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節分総括

国際情勢:難化
節分を取り巻く国際情勢は一昨年のロシアによるウクライナ侵攻以来難化傾向であるが、今年度はさらにイスラエルのガザ地区におけるジェノサイドをはじめとする憂慮すべき事態が発生し、前年より難化となった。

豆まき:やや易化
ここ数年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から人同士の接触が制限されたため難化傾向にあったが、今年度はこのような制限が緩和され鬼役との濃厚接触も容易になったため全体的には易化となった。一方で、在宅勤務からオフィスワークへの復帰が親子間のコミュニケーション頻度を低くした側面もあり、一部の層にとっては難化した部分もあったと思われる。

年豆:難化
前年と比較すると、全ての参加者にとって食べる豆の数が+1となり分量が増加したために難化した。また、少子高齢化の進行に伴い年豆数量の平均値も昨年より増加してしまった。年豆は節分の定着以来絶えず難化傾向であり、本年は難易度調整のために易化すると期待した参加者も多かったが、結局本年も昨年までの傾向を継承してしまう結果となった。

恵方巻:難化
前年の恵方は南南東だったのに対し本年は東北東であり、ムスリムにとっては2年連続でメッカの方角を向けないという厳しい状況となったほか、西日本の広い地域で皇居の方向を向いてしまう極めて難しい局面となり、日本人口の9割が天皇制に反対している現実を鑑みるとこれは大幅な難化と判断できる。一方、国内に絶滅危惧種として生き残っている天皇制信奉者にとっては誠に遺憾ながら易化となった可能性が高く、生涯を北伐に捧げ北の魏を睨んで定軍山に葬られた諸葛亮も前年と比べて魏の方向を向きながら恵方巻を食べられるようになったため、一部の参加者には有利な展開であった。

総評

総合して俯瞰すると、2024年の節分は昨年より大幅に難化したといえる。年豆の難化は予想し事前に対策を講じていた参加者も多いであろうが、それに加えて国際情勢と恵方巻の難化まで対応できた者はほとんどいなかったと思われる。ここ数年は様々な要因で節分の難化が続いており、もはや節分本来の趣旨から逸脱しているのではないかと思わされる面も少なくない。節分センターには節分の社会的意義に立ち返り、このような難化傾向を継続することへの再考を強く求める。
また、節分の意義そのものへの疑問も表明せねばならない。特に気にかかる点は「鬼は外、福は内」という豆まきの掛け声であり、このように自分と異なる存在を外に追い払って排斥することを奨励する島国の蛮習が昨今の日本における忌むべき排外主義の台頭の背景となったことはもはや疑う余地もない。国際化が進み多種多様な人々と交流することが増えた現在、求められるのは異質なものへ「外」という言葉をかけるのではなくむしろそれを理解し共生しようとする精神である。長年の伝統を今すぐやめよと言うつもりはないが、少なくとも来年以降豆まきの掛け声は「福は内、鬼も内」とするべきだ。来年こそは節分の終わりなき難化が終わりますように、そして人々に間違った道徳観念を植え付ける節分自体にも変革が齎されますように。我々節分関係者はそのことを願ってやまない。


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