見出し画像

化学期末の感想(最終回)

ጤና፡ይስጥልኝこんにちは、棘雲です。さて、時の流れというものはまさしく「光陰矢の如し」であり、我々にとって最後の期末試験の日がやってきました。とりわけこの試験で重要となる一戦は化学であり、理系の皆さんバカどもにとってはこれまでの学習の成果を学校で発揮する最後の機会となっていました。私には縁遠い話ですが、彼らにとってはまさに「天王山」にあたる試験であったことは想像に難くありません。「鉄は熱いうちに打て」、です。試験の余韻冷めやらぬうちに振り返りを済ませておきましょう。ここで一つ断っておきたいことは、私はあなた方と違って文系世界の意思なので以下に書き記す内容が全て想像である、ということです。無論、これを読んでいる方々に「角を矯めて牛を殺す」ような愚を犯す輩はいないと確信しておりますが。

大問1
有機化学からの出題です。その中でも、特に世界の有機農業が大きなテーマとなっていました。有機農業はこの分野の中では頻出とは少々言い難いので変化球的な出題と言えますが、賢明な人であれば「有機」が共通しているという点でその重要性を見抜いていたでしょう。このようなところで化学ができる人とできない人の差が顕著に現れるのです。
(1)は有機農業のメリットとデメリットを回答する基本問題でした。解答欄の大きさから察するに、それぞれ一個ずつ答えていれば十分でしょう。いろいろありますが、簡単すぎるのでいちいち答えは書きません。
(2)は総農地に占める有機農地の占有率が世界で最大の国を答える問題です。参考データとして日本が0.2%で世界109位らしいです。私は何のヒントになるのかよくわかりませんでしたが、数字の扱いに長けている理系の皆さんなら答えを導き出せたのではないでしょうか?そう、1位はリヒテンシュタインです。農地の4割弱が有機農地らしいですね。
(3)ですが、これは些か特殊な問題でした。問題用紙が配布された時一緒にキャベツが2かけら配布されたことは記憶に新しいですが、この二つのキャベツを食べ比べてどちらが有機キャベツか当てるという問題でした。ちなみにハズレの方は駒場東大前近くのまいばすけっとで売ってた普通のキャベツです。これはもう普通の味覚があれば余裕なので、サービス問題ですね。美味いキャベツもついでに味わえて「一挙両得」というやつです。万一間違えた奴は金輪際キャベツを食べないでください。

大問2
化学反応に関する問題です。今回は特に興味深い出題形式が採られていました。「百聞は一見に如かず」。今回問題文に登場したものがこちらです。

「イキアタリバッタリサイキンメーカー」は某国民的SFすこしふしぎ漫画に登場した未来の道具ですが、作中ではさまざまな興味深い反応を起こす細菌が登場します。それにかかわる考察を求められる問題でした。
(1)で考察する化学反応は「ノビジュースを作る菌」についてです。これは木の葉に混ぜることで反応し、美味しい飲料(ノビジュースと名付けられた)を作り出す菌ですが、これがどんな反応を起こしているかということです。ここで正答を示すことは簡単ですが、あくまでも受験者諸氏の自由な発想力を尊重したいので、敢えてここでは言及を避け後日行われるであろうプロの化学教師による解説に譲ることとします。
(2)で登場する菌は「ドラや菌」。空気と反応し際限なくドラ焼きを生成し続ける、世界を滅ぼす力を持った恐るべき細菌です。ドラ焼きの化学組成に関する知識が必要となってきますので、(1)よりも難解になっています。ここで正答を示すことは簡単ですが、あくまでも受験者諸氏の自由な発想力を尊重したいので、敢えてここでは言及を避け後日行われるであろうプロの化学教師による解説に譲ることとします。
(3)では「ドラ焼きを空気にする菌」が登場。「ドラや菌」の真逆の反応を起こす細菌です。空気に戻すということで一見難しそうですが、実は(2)で書いた化学反応を逆から書いていくだけで正解となります。「張子の虎」のような問題でしたね。

問題としての中身もなかった「ドラ焼きを空気にする菌」。ドラえもん氏の怒りも尤もである。

大問3
ここには計算問題の群れがありました。中和がどうとかmolがどうとか原子がどうとか、そういうことが書かれていました。ところで、私は計算問題を見ると冷静さを失って激昂し誰彼構わず当たり散らしてしまう体質なのですが、最近はその激情を全てイーロン・マスクへの怒りに変換してイーロン・マスクを殴ることで抑え込むというアンガーマネジメントを実践していました。何が言いたいのかというと、この問題を見た瞬間怒りが爆発して海外のイーロン・マスクを殴りに行ったので時間切れとなり計算問題を解くことができませんでした。なのでこれに関して私が言及できることは何もありません。残念。本当なら全問正解できたはずなのに、と思うと「切歯扼腕」するばかりです。

大問4
化学実験レポートを作る問題です。これまでの化学期末では哲君が作成した間違いだらけのレポートを訂正する問題が恒例でしたが、やはり最後ということで今回は訂正ではなく自力で作成することが求められました。「鶏口となるも牛後となるなかれ」。他人のレポートに頼るばかりでなく、たとえ拙くとも独力でレポートを完成させてはじめて価値があるという担当教員からのメッセージなのでしょう。レポートを書くにあたって、注意すべき点は全て過去の期末試験で哲君が犯した過ちに集約されています。「過ちて改めざる是を過ちという」、断じて彼の二の轍を踏まぬよう細心の注意を払うべきです。ここで過去の試験と似た過ちを繰り返してしまうと採点者からの心証が著しく悪化してしまい、問題の配点以上の大量失点に繋がる恐れがあるので大変危険です。そういう意味では「労多くして益少なし」な問題と言えるかもしれません。今回の試験は後述する大問5の存在もあり非常に時間がシビアなので、少々「後ろ髪を引かれる」気分ですが、思い切ってこの問題を飛ばしてしまうというのも一つの選択ではあるでしょう。

問題の取捨選択が試験の明暗を分ける。かの荊州太守劉表も、江南に一大勢力を誇った所以はその取捨選択能力が優れていたからに他ならない。

大問5
いよいよ最後の問題です。化学期末のトリを飾る問題はずばり、大論述です。問題文は以下の通り。「学問としての化学は冶金術における金属の精錬や錬金術における物質の本質の探究を起源とし、やがて錬金術が求心力を失い近代科学と明確に区別したときからその発展の歴史をスタートさせた。18世紀末から現代に至るまで、化学がいかにして発展してきたか、以下の語句を全て一回以上使用し600字以内で述べよ。指定した語句は何度でも使ってよいが、使用した際に語句に下線を引いて示せ。」
指定語句:ラボワジェ、マリ・キュリー、メンデレーエフ、アボガドロ、生気論、量子化学
大論述を書き始める前に、指定語句をどう使えばよいか考えましょう。化学者の4人は彼らが残した化学史上の功績に触れれば十分でしょう。彼らが活躍した時代が具体的に何世紀か、頭に入っていると有利です。
生気論というのは生命が非生物にない特別な、いわばスピリチュアルなパワーを秘めているとする考え方で、これは有機化学の発展に伴い概ね否定されています。つまり、有機化学の発展に絡めて使用すればよい語句であるということがわかりますね。
最後の量子化学ですが、これはもう簡単で単に量子化学の発展について説明するときに使用すればいいだけです。出題者が量子化学の説明を怠ってほしくないという理由でわざわざ指定語句に入れたのでしょう。
以上をまとめると、歴史上の高名な化学者らが残した功績を時系列順に説明することを大論述の軸にして、そこから有機・無機化学や量子化学などといった科学の各分野がいかにして発展を遂げてきたかを述べていくことになります。当然科学者は指定語句の4人だけでは少ないので、化学の発展に貢献を果たした化学者をあなたの知識と文字数が許す限り入れていきましょう。こうして情報を充実させていけば、十分高得点を狙うことができます。


これで化学の期末試験は全て終了です。簡単な問題ばかりで理系の皆さんにはかなり物足りない試験だったと思いますが、「有終の美を飾る」ことはできたでしょうか?でも正直、化学なんていう将来何の役にも立たないものを学ぶくらいだったら地理とか世界史とか学んだ方が何倍もいいと思うんですけどね。多大な時間をこんな無駄に費やしてきた理系は本当に哀れで仕方ありません。じゃあ、お疲れさまでした。もう二度と会わないと思いますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?