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私がネイリストの指名料を払う理由

休業、雇止めの流れから、仕事に行かなくなりもうすぐ10ヵ月。この間、在職中にはできなかったことをいろいろやってみた。その一つにネイルがある。

そもそもネイルとはどのようなものかをよく知らなかったし、落ち込んだ気分を上げるためだけの、お試し気分だったので、さほどお金はかけたくない。なので、とりあえず近所のお手頃価格なサロンを予約した。

初めましてのネイリストさんはやさしそうな、上の娘と年齢がさほど変わらない人だった。生まれて初めてのネイルだと話すと、いろいろとアドバイスをしてくれ、緊張のうちに無事に終了。なんだか自分の爪でないような不思議な気分で、キラキラした指先に自然と笑みもこぼれた。

余談だが、こぼれた笑みには、苦笑いも含まれる。実は、ネイルとは付け爪をすることだと思っていた。だから、いつ付けるのだ?!いつだ?!いつだ?!とずっと指先を見つめているうちに終わっていた。そして、付け爪をするのだから、自分の爪は短い方がいいだろうと、前日にきっちり短くした。知らないということは、本当に笑える。

さて、初めてのネイル、思った以上にいい感じだったので、継続することにした。そして、何もわからない、無駄に爪の短い私に優しくしてくれたネイリストさんにお礼を言いたかったので、2回目の予約にはその彼女を、指名料を払って指名した。

そして2回目のネイル。彼女はあまり記憶になかったようだが、少し話をしたらなんとなく思い出してくれて、とにかくお礼は言えた。だから、3回目からは指名しなかった。

たった2回しかしていないネイル経験で、たぶん誰がやってもさほど変わらないだろうと思ったし、なにより私は指名料をケチったのだ。

3回目、4回目とそれぞれ違う人が担当してくれたのだが、微妙に仕上がりがしっくりこない。それに、サロンは時短で低料金が売りだ。だから、人数をこなす方に力が入るようで、手を抜いているわけではないのだろうが、なんとなくサラッと流されているような気分だった。

5回目に行ったとき、店がとても混雑していた。予約時間から30分ほど待ったのだが、その時の担当が偶然にも彼女だった。そして、やはり彼女にしてもらうととてもいい感じに仕上がり、気分がよくなった。

たぶん、これは技術的なことはもちろん、彼女の人柄、仕事の丁寧さからくるのだと思う。3回目に担当してくれた人(たぶん店長?!)に、コロナ禍の影響で、有能なバイトが解雇され、残ったスタッフがいまいちで…みたいな話をされた。お客に言うことか?!と思って、サラッと聞き流していたが、たぶんこのいまいちなスタッフは彼女のことだろう。

通っていて気が付いたのだが、彼女が担当する客だけが待っていることが多い。他のスタッフはそうではなく、割りと時間通りだ。店長としては、時間通りに進めるバイトは有能で、仕事が丁寧で時間通りに進められない彼女はいまいちなのだろう。店舗を運営する意味では、この判断は間違っていない。だけれども、私は仕事が丁寧な彼女を応援したくなった。だから、それ以降は彼女を指名している

なんと言っても、私の気分をよくしてくれるのだから、多少の指名料など安いものだ。そして、更に彼女を指名したくなるようなことが起きた。

昨日、彼女にネイルをしてもらったのだが、色を決めかねている私の後押しをしてくれて、ある色に決めた。その色がブルー。ちょっと派手な感じもしたが、上品に仕上げてくれて、またまたいい感じで大満足だった。

そして、先ほど。Twitterにグクちゃんのセルカが。髪色、ブルーじゃないですか。「何、何、グクちゃんと私、通じ合ってる???」と、休みで家にいた娘にニヤけ気味に報告をしたところ、鼻で笑われた。相変わらず平和な我が家だ。

偶然だとは言え、ブルーを後押ししてくれた彼女に、次は倍の指名料を払おうかと思うぐらい、とても気分のいい午後のひとときである。


最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。




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