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バイバイ、さくらんぼの木

お隣さんの家から
ウィーン、ウィーン、ゴォーッ!!
と大きな音が始まったから
家の窓から外を見ると

満開のさくらんぼの木が
切り刻まれていた。

悲しかった。

去年の年末まで
老夫婦が住んでいて
庭を愛する人たちだった。

おばあちゃんからは
なかなかグロテスクな
ナチュラル・ナメクジ退治のエキスや
イラクサの堆肥液の作り方を
教えてもらった。

季節の野菜
季節のお花

そして

さくらんぼも
毎年頂いていた。

春になると花を咲かせ
そのあとに
赤い実をたくさんつける。

私たちも

今年も貰えるかなぁ

なんて

厚かましいことを
思いながら
日に日に熟れていくさくらんぼを
みるのが大好きだった。

老夫婦だけじゃ
食べきれないから
ご近所さんにも声をかけられ

みんなでさくらんぼ狩りを
楽しんだ日が蘇ってきた。

その家はもう他の人のもの。

私がどう思おうと関係なく
家が新しく様変わりするための
計画がただただ前に進んでいく。

老夫婦の若かりし頃の話。
どんな植物を育てているかを
何度も聞いた。

さくらんぼの木

大きくなるまで
うん十年とかかったはず。

老夫婦と共に育ち
色んな歴史を見てきた。

それが数分で
跡形もなく切り刻まれてるのは
やっぱり悲しい。

たくさんの花をつけた枝も
粉砕機にかけられていく。

いたたまれもなくなって
その花枝を数本いただいた。

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作業をしていた
お兄ちゃんたちも
私の気持ちを理解してくれた。

大学生の時
今は亡き恩師・武居先生の授業で
先生は私たちに質問した。


「君たちは

小さい木が切られる時と大きい木が切られる時と

どちらの時の方が心が痛む?」


「大きい木」


と、私は答えた。


その時も、

何十年・何百年いつも同じ場所で

季節や時代の流れと共に生き

年輪として時を刻み


山や自然を支えてきた木が


その木の存在の重みが

初めからそこからなかったように

一瞬で切り倒されるのが


どうしようもなく悲しいと思った。


変えられないことはたくさんある。

でも

その中でもできることは必ずある。


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もう少し

さくらんぼの分身たちを

我が家で愛でよう。


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