見出し画像

また五月祭に行ったよ

一浪して東大落ちたから五月祭に行く気にならないという意見もあるが、俺はそう思わない。

(中略)

という考えで一年ぶりに本郷を訪れたのだが、現地で会った高校の後輩(しかし、彼は現役で大学に入っているのでもはや同輩である)に「二浪ですか?」と言われた。別に東大志望の浪人じゃなくても五月祭行っていいだろ!!
まあそんなことはともかく、今年の五月祭は昨年と比べてやたらと暑い日だった。天気予報を見たら最高気温28度とのことだ。あれ俺が学外の人間だから知らないだけで実は今年から八月祭とかに変わってた感じですか?と思ったのだがパンフレットにはしかと五月祭と書いてあった。もう終わりだろこの惑星ほしいやまだこの母なる地球ほしは終わっていない!!恐ろしい地球温暖化を止めることができるか否かは皆さん一人一人の意識と行動にかかっています。そう、皆さん自身がこの宇宙船地球号ほしを変えるのです。私たちにはその力があります。共に立ち上がれば、勝てます。朝は来るA Morgna wes core勝利は近いvectern sis da!私たちでこの青く、蒼く、碧い惑星ほしに朝が来たと共に歌おうではありませんか!

去年のことがあったのである程度覚悟はしていたが、やはり今年も尋常ならざる量の人間がキャンパス内に詰まっていた。祭りであるから多少人が多いのは仕方ないにしてもどこに行こうとしても人の波に揉まれるというのはやはり厳しいものであるし、その上今日は夏と見紛うほどの暑さまであるのだから、この最悪な二つが組み合わさることによって本郷キャンパスは凶悪な魔城として俺に牙を剥くのであった。そんな恐るべき魔城の過酷な洗礼に耐えながらあちこち見て回ってみることにする。去年に露店はたこ焼きとチュロスがやたらと多いなどと書いたので今年も大学生どもの露店のトレンドを分析しようと試みたのだが、そんな俺のあてにならずバイアスのかかった記憶によると今年はベビーカステラやタコスが新たに人気の品として台頭したようである。ベビーカステラはなんか思い返してみると去年から人気だった気がするし誰でも作れる(決めつけ)ので頷けるが、タコスが人気というのはまた解せない話だ。なぜそんなにもタコスに惹かれるのか?こればかりはタコスを提供すると決めた者どもに理由を問いたださねばならないだろうが、そこで思索を止めてしまうのは露店トレンド・アナライジストの名折れであるためここはひとつ考察していきたい。思いつく仮説はスペイン語のクラスにおいて同じスペイン語圏繋がりということでメキシコ料理タコスが広く好まれたということだ。しかし諸君はすぐにこうした反論をするだろう、いかにスペイン語圏といえど数々のスペイン料理を差し置いてまでタコスを振る舞う理由がわからないと。俺もそう思うし、やはりスペイン語クラスということであればスペイン料理の代名詞といっても多分過言ではないパエリアを振る舞って欲しかったと強く思わずにはいられない。だがそうまでしてタコスを提供したという事実がこの仮説において更に一段階上の考察を引き出した。そもそもメヒコはオルメカ文明が根差し、輝けるアステカ帝国が栄えた地であり、ゆえに本来メヒコはナワトル語やそれに近しい言語の地域であると言うべきだろう。しかし旧大陸より来襲したコンキスタドレスの暴虐によって本来その地にあった文明は破壊され、スペイン帝国の一部とされた。すなわちメヒコがスペイン語圏となったその事実が西欧の植民地主義による収奪を象徴するものであるのだ。これを踏まえた上でスペイン語クラスがタコスを積極的に選択したことに立ち返れば、自ずとその理由が見えてくる。つまりは西欧植民地主義の追認という意図だ。スペイン語クラスとしてタコスを販売することでメヒコがスペイン語圏であることを強調し、それによって彼らは旧大陸の文明による新大陸の収奪の歴史を正当化しているのだ。露店で提供する料理選びにここまで薄暗い信念を籠めた東大生の執念に、俺は戦慄せずにいられなかった。

さて、こうした分析と考察が組み上がる程度にはキャンパスを見て回ってきたのだが、何としたことか東大に通っているはずのかつての高校同期の姿をほとんど見つけられないのだ。昨年は歩く犬における棒の如き勢いで彼らを見つけることができたのだが、今年はそうならなかった。その訳を運良く会えた同期に尋ねてみれば、露店を出して五月祭に活動をするのは1年がほとんどで2年になったらそうしたこともなくなり多くの者は五月祭でやることがなくなり、五月祭に姿を現さなくなる…と言うではないか。馬鹿野郎!いくら参加団体としての仕事がないからといって己の大学の学園祭をバックレる奴があるか!お前らがたかだか仕事がないなどという理由で五月祭に来ないのなら、仕事などあろうはずもないのに二年連続でここを訪れている俺は何なんだよ!!そもそも、お前ら去年は露天商として五月祭を訪れた浪人生にも金を落として貰った身分だろう!であるのに、その浪人生たちが1年生として店を出していながらそいつらに今度は客として金を落としに来ないのは不義理であろうが!何なんだよお前ら。お前らみたいな人としての良心が抜け落ちたような連中が国の上層部に蔓延っているからこの大学でも学費を上げて恵まれない学生たちの未来を閉すような馬鹿げた施策が行われようとしているんだろうが。もう終わりだよこの大学ばしょ日本くに

ところで、かつて同期だった奴がインカレで入ってるダンス部の公演があると教えてもらったので伝えられた時間に向かい、するとダンス部員らしき人々がまるで緊張感もなくスイカゲームのスイカが描かれたボールを投げて遊んでたりしていたので大丈夫かこいつら?と思っていたら実は公演は既に終了しており本人も公演終了後に現着などという信じ難いハプニングがあったのだが、本人の名誉のためにこの件はオフレコにしておこうと思う。
少しはレポらしいことをすると、ある事情によって観る予定だったダンスの公演が観れず、その埋め合わせという訳でもないが同期が出演するダンスサークルの公演を観に行った。正直前半はダンシストによって動きのキレにややムラがあるな、といった印象を受けたのだが(実際そのムラがあったおかげで逆に目当ての奴が見つけやすかった)、終盤になるとステージの上に立っている全員がキレのある格好いいパフォーマンスを披露しており、圧倒されると同時にどこか爽快な気分になれた。やっぱりダンスって格好いいな。こんなパフォーマンスを見れただけ五月祭に来た甲斐もあったというものだ。



二度と行くかよこんなクソつまんねー祭によ!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?