応が多く、キュアウィングよりもずっと「否」が目立った印象があります。
明らかに大人向け企画である、というところにも、抵抗を感じる人がいたようです。

私自身、キュアウィングの登場と同列に語れるものではないと思いましたし、あまりのことにとにかく混乱しました。
いいとも悪いとも言えない……それが正直な気持ちでした。

でも、いざこの目で見てみれば、本当に素晴らしくておもしろい、確かに「プリキュア」の一作品だと言えるものに仕上がっていました。

詳しい感想は以下の記事をご覧下さい。

こちらもキュアウィングの登場と同じように、いざ本番が始まってみれば、プリキュアファンの「おもしろかった」「ちゃんとプリキュアだった」という高評価が多く見られました。
概ね成功と言えるのではないでしょうか。

ただ、舞台という鑑賞にハードルがある形なので、最初に持った良くない印象を更新しないままの人もいることでしょう。
恐らく公式サイドもその辺りは分かっていたはずですし、それはそれで仕方ないと思います。

しかし現に鑑賞した者として、プリキュアファンに自信を持ってお勧めできる作品だったということだけは言っておきます。
続編があるなら見てみたいと思っているほどです。

初めに物議を醸したからこそ、素晴らしい作品として刻まれたと思います。

以下は公開されたばかりの記事ですが、ぼくプリを「プリキュアだ!」と感じられたプリキュアファン、特に予想を覆された人の気持ちを代弁してくれる内容なので貼っておきます。

「オトナプリキュア ~キボウノチカラ'23~」

詳しい感想は完結してからまとめようと思います。

今見ていて思うのは、想像以上に大人向けだなあ、ということです。

完結した物語のその後が描かれると、かえって想像の余地がなくなってしまうと心配した人もいるとは思いますが、とはいえ見知ったメンバーなので、発表時にぼくプリのような強烈な拒否反応はそれほど見かけませんでした。

ただ、小さな子どもがターゲットのプリキュアとは、明らかに違うものが出てきたと感じています。
大人に突き刺さるような描写も多くありますし、何より当のプリキュアたちが「子どもの頃とは違う」ということを思ったり口にしたりしていますよね。

ぼくプリは未就学児入場不可なのを「プリキュアは子ども向けであるべき」と批判されましたが、子ども向けかどうかで言えば、オトナプリキュアの方がよほど子ども向けではないと思います。
私が見る限り、ぼくプリは実際未就学児だと分かりにくそうな部分があるものの、ストーリーの流れ自体はアニメと変わらない「プリキュア」そのものであり、ある程度の年齢の子どもになら見せて問題ない作品でした。
対してオトナプリキュアは、子どもも見やすい時間帯に放送されるテレビ番組でありながら、未就学児どころか、子どもと呼ばれる年齢全体にとって難しい気がします。そもそもプリキュア自身が全員大人ですし、プリキュアとして戦う場面があるものの、普段のプリキュアとは明らかに違うストーリーです。

しかも、中学生に戻ってプリキュアに変身するのは、あまり良いことではなさそうだと示唆されています。
果たしてどんな結末を迎えるのか、毎回ドキドキしています。

プリキュア20周年と、これから

プリキュア20周年と銘打たれたこの1年は、本当に目まぐるしかったです。「初」要素がたくさんあるひろプリと、これまでには考えもしなかった方向に打ち出される企画には常に驚かされました。
更にこの後には、ヴァーチャルライブというイベントや、まほプリ2もあるのですよね。

これはぼくプリの感想記事でも少し書いたことですが、プリキュアがこれほどまでに様々な、時に「これはプリキュアなのか?」と賛否が割れるような挑戦をしているのは、挑戦に耐えられる強さを身に着けたからであり、ファン層を広げて更に長く続けたいからでもあると考えられます。
そして、ことあるごとにファンが激論を繰り広げる中、オールスターズFで「プリキュアって、何?」という問いがあったのは、とても示唆的です。

実際、プリキュアとは何なのでしょうか。
この1年の出来事について、プリキュアのステップアップだと捉える人もいれば、迷走だと批判する人もいます。
でも、初代の「ふたりはプリキュア」が始まったときには、20年後のことは誰も予想していなかったでしょう。もし初代を基準とするなら、どの作品も少しずつ初代とは違うでしょうし、大きな変化があったのも初めてではないはずです。

そしてプリキュアが続いていくなら、「プリキュアとは何か」はこれからもだんだんと形を変えていくのだと思います。

以下の記事は、あくまでお一方のご意見ではありますが、公式サイドの方のお話として興味深い内容でした。前編では、作品ごとに時代と向き合ってメッセージを込めてきたこと、後編では、公式サイドも「プリキュアとは何か」を考え続けていることが語られています。
これらを読む限り今年の目まぐるしさも、時に突飛に見えたり、混乱しているように見えたりしたことを含めて、公式サイドが真剣に考えながら前に進んだということであり、決して話題性だけで突っ走ったのではないはずだと分かります。

こうして歴史が積み重なって、何か新しい方向性が出てくれば、時には個々のファンにとって自分が思っていたものと違うものが出てきてもおかしくありません。
もしどうしても受け入れられないなら、触れない方がいいですし、離れた方がいいと思います。「自分はファンだったはずだ」と言い聞かせて執着すると苦しくなります。ファンだからといって、全てを知らなければいけないわけではないし、まして好きになる必要はありません。
そこで好きでもないのに触れ続けては不機嫌になり、「本当はこうでなければならない」とこだわるあまり、批判の範囲を超えたファンらしからぬ言動を取るようになれば、自分も周りも嫌な思いをするだけでしょう。

もちろん全て「公式」である以上、公式サイドは真正面から扱うわけですが、そこは自分で折り合いをつけるしかありません。
「すみ分け」は自分でするものです。

私自身は、なるべく拒絶せずに受け入れたいと思いながらファンを続けています。
長年見ていて、やはり自分にとっての「プリキュアとは」は形作られているのでしょうし、それ自体悪いこととも思いませんが、その長年見てきたということが新しいものを見るときに邪魔になるようではもったいないと思うのです。
「こんなのプリキュアじゃない」より、「これもプリキュアなんだな」と楽しめる心持ちでいたいです。

私が今年の出来事で一番身構えていたのはぼくプリだったのですが、実際にはむしろ予想をはるかに上回るレベルで「プリキュアだ」と感じられたので、本当にいい経験になりました。見る前から拒絶しないで良かったとつくづく思います。
この件で公式サイドへの信頼度も上がりました。

来年の「わんだふるぷりきゅあ!」、一体どんな作品になるのか、もちろん今は予想もつきません。
ひとまず20周年のめまぐるしさは収まることでしょう。
しかしまた驚くような何かがあったとしても、私は楽しんでいくつもりです。


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