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UCL 準決勝2ndレグ レアル・マドリード(スペイン)vsマンチェスター・シティー(イングランド)

2022年5月4日9:00p.m.(日本時間5日4:00a.m.)


2試合合計180分でも5-5で決着せず、延長戦にまでもつれ込んだすさまじい戦いは、延長前半のベンゼマのPKが決勝点となり、ホーム、レアルの勝利で幕を閉じた。

うまさ、賢さ、統一感、戦う姿勢、そして緻密なプレーが随所に散りばめられた試合に、勝ち負けを度外視して見入ってしまった。両チーム選手たちのドリブルでのコース取りや絶妙なスピードのパスなど、勝負を超えたところでのプレーに感嘆する。攻守にわたってのポジショニングも見逃せない。

さて、レアルの勝因は何だろう。この試合の前に地元で国内リーグ優勝を決め、その勢いがあった、といってしまえば芸がない。アンチェロッティ監督の手腕をたたえるべきだ。ここで監督の仕事とは何だろうか、と考えてみる。

1 試合前のミーティングで戦い方(ゲームプラン)を選手に伝える。

2 ハーフタイムでの分析と指示

3 選手交代

4 試合後のメディアインタビュー。

両監督とも百戦錬磨だし、同じように進めたはずだ。では何が勝負を分けたのか。私は、グアルディオラのサッカー美学とアンチェロッティの哲学の戦いで、今日はアンチェロッティに軍配が上がった、とみる。アンチェロッティは、迷走していたレアルに勝者(王者)の意識を植え付け、見事に花開かせた。とても尊敬に値する。

グアルディオラは長年率いるチームに、繊細な緻密さを要求することで、見ている人たちにサッカーの美しさを伝えたいのだと考える。その上で勝利を勝ち取ることを美学として、現在の地位を築いてきた。それは誰にでも出来ることではなく素晴らしいが、このゲームに関していえば、それが裏目に出た。73分のマフレズの先制ゴールで2戦合計2点差とした時点で、イングランドでの壮絶なリーグ戦優勝争いが頭をよぎったことで、勝利が手からこぼれた。

監督とは、一夜にして英雄になり、また一夜にしてお払い箱にもなる職業だ。途中出場のグリーリッシュが好機で決めていればなどは言うまい。シティーをもう一度リバプールと戦わせたかったと思うのは私だけだろうか。美しく勝つゲームを目指したシティーにも賞賛を贈るべき今季のチャンピオンズリーグでの戦いぶりだった。

決勝の勝者はいかに? CLをライブでこの目で見られる機会をくれたTV局に感謝したい。そして日本サッカー界も、この大会を見上げるのではなく、どうやったら日本でもこんなサッカーができるようになるのか、この試合をその議論の一歩にするべきだ。

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