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『サムシング・イン・ザ・ダート』監督からのメッセージ

『サムシング・イン・ザ・ダート』に取り掛かった頃、陰謀論的思考の危険性は、ニュースを多少賑わせている程度だった。それから1年余りが経ち、その脅威は大いに注目を集めている。先日、「X-ファイル」の脚本家の一人と打ち合わせをしたが、彼は私たちをゾッとさせるようなことを言った。「私たちが生活する現実のプリズムを通してSF的な神話を創造することで、意図せずに大いなる責任を背負うことになる」と。ジョンとリーヴァイはこの犠牲者であると言える。この物語はSF、疑似ドキュメンタリー、陰謀スリラー、ダークコメディ、二人の人間ドラマとジャンル分けすることもできるが、結局のところ、本作の狙いはこの作品が独自のものであるということだ。

この唯一無二のトーンを噛み砕くには困難を強いられたが、幸運なことにお馴染みの協力者たちの助けを借りた。過去4作で作曲を担当したジミー・ラヴァルは、おそらくこの共同作業における最良の例だろう。本作におけるジミーとのアプローチは、これまで以上にキャラクターと邪悪なものを解き明かしていくような感覚を生み出すことだった。リーヴァイとジョンはそれぞれ欠陥を持っている。新たな事実が明らかになるたびに、観客から得られる共感が常に変化するようにしたかった。楽曲の多くは、観客からの好感度の変化に追従させた。一方、暗黒と共存するために必要な穏やかさも与えている。プロデューサーのデヴィッド・ローソン、プロダクション・デザイナーのアリエル・ヴィーダ、編集のマイケル・フェルカー、そしてVFXスーパーバイザーのアルバン・カシッチと同じく、恐怖や憂鬱、不安、ユーモア、そして悲嘆を一つのものに仕立て上げた。

私たちの過去のどの作品よりもダークで、霞がかっていながらも色彩豊かな、現実からかけ離れない程度にシュールで、さらには主人公たちが行きつく真実の不気味さを表現したかった。エロール・モリスのドキュメンタリーのような理路整然とした様式のみならず、『ビッグ・リボウスキ』や『ナイトクローラー』などのLAを舞台にした作品にも大いに影響を受けた。シュールな物語や映画のメタ的な側面が、経験のない映画製作者たちに再現されることが多いにもかかわらず、すべてのビジュアル、特にVFXについては写実的であるよう心がけた。要するに、私たちが目指したものは、本作で起こったことがすべて私たちの世界で間違いなく起こったことのように感じられるようにすることだった......超常現象をカメラに収めた男たち。その後、観客が予想もしなかった方法で彼らの人間性が脅かされるのだ。

―――ムーアヘッド&ベンソン

ジャスティン・ベンソン & アーロン・ムーアヘッド

監督プロフィール

ジャスティン・ベンソン
アーロン・ムーアヘッド

監督・製作・編集・出演
脚本(ベンソン)・撮影(ムーアヘッド)
“ムーアヘッド&ベンソン”として知られるジャスティン・ベンソンとアーロン・ムーアヘッドの共同監督チーム。監督や脚本のほか、俳優、製作、撮影、編集、視覚効果もこなす。これまでに、ホラーロマンス『モンスター 変身する美女』(14)、アンソニー・マッキー主演の『シンクロニック』(19)、そして2012年にトライベッカ映画祭で絶賛の嵐を巻き起こした『キャビン・イン・ザ・ウッズ』などを手掛けている。また、製作パートナーのデヴィッド・ローソンとともに、独立系の製作会社RUSTIC FILMSを立ち上げた。『サムシング・イン・ザ・ダート』は彼らが手掛けた5作目の長編作品となる。

映画『サムシング・イン・ザ・ダート』は絶賛公開中


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