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帯化

仲良くしてるので褒め合いすぎると逆に興味を無くす人もいるのは分かってるんだけど帯化の新しいアルバムがめちゃくちゃに良かった。間違いなく今年のベストでした。
前作は僕が録りましたが今作は全然関わっておらず、マイクを貸しただけです。

彼らが最初に録音の依頼をくれた2018年とか19年にメールに添付されていたデモを聴いたときに「これもう出来上がってるから俺やることないですよ」という旨のメールを返した時からその印象は変わっておらず、俺が関わらない方が圧倒的に良い。むしろなんで慕ってくれてるのかよく分からない。

本人たちは天邪鬼でポップソング集とか言ってますが超ポストパンクというかインダストリアル。
最近何聴いても気分が上がらないので気合いで毎日最低3つ「今まで聴いてこなかった音楽」を聴くというのをやっていて、その中で1番感動したのがPILだったんだけど、お前PIL知らなかったのかよと言われそうだけどだってなんか特に好きでもないヤツがあのバラくわえたTシャツ着てるのとかよく見てたし....
でPILの最初の2枚のあのヤバい感じとも共振する感じがあって、もう散々言ってきた「日本のパンクなんてフォークにディストーションかけただけじゃん」問題への回答というか。そうかThe Birthday Partyからディストーションだけ抜けばよかったのかみたいな。なんにせよこういうどうやって作ったのか分からない音楽が良いよなと再確認しました。

今作で1番共感出来るところはやはり全編アコギというところで、クランもアコースティックアルバム(歌物でも優しくもないやつ)作りたいなと常々思っていますが、実現しておりません。

例えば悪そうな人達がそういう言葉と画で作るみたいに、どんな作家であれその人の1番鋭利な部分を前景化させると思うんだけど、我々みたいなただの中流育ちは自分の中に何か鋭利なものがあるだろうかという悩みが常にあってオタク化するしかないというか、好きなものをとことん好きになることでこれを1番好きで分かってるのは俺だみたいな、その過程で集めた知識が積み重なって思想とか技術とかの形を成す。
マイルスがスライを指して「教養の無い奴はアルバム3枚が限界」と言ったように、我々は過激さじゃなくてラディカルさを目指すしかないし、むしろそれこそが1番強いものだと信じている。

本人から「作品送るので住所教えてください」と来たので「なんかゴミとか石つくらしいけどブックレットだけで良いからね」と返しておきました。もったいない!なんでこの作品がフィジカルで出ない!?給付金でレコード作れば良いのに。

あの時助けていただいたJolt! Recordingsです