【第5回】日本と韓国、番組づくりの違いとは?

早いもので、今年もラストの月。師走です。
最近忙しくて長らくコラムを更新できておらず、申し訳ないです...

お久しぶりな「KLOBAL通信」第5回目となる今回のテーマは、日本と韓国の番組収録の違いについて。
それでは、書いていきます。


番組収録とは?

まず番組収録とは、そもそも一体どんなものなのか...
ジャンルや番組によって違いがありますが、ここでは「THE KLOBAL STAGE」のスタジオ収録を例に筆を進めていこうと思います。

「THE KLOBAL STAGE」の場合、収録現場には、テレビ東京・日本の制作会社さん・韓国の技術スタッフさん(カメラ・照明など)・韓国の構成作家さん(番組の構成を考える職種)、がいました。
先に上記スタッフ陣が収録現場に入って準備をし、そこに後から出演者さん一向が随時いらっしゃって、軽く番組の流れなどを打ち合わせした後にカメラが回って収録が始まります。

「THE KLOBAL STAGE」は《日本のレギュラー番組を・日本と韓国のスタッフが・韓国で収録する》という超ハイブリッドな形で進めていたレアなケースだったのですが、その中で見えてきた日本と韓国の番組収録の違いをご紹介していきます。

日韓の番組収録の違い

①スピード感

最初テレビ東京勢が何よりも驚いたのは、韓国スタッフさんたちの作業のスピード感!特に撤収がものすごく早い!

通常日本の収録だと1時間半〜2時間くらいかかる収録現場の撤収と片付けが、ものの30分くらいで綺麗に現場復帰された瞬間には本当に驚きました。
「収録終わった〜」「ありがとうございました!」と言い合っているうちに、ふと周りを見たら既に片付けが終わっている…そんな体感時間です。

②出演者のヘアメイク

K-POPを好きになって長い方はご存知かとは思いますが、韓国ではスケジュールの際、出演者の方たちは"샵(ショップ)"と呼ばれるサロンでヘアメイクを済ませます。
事務所や出演者ごとに決まった行きつけの"샵(ショップ)"があり、収録現場に行く前にヘアメイクを完成させてから出勤する...というのが通常です。

一方、日本では"局メイク"と呼ばれるテレビ局専属のメイクさんが存在し、出演者の方たちは(アイドルなど例外はありますが)、局でメイクすることも多いです。この場合、局メイクの手配やヘアメイク費用の支払いはテレビ局が行います。

韓国の芸能人の方達とお仕事をする際は、基本的にこちらでヘアメイクの心配をする必要はない点が大きな違いのひとつです。

③楽屋のお菓子

日本で楽屋といえば、よくバラエティ番組で大阪の芸人さんが「大阪ではのど飴が袋ごと置いてある!」とおっしゃっていることもありますが笑、出演者さんたちが出番までリラックスして過ごせるようにお菓子やお弁当、ドリンクが置いてあることがほとんどです。
果たして大阪の楽屋がどんなものなのかは私にも分かりませんが...少なくともテレビ東京では、(ADさんによって差はありつつも)楽屋には甘い・しょっぱいはもちろん、色々なジャンルのお菓子を用意します。
素敵なADさんの時は、お菓子だけでなくお弁当もたくさんの種類や味の中から選べたり...
スタッフにも差し入れがあることも多く、大体ハードになってしまう収録スケジュールの中、《食》は出演者さん・スタッフたちのちょっとした憩いの時間になります。

一方、韓国ではあまり楽屋お菓子の文化は無いらしく...
ただTHE KLOBAL STAGEは韓国で収録したとはいえ、テレビ東京のコンテンツなので、楽屋はテレビ東京風で行こう!ということで毎回色々な日本のお菓子を持って行っていました。
凝ったお菓子よりは日本で大衆人気が高いものや、定番のコンビニお菓子などが喜ばれることが多かった気がします。

ちなみにTHE KLOBAL STAGEの収録の際、ROY◯Eのチョコレートをスタッフさんたちにも差し入れたところ、少しその場を離れて戻ってきたら、跡形もなく全てスタッフさんたちの胃袋に消えていたことがありました。嬉しい思い出です。

④カンペ

これは個人的に1番びっくりしたことです。

時々テレビに映っていることもあるのでご存知の方も多いのではないかと思いますが、日本では番組制作スタッフがよくカメラの横でカンペを持っていますよね。

大きな画用紙に
決められたセリフや出演者さんへのお願いが
書いてあります。

通常カンペは事前にADさんが用意するもので、出演者さんたちのセリフを印刷した紙が画用紙に貼り付けられていることが多いです。
収録現場で急遽、番組進行の流れが変わったり、出演者さんに対応してもらいたい事案が発生した場合は、ディレクターがその場で画用紙にペンで指示を書いていくこともあります。

しかし、さすがIT先進国!韓国は違ったんです。

THE KLOBAL STAGE収録時の様子

この写真を見て気づいた方、いらっしゃいますか?
そう、モニター!
カンペではなく、カンペの役割を担うのはモニターなんです...!画期的...!!
確かにモニターの方が出演者さんも見やすいし、効率的ですよね。

ちなみにモニターに投影するセリフは予め構成作家さんがデータにしてくださっていて、リアルタイムで構成作家さんのパソコンから映し出していきます。
THE KLOBAL STAGEでは、セリフの一部は日本語、現地にいらっしゃる構成作家さんは韓国の方...ということで、構成作家さんの隣に日本語も韓国語も可能な制作会社の敏腕プロデューサーさんが座って、番組の進行具合や合図を出してくださっていました。

④プロデューサーと構成作家

構成作家さんのお話が出たので、ここで少し、日本と韓国のスタッフの違いのお話も。

日本の番組では、(企画の始まりは色々ありますが)オーソドックスなのはディレクターやプロデューサーが番組の企画を出し、出演者をキャスティングし、番組全体の統括をとる形。
THE KLOBAL STAGEもテレビ東京の社員が企画を出し、その企画が採用されたことで、その社員はTHE KLOBAL STAGEのプロデューサーとして出演者キャスティング、出演交渉などなどを進めていきました。(人ごとのように書いてますが、自分の話です)

一方の韓国では、出演者のキャスティングは構成作家さんが行うことが一般的とのこと。
構成作家さんが番組の内容も決めていきますし、特定の出演者や事務所と仲が良い構成作家さんもいるとか...
日本と韓国では、スタッフの役割も微妙に異なるようです。


次回の「KLOBAL通信」は、2023年総まとめ!THE KLOBAL STAGEが選ぶ2023年を彩ったK-POP曲について書いていこうと思います。

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