アパレル業でこの時代に実店舗を持つということ

株式会社KLDの伊東です。
私は「面白い話し方、つまらない話し方」的な本を読むと絶対に反感を覚えるし、ツイッターのフォロワー数も少ないし、結局のところ話がつまらない人間なんだとは思う。

スタッフにも社長と呼ばれたいのに伊東さんって呼ばれます。
そんな私でも、一応経営者として2016年に創業した株式会社KLDにおいて洋服の買取・販売をおこなうウェブサービスを展開し、2019年11月からは新たに委託販売のサービスも開始しました。

2018年11月には本社近くの福岡県糸島市内に糸島店を、2019年5月には福岡の中心にほど近い、警固エリアに福岡天神店をオープンしました。
糸島店ではむしろ規模の拡大に伴うEC用の作業場の確保という面が強く、その残りスペースを販売スペースとする程度のものでした。

しかし福岡天神店は町の中心部に出店、それなりに固定費もかかるし、糸島店と同じ撮影、品出しなどの作業をすると坪単価的にも大変苦しい結果となります。
そう、福岡天神店はこの洋服不況、実店舗撤退の世の中の流れがある中で「町の洋服屋さん」としてオープンしたのです。

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本記事執筆時点でオープンからちょうど7か月が経過しました。
良いことや楽しいこと、常連さんがついてくれるなどうれしいこともたくさんありますが、それ以上に、その何十倍も辛いことがあり発狂しそうになったりしたりしながら過ごした濃厚な数か月でした。

当社の売り上げ構成比としては、オンラインでの販売が90%を占めています。実店舗での売上は、正直なところオンラインでのそれに比べて微々たるもので、様々な固定費を考えるととても効率の悪いものです。

それでも私たちがこの町の中に洋服屋さんとして店舗を持ち続けることには意味があります。
その一番の理由は、会社としての信頼度が抜群に上がることです。

サービスのブランディング拠点としての実店舗

実際、福岡天神店をオープンしてから周囲の環境、リアクションが大きく変わりました。

私個人で言っても、「インターネットで送ってもらって買ったり、売ったり、古着で・・・ターゲットを限定していて・・・ゴニョゴニョ」というよりも、「古着を扱う会社を経営しています。福岡県内に2店舗展開しています」という方が圧倒的にリアクションがいいです。
ゴニョゴニョと余計な情報まで付け加えてしまうのは私の悪い癖なのですが、この一億総起業社会において「インターネットで何かしている」というのは皆さん聞き飽きちゃってるのかもしれません。

そして私たちの宅配買取サービスにおいても、この半年で2倍近い買取の依頼をいただくようになり、「看板を見た」であったり、これまで「インターネットでしかやっていないお店は不安」と思っていたユーザーを獲得できてきているのではないかとの実感があります。
立地は国体道路という、とても車通りが多く渋滞する道路沿いの路面であり、車に乗っている人にも看板を見て知ってもらいたい、店舗に足を運ばなくてもウェブサイトに訪れてほしい。
と思って大きな看板を掲げていますので、この点では大成功です。

宅配買取がよくわからないという方の受け口としての実店舗

宅配買取サービスは自宅にいながら洋服を売ることができて、査定結果もじっくりと検討することができる。どこに住んでいても評判のいいストアの査定を受けることができる。このようにいいところ尽くしではあるのですが、やはり「使い方がよくわからない」という声を多く聞きます。
そういった方は、まだまだ実店舗への持ち込みでの査定を望んでいます。

※評判のいいストア、という点ではうれしいことに大変高い評価をいただいています。

また、中古市場は盗品や偽造品が流通しやすい、という特徴があります。
特に顔の見えない宅配買取においては、実店舗よりもそういったものが流通してしまう可能性が高くあります。
その点より、実店舗での買取に比べて、より厳密な本人確認手続きが古物営業法によって定められています。
そのため、大変便利なシステムである宅配買取であるにも関わらず、特定の時間に自宅にいて包装資材や本人確認資料を受け取る必要があったり、実態に即していない面が多々あるのも事実です。

であれば、「店舗にもっていった方が早い」という結論に至ってしまう人が多い点も否めません。

販売という面での実店舗

私たちの取り扱う洋服は、中古市場での洋服としては比較的高単価な品物ばかりです。中には、中古で30万円を超えるコートなんかもあります。ヴィトンやグッチ、エルメスなどのいわゆるラグジュアリーブランドではないですよ。

また、ターゲットを明確に限定していて、流行に左右されやすいストリートウェアなんかは一切扱っていません。自分で言うのもおこがましいのですが、やや通好みのラインナップかもしれません。

その点において、福岡という市場はどうかというと、なかなか厳しい。というのが正直なところです。当店の洋服に反応していただける方の多くは旅行で福岡に訪れている東名阪の方、韓国、中国からの方です。もちろん、福岡のお客様の多くいらっしゃいますよ!
ただ、全体として福岡で求められているそれとは異なる方向性であることは否めません。

販売に関しては、私たちもまだまだやるべきことをやりきれていません。
オンラインで出品されているアイテムを実店舗で実際に試着してもらったり、施策はいくらでもあるのに、これまで買取の方ばかりを向いて運営をおこなってきました。
この店舗だけで如何に採算をあげていくか、これが当面の課題です。

実店舗でかかる固定費

実店舗ではもちろん家賃がかかります。
しかし、それ以上に重いのが人件費。福岡天神店は2フロアですので、最低でも2人の人材を配置しなければなりません。常に来客があるわけでもないので、査定、オンラインへの品出し、SNSなど業務内容は多岐にわたり、零細企業ならではの何でもやらされる、という点があります。

そのため、現在一人のスタッフを除いてスタッフの定着率が悪く、私自身が店の2階の事務所として利用し、店舗業務も行いながら仕事をおこなっている日々です。

これはこれまで働いてくれて去っていた人たちが悪いんじゃなくて、完全に私のマネジメント能力の欠如ではあるんですが、ウェブで依頼する仕事に比べて明確に成果が見えづらい、という点がありました。
販売を求めているのか?査定を求めているのか?カリスマを求めているのか?私自身がその点において明確な視点を持っていませんでした。

この人件費という費用負担が重い、というわけではなくて、使い方がとても難しい、というのは今でももっている感想です。


疲れたので今日はこんなところで。随時更新します。
これが初のnote記事となります。
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